セカンドハーフ通信 第15話 小型建設機械技能講習を受ける

小型建設機械技能講習を受ける

自分の家の庭を整備するために、小型建設機械技能講習を受けた。3トン未満のショベルカーなどの小型建設機械を操作するため、労働安全衛生法では公的認可機関の講習をうけることが義務づけられている。ずっとホワイトカラーの仕事をしてきた私にとって、非常に新鮮な経験だった。

場所は群馬にあるコマツ教習所だ。参加者は15名、見たところ素人と思える人は自分を入れて2名。残りは建設業界筋の人だった。もう1人の素人は長野の古民家で宿をやりたいという一見仙人のような風貌の60歳代後半の男性だ。結局、一番やわそうなのは自分だった。2日間の講習で1日は機械や安全に関する理論を座学で、1日は運転の実習だ。

建設業界の仕事については雑誌やテレビでみる程度で全く知識がなかった。力仕事を得意とする人たちが集まってくる業界というイメージを持っていたが、実際はそうでもなかった。

機械の操作で大事なのは体力や根性よりもセンスだと思った。シャベルで土を掘る機械だからといって力はいらない。まずはゲームセンターのマシンものに挑戦するような気持ちで運転席に乗ってみる。座席前の左右両側にあるレバーを優しいタッチで前後左右動かすと人間の手のようにショベルカーが動く仕組みになっている。油圧を動力としているので力を入れる必要はない。

機械を滑らかに動かすには、前後左右の微妙な方向性の組み合わせが必要で、まさに頭と体、右脳と左脳を同時に使わなくてはいけない。これがセンスが大事だと思ったところだ。体育会系のタダのやんちゃでは上手に動かせない。むしろピアノを弾くように指先に神経を集中させて自分のイメージ通りに機械を操作できるかどうかが重要だ。

ホワイトカラーの管理職として、人の上に立って仕事をしてきたが、ここでは今までのスキルは全く役に立たない。どんな仕事でも奥が深い。講習を終えたときには、建設業の人に対する尊敬の念が高まった。

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