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苦悩について

本文は最後まで無料です。オマケがあります。

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苦悩とは、「解決できないもの」を解決しようとする人の中に生まれるデータの一つである。

苦難があっても、それを「解決できる」と思える力があったり、あるいは「解決できないもの」として諦めることができたら、そこに「苦悩」というデータは生まれない。


解決できないものは、解決できない。苦難もそうだ。解決できるものと、できないものがある。

厳密には、「解決できない」と信じていることを、ひとは解決できない。

陸上競技でも、これに似た不思議な現象があるという。その国の誰かが100メートル走で10秒を切るまでは、当然だれも10秒を切れない。その期間がずっと続いて、あるとき誰か1人が10秒を切ると、なぜだか、それに続いて他の選手たちも一斉に10秒を切り始める、というのだ。

「解決できない」という意識が、人にもたらすものは想像以上に大きい。そして、それを「解決しようとすること」ほど、ひとの精神に重たくのしかかるデータはない。

どんなに優れたスーパーコンピュータでも、どうやっても処理できないデータを読み込めば、すぐにパンクしてしまう。計算量の問題ではない。そもそも、の話なのだ。


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「解決できるもの」を解決しようとしているとき、ひとは「苦悩」しない。それはただ「考えて」「解決に向かっている」のであって、そこにはもう、悩むことは何もないからだ。

例えば、ここに数学の問題がある。あなたはその問題の意味が分かり、どの数字を導き出せばいいのかわかった。でも、計算するための公式を覚えていない。そんなとき、あなたは「悩める」だろうか?

あなたは実際「ただ分からないだけ」だ。いくつもある解法の「どれで解こうかな」と迷ったわけでもない。トロッコに乗りながら、問題を解くたびに犠牲になる形見の鉛筆と、解かれない問題の悲劇を葛藤したわけでもない。ただ分からない。力が足りない。でも、解けることは分かる。考えたのはそれだけのはずだ。

「解決できるもの」は、ただの苦難だ。それは、相応の力を身につければ、解決することができる。そう信じることができる。だから、苦悩にはならない。

「解決できないもの」が、苦悩だ。それは「解決できる気がしない」という状態も含まれる。そもそも、解き方が分からないし、どう解けばいいのか検討もつかないし、原理的に解けるのかどうかも怪しい。そう思える希望なき現状が生み出す認識そのもの。それが苦悩だ。

ひとは、少なくともそれが「解決できる」と思い込めているうちは、悩まない。悩めない

『私のコンプレックスは整形で解決できる!』

そう思えているうちは、ひとは悩まず働ける。そして、解決できると思った手段が、『検討外れ』だと気づいたとき、信仰は崩れ、ひとは初めて苦悩に到達できるのだ。

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苦悩は解決できない。ただ、必ずしもいがみ合う必要はない。苦悩と、その持ち主は、今よりはずっと仲良くなることができる。

カンタンだ。解決することを諦めて、その問題を、ひとつの「不変の性質」として受け入れるのだ。

ひとは空を飛べないし、水中で息はできないし、なんと100年も経てば死ぬ。世界はひどい呪いだらけだ。でも、僕たちはそのことに、どれだけ苦悩しているだろうか?いま、やっと思い出したんじゃないだろうか?それは苦悩と呼べるのだろうか?

僕たちは皆、なにかに呪われている。なにかしら苦難に晒されている。でも、そのすべてに苦悩するわけではない。同じ苦難を前にしても、それを「苦悩するひと」もいれば、しない人もいる。そこにある違いはなんだろう。

今日のオマケは「苦難に苦悩するひと」と「苦難があるけど、苦悩しないひと」の違いについて復習してから、また新しく「苦悩」についての補助線をひきたい。苦悩を、どうしたらいいのか、についてだ。



今日のTips

・苦悩は解決できない。
・苦悩と苦難は違う。
・苦難があるけど苦悩しない人もいる(オマケ)

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