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2010年代の中華ポップまとめ

ちょうど2013年ごろ、それまではクラブでVJをしながら、ジャズやら、テクノ、USインディー、ワールドミュージックを漁る日々だったものが、中国語の音楽を、自分で調べて聴くようになりました。もうすでに2010年代も終わるので、いい節目なので、今まで聴いてきた中国語の音楽をまとめることにしました。

プレイリストを先に貼っておくので、聴きながら読んでみてください。

中華ポップとは

中国語の音楽というと、中華人民共和国の音楽に思う方もいるかもしれませんが、各言語の話者分布を見ると、中国語自体にも様々な方言が存在していて、台湾、香港、マカオ、マレーシア、シンガポールなど様々な国でも話されていることがわかります。(韓国語話者が中国にいるというややこしい点にも気づかれたでしょうか)

ここでは、様々な方言、様々な国も含めたいので、中華ポップとしています。他には、マンドポップとか、華語流行音樂とか、C-POPという呼び方があるものの、中国語だけでもないし、J-POPにインディーズが含まれないように、対象が絞られすぎるので、ちょっとスカした言い方をすることにしました。クラブミュージック、民族音楽、ワールドミュージック、ジャズあたりの音楽も包括して呼びたいのだけど、どういう呼び方がいいのだろう。正確には、中華人民共和国及び中華民国、中国語話者による大衆音楽のバリエーションってことになる?イギリスの正式名称みたい…(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)。ここらへんは、警察に出頭しないといけない案件かもしれない。ちんこ。

プレイリストに選んだトラックは、この10年の再生数を元に選びました。分類としては、以下のように分けることができそうです。(iPhoneで音楽を聴きはじめたのが、2012年からなので、そのままこの10年が表現されてました。)

・C-POP
・台湾インディー
・中国インディー
・ワールドミュージック
・クラブミュージック

C-POP

J-POP、K-POPの中国語版となるのが、C-POPです。台湾と、広東語圏のアーティストは、歌唱力、演奏力がとても高く、プロフェッショナル意識の強い音楽を作る傾向があります。2000年代前半から、チャートを駆け抜けてきながら、まだまだチャレンジングな曲を出すアーティストが多い。

田馥甄(Hebe Tian) 台湾
2000年のオーディションで選ばれたのを機に、アイドルユニットS.H.Eのメンバーとして、活躍した彼女。2010年のソロアルバム発表から、ソロ活動を続けています。S.H.Eのほうは、恥ずかしくって聴けないんだけど、ソロでのアコースティックな音が多い落ち着いた雰囲気は、バラエティに飛んでて素敵。たまにカントリーとか、ブルースが出てくるのは、珍しいのではなかろうか。ジャケットデザインは、聶永真(Aaron Nieh)で、毎度凝ったデザインをしています。五月天のカバーアルバムに、S.H.Eでカバーを披露していたり、(これも恥ずかしかった)、S.H.Eは、まだ活動しているようだ。

孫燕姿(Stefanie Sun) シンガポール
2000年デビュー、倉木麻衣ともコラボレーションしたこともあります。13枚のアルバムを発表しているベテランで、2014年のアルバムでは、若手のHUSH岑寧兒の楽曲を使用したりと、大衆向けのポップながら、さりげなく挑戦してきています。ジャケットは、2014年のは、寝癖、2017年のは、欠伸でしょうか。凝った想定をしているんだけど、このコンセプトをどう通したのかっていう、全然違うところが気になって仕方がない。

戴佩妮(Penny Tai) マレーシア
1999年デビュー。音楽性は、かなりロックに近いです。そして、11作のアルバム、1曲をのぞいて、全て作詞作曲を自身で手がけているし、なんならMVの監督もやっちゃう女性アーティスト。2011年には、ロックバンド佛跳牆(Buddha Jump)を結成し、ここでも・・・。2013年には、レーベル妮楽佛を立ち上げて、郭修彧(Shio Quek)などマレーシア華人の歌手のプロデュースもはじめました。2010年代のアルバムは、インドネシアはバリ島録音で、すこし珍しい民族楽器の音が聞こえるのもポイント。

