【1ミリのすきまエッセイ】次の人、どうぞ
「次の人は?」
そう発しながら、息子はトイレを後にする。
築30年の古い賃貸マンションに住む、いち庶民である我々。
賃貸は修繕の自由がない。
直したくても直せない。
在るがままを素直に丁寧に使い続けるしかない、そんな運命の下に毎日を送っている。
ことに困っているのは、トイレ。
大や小の選択もないレバーの戻りの悪さはもちろん、通常であってもタンクに水が溜まるまでに数分間はかかる。
朝のトイレラッシュ時に危うく何回も流そうものなら、レバーはすっかり力尽き、その働きを完全に放棄する。
その悪影響が次はタンクへと及び、溜める気をなくしたタンクは惜しげもなく水を流し続ける。
昨今のSDGsに全く関心のないわが家のトイレの態度には、もう、うんざりである。
しかし、「わが家=賃貸」。
この運命をしかと受け止め、粛々と生活を送るしかない。
上記の内容を考慮し、「これくらいだったらいけるだろう」という自己判断・自己責任の上、粛々生活において必須項目となっている「2度使い」のルールを改めて確認したい。
長々と申し訳ない気持ちをもって、ルール確認を終わりたい。
このルールが実行されるのは、一日で2~3回だろうか。
わが家の古いトイレが些かの節水の心をもっていれば、我々はこんな努力もしないでよかろうに、と毎日思う。
鉄は熱いうちに打て、五十の手習い。
先日泊まったビジネスホテルでも息子と夫で「2度使い」を実行していた。
新しいルールは皆が一丸となれば、それはすぐに実行され、習慣化される。
ちなみに、ビジネスホテルのトイレは最新型なので、かえって詰まってしまうかもよ、と注意した。
慌てた息子がすぐさまレバーに手を掛ける。
焦らなくても大丈夫。
あなたのそういう心掛けが大切だからね。
まずは、気持ちからでもSDGs。
本当に、わが家の古いトイレにも見習ってもらいたいものだ。
おかず、増えます。