24棋譜並べ 四間飛車対ミレニアム
1図は高段者同士の対局より。タイトル詐欺ではないです。
ミレニアムに対して、四間飛車側が▲75歩~▲78飛と振り直して石田流に組むのはよくある形。そこからダイヤモンド美濃に組む人もいますが、△35歩やら△55歩で暴れられた際に上部が薄いので、高美濃+▲66銀が勝ると思います。
居飛車はこの形に組まれると、基本仕掛けがないので金銀を更に密集させて待機することになります。▲75歩の位を取らせて反発しないのは、後手番専用の指し方と言えます。1図は最終形態。局面は振り飛車ペースでしょうが、後手陣は端攻めもできる四枚穴熊といったところで、ネット将棋や大会で当たったら最悪の気分間違いなしです。
実戦はここから▲74歩△同歩▲55歩△35歩▲同歩△同角▲54歩△44角(2図)と進行。
▲74歩△同歩に▲55銀は△同歩~△75銀で大駒を取り返されるのが気になります。本譜は▲55歩に△35歩と突いていったのが上手い勝負の仕方でした。
2図で▲55銀と出れば、△同角▲84角△75銀▲56飛と手順に逃げることができます。しかし、以下△77角成▲51角成△67馬の局面(A図)は、△36桂、△37歩、△25桂など玉周りの不安が大きく先手難局です。3筋の歩を切っておくのは、後手にとって見た目以上の価値があります。
実戦は以下、▲64歩△同歩▲53歩成△同角▲55銀△83飛▲54歩△31角▲26角△53歩▲56飛(3図)と進行。
技で決まらないなら前線に出ている駒の数(=厚み)で押していこうというのが本譜。後手は押し込まれているようですが、ここで△37歩が鋭手。角が戻ると攻めが頓挫することを見越しています。
実戦はやむなしの▲同桂に、△86歩▲同歩△25歩▲17角△14歩▲64銀△54歩▲同飛△36歩▲同金△44歩▲65歩△86飛(4図)と進んで先手投了。
まだ長そうですが、これは戦意喪失でしょう。△37歩と△36歩の利かしが余りにも痛い。後手は一貫して相手の力を利用しての捌きを魅せました。
振り飛車側にも目立った疑問手は無かったように映りますが、敵陣の堅さや、玉側でアヤを付けられたことによって踏み込みづらい展開になったことが響いたように思います。
こういった負け方は振り飛車党なら誰しも覚えがあるところで、特に早指し戦だと、自分だけ玉周りの攻防を受けて立たなければならない展開に踏み込むことは躊躇してしまいますね。本局の後手のような指し方は、評価値こそ出ないものの人間同士なら有力です。
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