陳奕迅(Eason Chan) 香港
1996年デビュー。超大御所で意外がられるけど、初めて買った中国語のアルバムが彼のRice/Shineで、2枚に分かれてて、マグネットでひっつくデザインで、台湾でのアルバムデザインあるあるに、びっくりしました。このアルバムは、中国のエレクトロユニット火星電台(Radio Mars)と、シンガポールの歌手林俊傑(JJ Lin)提供の曲を2枚に展開したアルバムで、王道とクラブのミックスが新鮮でした。広東語と普通話のアルバムを交互にだすのも、C-POPのマーケティング的な特徴なのかしら。この人に至っては、40枚近いアルバムを出しています・・・。

ここの選んでいないアーティストだと、安室奈美恵と共演したこともある蔡依林(Jolin Tsai)蔡健雅(Tanya Chua)といった大御所もいいアルバムがありました。若手だと、家家(Jia Jia)艾怡良(Eve Ai)王詩安(Diana Wang)許嵩(Vae Xu)あたりが個人的にグッときました。あー、あと、李榮浩(Li Ronghao)

台湾インディー

10年代前半は、まだサブスク全盛期ではなく、台湾版MySpaceであるStreetVoiceなどを使って、知名度をあげてきたSSWが多い印象。最近だと、マスロックを演奏するバンドも出てきました。が、イタリアのポストロックバンドと共演した魏如萱や、ニューヨークのクラブジャズバンドを迎えた白安に比べると、大学生のバンド感が強く、もうすこしメジャー感を出して、チャレンジしていって欲しいなとお節介な気持ちを抱いています。

岑寧兒(Yoyo Sham) 香港
陳奕迅との共演で有名になった彼女は、とてもオーガニックな曲が魅力的。Kings of Convenienceあたりを思い浮かべるクラブユースにも使えそうなアコースティックポップ。だいたい、そういう空気感のものは僕が弱いのですが。アルバムでは、普通話、広東語、英語の歌が混ざっています。インスタ見ていると、台湾の商店街の屋上のようなところで、ライブやっていて、これは確実に楽しそうだなって。再生数だけでいったら、彼女がダントツでした。

魏如萱(Waa Wei) 台湾
自然捲(Natural Q)の女性SSW。台湾インディーのChara?相方は、岑寧兒の作品に参加していたりします。2014年の還是要相信愛情啊混蛋們では、ピチカート・ファイブとポストロックが混ざり合ったような独特の歌を聴かせていました。彼女の曲には、たまにミニマルテクノっぽい曲が稀に入っていたりするのですが、それが結構癖になるんですよね。

盧凱彤(Ellen Joyce Loo) 香港
AT17の女性SSW。こちらは、椎名林檎かな。暗めのギターと、水墨画のような刺青が特徴の彼女。打ち込みのビートの上に、自身のギターとボーカルで歌をのせるフォーマットで、表現のしづらい、アーティスティックな作風で、危なかっしい魅力を放ってました。そう、去年、マンションから飛び降りて、亡くなっちゃった。

白安(Ann Bai) 台湾
StreetVoiceで楽曲を公開していて、有名になった女性SSW。すこし発音の悪い特徴的な声をしていますが、台湾フォーク界の重鎮である李宗盛(Jonathan Lee)プロデュースの元、制作された接下來是什麼?では、冒頭から、ニューヨークのテクノジャズバンド、Archie Pelagoをゲストに迎えた曲で驚かせてくれました。最近は、自主制作で、すこし苦労しているようですが、頑張って欲しいところ。

他には、HUSH落日飛車(Sunset Rollercoaster)大象體操(Elephant Gym)あたりはもう有名すぎる存在でしょう。マイナーどころだと、椅子(The Chairs)、9年かかってアルバムをやっと出した南瓜妮歌迷俱樂部(Pumpkinney Fan Club)森林(Forests)、Battlesの新作にゲスト参加した落差草原 WWWW(Prairie WWWW)などのアバンギャルドなバンドも聞き応えがあるアルバムを出してました。(名前になっているものの大きさだと、アバンギャルド>有名>マイナーになってる)

中国インディー

ここはすごく独特で、海外からの音楽が入ってきづらい環境のせいか、90年代のUSロック、UKロックのシーラカンスのようなバンドが10年代半ばまでは、多かったように思います。フォークミュージックをベースにした朴訥でモノクロームな音像が特徴。海外から見ると、その土地ながらの音を追求しているというワールドミュージック的な視点で楽しめる点も多い。最近、減りつつあるかんじで残念なかぎり。

