見出し画像

【VR研修トレーニング】Beforeコロナ、With/After/Postコロナにおける研修のカタチ(1)

私たち株式会社エドガはVR技術を用いた教育・研修・トレーニングを専門に活動している会社になります。2016年からVR事業を始めて、一貫してこの領域で日夜奮闘してきました。

というのも、2015年頃からアメリカを中心にVRを用いた教育・研修・トレーニングという新しいメソッドが立ち上がり始めました。2017年には世界最大手の小売企業Walmart(ウォルマート)も本格導入を始める等、大きなムーブメントが起こっていたのです(なぜWalmartがVRを研修に導入したかの考察は改めてお届けします)。

米国大手調査会社ニールセングループのSuperdata社は「VRを使っている企業の71%がトレーニング目的の利用である(71% of companies that are using Virtual Reality are using it for training)」というレポートを発表しています。

VR研修トレーニング_Superdata_1

これはつまり「あなたの会社でVRを使っていますか?」と聞かれて「はい」と答えた企業に対し、「どんな目的で使っていますか?」と聞いた結果「研修トレーニングを目的にしている」と答えた企業が10社に7社以上の割合であったという事を示しています(他の用途に圧倒的な差をつけている事がグラフからもわかります)。

ちなみに、2番目(38%)の「Design & engineering(デザインとエンジニアリング)」は日本でも自動車メーカーを中心に利用が進んでいます。HONDAの事例は流石と思いました。面白いのは4番目(35%)に入った「Showroom & sales(ショールームとセールス)」についてです。日本でVRを流行らせたのは圧倒的に不動産の内見、つまり営業マンのお部屋の販売・紹介利用です(個人的に国内で一番有名な会社はナーブ社ではないかと思います。2019年9月には累計16億円の資金調達を実施し、その急成長ぶりに業界を驚かせました)。

また、同レポートによれば「XR(*)はエンタープライズにおいて13.5Bドル(約1.5兆円)のトレーニングコストを削減する(XR Will Save Enterprise $13.5 Billlion in Training Costs)」と謳っています。

VR研修トレーニング_Superdata_2

*「XR」とはVRとARを合わせた技術的な総称のこと。多くの場合、VRもARもゴーグルを着用したり、コンピュータグラフィックスやゲームエンジン等を使用するため同じ業界として見られることが多い。

2018年度における日本の企業向け研修サービス市場規模は5,230億円と言われています(矢野経済研究所より)。日本のGDPはアメリカの約4分の1とはいえ私は個人的にこの1.5兆円という試算に衝撃を受けました。

私が思うにアメリカという国は

1)国土が広い
2)効率や結果を重視
3)ITへの対応が柔軟かつ早い

というカルチャーが強い国だからだと思います。国土が広いのでどうしても移動にかかるコスト(車で数時間の移動は当たり前。都市をまたぐ際には飛行機での移動も)が高くつきます。講師も受講者も同じ場所に一点で集まるという事がとても難しい国なのです。

その結果、もともと結果主義なお国柄ですが、効率を求めようとすると集合型の研修に比べれば多少クオリティが下がってもITを利用してスムーズに行いたいという全体最適の意識が生まれやすいのだと思います。TV電話システムを活用した講習やeラーニングを通じた学習の割合が高く浸透しているのは必然ではないでしょうか。

それを目の当たりにしたのは、弊社が2018~2019年にかけてMicrosoftやAmazonが本社を構えるIT企業の集積都市・シアトルの研修会社TLG Learning社とお仕事をした時でした。TLG Learning社は車でなければ行くことが出来ない静かなシアトル郊外にオフィスがあります。研修会社といってもオフィス内に教室の数はあまり多くなく、インターネット回線を通じたオンライン授業が多かったです。また研修プログラムを販売する担当者もほとんどがいわゆるインサイドセールス部隊で、デスクにゆったりと座りヘッドフォンで楽しげに顧客と談笑している姿が印象的でした。日本だとコロナが始まってから研修や営業現場でZoomやTeamsが広く導入されはじめましたが、米国はその点で何倍も先に進んでいたと思います。VRについても、TLG Learningの社長様は60歳前後ですが、ハーバード大学のMBAを持っていてITに対する理解がとても高くすぐに活用する意義やメリットを見出してくださいました。

株式会社エドガ_TLG LearningにVR研修コンテンツを提供_3

私たちの関わったお仕事について少しだけお伝えします。シアトルがあるワシントン州では、米軍でお勤めを終えた退役軍人らの転職先としてIT企業への就職を斡旋するプログラムや補助金制度が整えられています。そこで、近年急増するデータセンターに勤める希望者を対象にしたサーバー解体のプロセスをVRで研修コンテンツ化させて頂きました。VRの中でサーバーラックからサーバーを取り外し、それを解体・修理するまでのプロセス学習用コンテンツです。データセンターは広く騒音が大きく、サーバーラックやサーバーそのものもとても大きいため臨場感をVRでうまく伝えられたと思います。

株式会社エドガ_TLG LearningにVR研修コンテンツを提供_2

我々からのコンテンツ納品後は自分たちで活用のしやすいVRゴーグルを選定・OEMし、自社のロゴデザインを入れてプロモーションにも積極的に活用されていて流石だなとおもいました。

株式会社エドガ_TLG LearningにVR研修コンテンツを提供_1

そういった先進的な企業エグゼクティブが多いからでしょうか、Fortune 500に載るような大企業がVRを研修トレーニングに活用するケースがこの3年で追いかけ切れないほど増えています。事実、そういった企業にVR研修トレーニングを提供している米国No.1スタートアップSTRIVR社は累計$51M(約55億円)の資金調達を実施するなど高い成長を示しています。

私自身もその様子を学びたいとSTRIVR本社に訪問し、彼らがつくっているVRコンテンツを見せてもらいました。今でもSTRIVR社のセールスディレクターとはLinkedinでメッセージのやり取りをしており、そのノウハウやエッセンス、クオリティは弊社のソリューションにそのまま生かされています(またSTRIVR訪問については改めて記事にしてお伝えしたいと思います)。

VR研修トレーニングNo.1スタートアップSTRIVR社への訪問_エドガ

(次号に続く)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?