親に生かされる息子

高校三年生。
適当に受かった大学に行こう。そんなことを思いながら、スマホと戯れる毎日。

自分は歌を歌うことがとても好きだ。男性でありながら、YOASOBIの曲を歌いこなせるぐらいに。その上で一番練習になるのはボカロだと思ったりする。

だけど、親は少し歳をとっていて、勉強しないと生きていけない社会で生きてきた過去がある。そのため、勉強しなさいと言われ続ける毎日。

中学校までは余裕でついていけた勉強もあっという間に置いていかれる。そんな自分に後悔しながら、希望が見出せなかった。

そして受験。1校受かった。この学校に行くことになるだろうと思い、受かった瞬間たくさん遊んだ。

今思えばそれが引き金になったのかもしれない。

父親にその学校は行っても将来役に立たないと言われる。きっと自分のために言ってくれているのだろうが、父の怒っている姿を「怖い」という目でしか見ていなかった自分には遊び続けてる自分に腹が立って怒っているようにしか見えなかった。

特に友達に相談する性格でもなかったので、言われるがまま浪人することに。

自分も頑張らなければと思い、夏に入る前にスマホを友達に渡すことにした。

朝起きてご飯を食べて勉強。お昼になったらご飯を食べて塾で勉強。夜になったらご飯を食べて寝る。

こんな毎日を送っていた。そして、たまに逃げ出して、また怒られる。そんな毎日。そこに広がった景色は白黒テレビのよう。


1日が100時間ぐらいに感じる。

好きな歌も歌ったら怒られるだろう。その影響で下手になった。

親と塾講師との三者面談は自分の心のうちを弄られるようで、泣いてしまい、2人を困らせてしまった。

勉強も手につくわけもなく、似たような偏差値の学校へ。父親はその学部が将来役に立つと分かり次第、うんともすんとも言わなくなった。

なんとも言えない感情が溢れた。

自分はなんのために頑張ってたのか、わからなかった。そんななか、スマホを預けてた友達のもとへ。

一緒にご飯を食べた。笑顔が溢れた。あの日食べた餃子の王将ほど、美味しいものはなかった。

そして家に帰り、スマホと再度戯れる。始めはスマホの楽しさがわからなかったが、今はかなりYouTubeにハマっている。

大学生になる。

また父が怒る。

たまに世界がモノクロになる。

そんな毎日。

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