許鈞 (Xu Jun) 中国安徽省
北京を拠点に活動するSSWで、2015年の中国好歌曲というテレビ番組の第二シーズンで四強に勝ち残った。全身刺青という風貌で異彩を放っていたが、曲はフォークロックなのだけど、音響的な感触がクラブミュージックの匂いを感じる。それ以前も、スペインはバスク地方のSSW、Benat Fuentesと一緒にバンドを組んでいたり、個人的には、イタリアンプログレみたいな空気感がだいぶ好み。この中国好歌曲という番組は、上で出てきたC-POPアーティストが審査員や客演として出てきたり、すごく重要な役割を担っていました。

腰(Kidney) 中国四川省
1998年結成。3作のアルバムを残して、2014年に解散したバンド。初期は荒々しさが残っていたものの、後期2作は、90年代後半のUSインディーのバンドと言われても信じれるエモ、ポストロック以前の音を奏でておりました。あまり知名度は高くはないようですが、中国で製造し売れ残った海外アーティストのCDパッケージにシルクスクリーンを施した批評性のあるジャケットデザインでニューヨークの広告賞にノミネートされています。

五條人(Wutiaoren) 中国広東省
2009年に結成された、华语音乐传媒大奖のベストロックバンドを取ったこともあるアコギ、エレキギター、ドラムの変わった編成のフォークロックバンド。海豊県の、癖のある方言もあってか、(あんまり歌うまくないなーっていう)中国インディーのメインストリームをひた走りながら、なぜか何度も聞いてしまう。スカスカでサイケデリック、そして土臭い感じは、彼らでしか出ない音だし、これは、胡同とか土楼で聞きたい。

大忘杠(Dawanggang) 中国北京市
2009年に結成された北京を拠点に活動するバンド。このバンドの特徴は、メンパ族、モンゴル族のメンバーを含むところから、明らかなように、国内の様々な民族の伝統を借用して、ロックの亡霊を構築していくスタイル。あとで説明する杭蓋、雲南省の山人(Shanren)(中国好歌曲第3シーズン優勝)とともにワールドミュージック系のヨーロッパのレーベルより、アルバムを発売したこともあります。北京のインディーシーンは、ここらへんを軸にほじくるといいバンドが見つかります。

崔健(Cui Jian) 中国北京市 朝鮮族
活動は、1986年と、中国でロックを演奏したイノベータ的存在。日本の音楽専門誌で名前もきくことはあります。天安門事件で学生たちで聞かれることになり、2003年まで、人気がありすぎて、中国共産党にライブの開催を禁止されていたという・・・。2015年に、10年ぶりに出したアルバムは、骨太ですごく聞き応えのあるアルバムでした。

他には、万暁利(Wang Xiaoli)周雲蓬(Zhou Yunpeng)、オルタナ京劇という異様な空気を醸す上海のバンド、戯班(Xiban)のアルバムもおすすめできるものの、サブスクでは残念なことに聴けない。フォークミュージック馬頔(Ma Di)程璧(Cheng Bi)、USオルタナPK14、UKロック香料(Spice)、シューゲイザーDear Eloise臥軌的火車(Woguidehuoche)、壮大なポストロックを聞かせる青海省の天聲、北京の発光曲線(Glow Curve)、上海のPeach Illusionなども新しい時代の音を聞かせてくれて、おすすめ。

ワールドミュージック

中国で55、台湾で16の民族が存在するように、多様な文化がもともと存在しているのも、中華圏の魅力の一つ。音楽性も、それぞれスタイルがあり、最近では、テレビに出て人気を得ているバンドも少なからずいるし、台湾のアワードでも、そのような部門が併設されていたり、ここをチェックするだけでも個人的には、かなり楽しめる。ただし、中国語の勉強には、全く使えない。

查勞・巴西瓦里(Chalaw Basiwali) 台湾 阿米族
アミ族は、ハワイの先住民、ニュージーランドのマオリ族に代表されるポリネシア人のルーツとされる民族。台南を起点に、西はマダガスカル、東はイースター島まで、広範囲に渡って移動していった背景を持つ。そんな中、ポリネシアというタイトルを冠して、マダガスカルの音楽家とコラボレーションした(ややこしい)アルバムは、コンセプトと反して、実に自然な雰囲気。台湾で権威のある台湾金曲獎で、2015年原住民語アルバム最優秀賞を受賞しました。

蘇運瑩(Suu) 中国海南省 黎族
ここからは、中国好歌曲参加者が続きます。首都の北京近辺は、全体的にフォークというか民謡にも聞こえる音楽性が好まれる傾向にあるのですが、ちょうどそこに少数民族の音楽がうまくはまっていったのが、この中国好歌曲でしょうか。他のテレビ番組は、アイドル発掘的な匂いが強いのですが、うまいのだけど癖の強い歌で、第2シーズン準優勝に輝いた彼女は、中国にある南の島、海南島の出身。

莫西子詩(Moxizishi) 中国四川省 彝族
中国好歌曲第1シーズン準優勝。华语音乐传媒大奖や、虾米独立音乐人华语金曲奖など、名だたるアワードでの受賞歴のあるSSW。彝族の音楽は、イメージはつきませんが、圧倒的な歌唱力を持つフォークロックを聴かせてくれます。彼がテレビに出たことは、あとに続く少数民族出身のミュージシャンが大衆音楽にはまらずに、活動するきっかけにもなっていたように思います。度々東京にきていたものの、最近は来日していないようで、すこし残念。

杭蓋(Hanggai) 中国北京市 蒙古族
中国好歌曲第2シーズン優勝のモンゴル族で結成された北京を拠点に活動するバンド。TOYOTA ROCK FESTIVALや、フジロックでの来日経験のある彼らは、最初は、素朴な音楽性だったものの、徐々に重厚なロックを聴かせるバンドに変化、中国を代表するバンドとなっています。今年のフジロックでは、朝なんとなく見にきたオーディエンスを叩き起こしていたのが印象的でした。

央吉瑪(Yanggima) 中国チベット自治区 門巴族
2013年、中国梦之声、またの名をChinese Idolの、第1シーズンの準優勝。アイドル発掘オーディションに参加しながらも、崔健や、左小祖咒(Zuoshao Zuzhou)といったベテラン中国ロックミュージシャンとの共演が多い彼女は、アーティスティックだけど、ポップになると評論家には毛嫌いされる傾向のあるチベット民謡の次世代を多分に感じる歌を聴かせます。アルバムが1枚出ているものの、僕はまだ入手できていない。

阿爆(Abao) 台湾 排灣族
2017年、台湾金曲獎、原住民語アルバム最優秀賞。爆弾アフロヘアのルックスは、台湾原住民版エリカ・バドゥ。イーストコーストなミクスチュアロックに合わせ、本場もびっくりするような迫力のあるソウルフルな歌と、排灣語の語感は聞き応えが抜群。もうすぐ出るアルバムも非常に楽しみです。ちなみに、排灣族は、台湾C-POPに歌唱力のあるアーティストを排出しています。

他には、台湾では、ブルースを聴かせるミュージシャンが結構いるようで、羅思容與孤毛頭樂團(Lo Sirong & Gomoteu)以莉・高露(Ilid Kaolo)Muddy Basin Ramblersもおすすめ。ヒーリングミュージック界隈の馬常勝(Ma Changsheng)は、なぜかブラジリアン・ジャズが思い浮かんだり、伝統楽器とジャズをうまく融合させる同根生(A Root)は、可能性しか感じない。中国のほうは、ロックやダブ、レゲエ色が強い方達が目立ってきて、ほほえみながら観察しています。

クラブミュージック

サブスクリプションサービスの恩恵をがっつり受けて、グローバルな流行を敏感に感じ取った楽曲は、驚くほど洗練されています。今まであった垢抜けない感じがなくなるようで、すこし寂しさを覚えることもあるものの、それを超えて、世界の均質さに抗うように、ルーツや日常を混ぜ込んだ次のステップに踏み出してきたアーティストも出てきています。

吳莫愁(Momo Wu) 中国黒竜江省
2012年中国好声音第1シーズン準優勝の抜群の歌唱力を誇るR&Bシンガー。Xiami Musicが90年代生まれの新人発掘イベントを開催する際に、1曲ごと彼女と共演したアルバムを毎回発表する。どの曲もアーティストの個性と彼女の歌唱力がうまくぶつかり合い毎度楽しみにしています。彼女自身のアルバムは、スタンダードすぎるのか、残念ながら、そこまでよくはなかったりするのですが・・・。

邱比(Chiu Pi) 台湾
2015年のXiami Musicの90后力量で、吳莫愁と共演した一人。台湾インディーのアワード、金音創作獎の常連でもある。舞踏をやっていたバックグラウンドに起因してそうですが、エレクトロミュージックにあわせて、加工した声をのせる楽曲は、初期はすごく抽象的で、さながら、台湾のJames Blakeといったところでしょうか。90后力量以降は、すこしポップス志向が強くなったものの、アバンギャルドさとの危ういバランスは、彼ならでは。Street Voiceには、かなり実験的なアルバムが並んでいます。

阿圖什衝浪男孩(Atux Surfin' Boi) 中国新疆ウイグル自治区 哈薩克族
2015年の90后力量の一人、カザフ族の阿克江(Lil' Akin)が組んだバンド。海のない新疆なのに、サーフィンボーイなんて名前をつけるあたり洒落てますね。最近の中国ヒップホップは、ガツガツしているのですが、(大概いつもそうだ)、あくまで自然体に、ローファイでチルなサウンドの上を、ゆらゆらと乗りこなすラップを披露しています。88rising以降のインディーR&Bにもつながる音楽性のアーティストを2015年にフックアップしているあたりにXiami Musicの先見性の高さが感じ取れます。

Lu1 カリフォルニア州
Nujabes以降のジャジーヒップホップを牽引してきた一人。中国語と英語で淡々とラップを決めていくスタイルで、10年代半ばまでは、こういう音楽か、チンピラがうるさいアルバムしかなかった。中国人ラッパーCeeと共演したアルバムや、北京のBlue Noteでのライブアルバムを発売したり、安定していいアルバムを出してきます。

Charlie Lim シンガポール
去年のサマソニに出ていたようだけど、知ったのが今年なので、見れなかった。日常に華をそえるような、インディーR&Bは、クオリティも抜群に高い。オーストラリアで、ネオソウルを聴いて育ったっていう、国をまたいで、また自国で活躍するのは、88Rising以降のスタンダードなんでしょうか。ユニバーサルと契約して、各国のフェスにも参加しているようなので、大きい箱で聴いてみたいな。

Howie Lee 中国北京市
北京のクラブシーンを代表する鬼才。最近は、北京から離れて、民俗音楽を聴きながら過ごしているって、スタジオボイスの特集で言ってた。センシングを元にリアルタイムに生成している映像と融合したような、変わったMVを発表したり、中国の伝統音楽から、エチオジャズなんてものまでビニールでパッキングしたような狂った音楽性で、まだまだこれからヤバイことをやってくれそう。リミックスも、世界の尖ったアーティストが手がけていたり、彼のネットワークの広さを感じ取れます。

Blood Wine or Honey 香港
ジャイルス・ピターソンのコンピレーションにも選ばれた、香港で活動するフリーフォームなクラブジャズバンド。オーストラリアのHiatus Kaiyote、ロンドンジャズ勢、少し前のヨーロッパのミニマルジャズ勢、ブルックリン界隈、あたりが浮かんでは消えていく。実は、香港うまれのメンバーがいないようで、そういった点自体、香港っぽくもあるし、複雑な土地の歴史が入っている。ボツワナ生まれザンビア育ちオーストラリア在住とか、カボ・ベルデ生まれパリ在住、コンゴで活動しててリオデジャネイロ在住とか、そういう音が最近よく気になってます。

台湾のヒップホップも、独特でおもしろくて、中国インディーに似た接し方をしています。李英宏が、おすすめかな。あとは、New Yorkで活動する9m88、Brainfeederっぽいところのある、fishdoll。先鋭的なエレクトロミュージックを発表する33emybw、ベルリン在住のSabiwa、ロンドン在住のドリームポップyeule。オーストラリア在住の李霄雲も中国人らしい落ち着いたミニマルなポップを届けてくれます。

様々な地域、ジャンルの音をお楽しみいただけたでしょうか。中華人民共和国については、テレビっていう存在がまだまだ影響力を持っているのが伺えますね。2013~2016年のテレビ番組出身者のプロデューサー泣かせのようなアルバム群は、本当素晴らしかったなぁと。(そのわりに政治は、民族弾圧傾向があったり不思議な国とも・・・)台湾は、もともと開けていたのが、サブスクリプションという仕組みを得て、どんどん市民権を得ていっている感じがします。

一緒に中華圏の音楽の闇にハマっていただけたら、幸いです。

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