クローズ就労が会社にバレた体験談と、退職して学んだ教訓を紹介
こんにちは、ライターのたぐと申します。
うつ病を治療中の人のなかには、採用面接で、職場側に自分の病気や障がいを開示すべきか、悩む方も多いのではないでしょうか?
僕には、クローズ就労の経歴があるのですが、「会社に病気や障がいがバレた」という体験談を見聞きできる機会は、少ないものです。
そこで今回は、クローズ就労を検討している人に向けて、クローズ就労が会社にバレた体験談と、会社を退職したことで学んだ教訓について紹介します。
クローズ就労は、障害者手帳を所持していなければ「基本はバレない」
クローズ就労とは、自分の病気や障がいについて、会社に開示せず就職することです。
うつ病の人の場合、障害者手帳(精神保健福祉手帳)を所持していなければ、職場側に病気や障がいがバレることは、基本的にありません。
というのも、企業の採用面接では、応募者が自分の病気や障がいについて、面接官に申告する義務がないからです。
なぜ、うつ病であることがバレたのか?
僕の場合は、障害者手帳を所持していなかったので、採用面接では、うつ病を患っていたことがバレませんでした。
採用面接の時点では、会社の業務に支障をきたさないまでに体調が回復していましたし、面接官からも、持病について質問されなかったため、うつ病を治療中であることを職場側に開示せず、就職できたんです。
では、なぜ、“バレた”のかというと、僕の場合は、仕事で体調を崩し、会社に出勤することができなくなってしまったからです。
当時の僕は、介護施設に入所する利用者さんに対して、リハビリを提供する仕事をしていました。
就職後、3ヵ月くらいは、与えられた業務を順調にこなすことができていたのですが、仕事のミスがきっかけで特定の利用者さんからクレームを受けるようになり、そのストレスが原因で、うつ病を再発してしまったのです。
うつ病の再発後、僕は、仕事や職場のことを考えると強い憂うつ感や不安感を抱くようになり、恐怖心で、出勤することができなくなってしまいました。
それで、直属の上司や施設長と面談をすることになり、その時に、「うつ病を治療中である」ことを打ち明けたんです。
「バレた後も、ペナルティなし」そのまま病気退職
うつ病を治療中であることがバレた後も、特別なペナルティはありませんでした。
ただ、僕の場合は、次の理由から、直属の上司や施設長との面談後に、自分自身の判断で病気退職したんです。
① 通常の業務遂行ができなかった
② 試用期間中であり、休職することができなかった
「クローズ就労がバレた」としても、本人が会社を病気退職する場合は、特別なペナルティを課されることはありません。
なぜなら、従業員が、病気や障がいを開示せずに就職したからといって、法律的には、会社が給料の返還を求めたり、罰金を請求したりすることができないからです。
クローズ就労は、「解雇」の可能性がある
給料の返還や罰金だけに留まらず、会社は、正当な理由がない限り、従業員を解雇する(一方的に退職させる)こともできません。
これは、「労働契約法」で、会社と従業員の労働契約が、次のように決められているからです。
【労働契約法 第16条】
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用(らんよう)したものとして、無効とする。
ですから、病気や障がいがあるとバレただけでは、あなたが会社を解雇されることはありません。
ただし、病気や障がいにより「通常の業務遂行が困難」と判断されるケースでは、会社が従業員を解雇できる場合もあります。
それは、会社の就業規則に、次のような記載があるケースです。
(解雇)
労働者が次の状態に該当するときは、解雇することがある。
・精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき
このような記載が就業規則にある会社では、病気や障がいで業務遂行できない場合に、従業員を解雇することができてしまいます。
最近では、ほとんどの会社で、「病気や障がいを解雇事由にできる旨」を就業規則に記載しています。
ですから、職場側に、病気や障害があることを開示せずに就職するのであれば、体調を崩して働けなくなった時に、会社から「解雇される」可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
クローズ就労は、オープン就労よりも職場定着率が低い
クローズ就労には、「自分の体調について職場側に相談しづらい」というデメリットがあります。
うつ病を理由に休んだり、業務量を調整してもらったりできないため、疲労やストレスが溜まりやすいのがクローズ就労です。
これが、オープン就労であれば、体調のことを考えて上司に休みの相談をしやすかったり、業務負担の調整をしてもらいやすかったりするため、うつ病を治療中であっても、心身の負担を減らしながら働きやすいです。
実際に、厚生労働省がまとめた「障害者雇用の現状(平成29年)」によると、職場側に障がいを開示していない人よりも、開示していた人のほうが、1年後の職場定着率が高くなっています。
【精神障がい者の雇用の現状(就職1年後、職場定着率)】
・一般求人 障害開示(オープン就労)
→195人のうち、1年後、継続勤務できていたのは約90人(46.2%)
・一般求人 障害非開示(クローズ就労)
→393人のうち、1年後、継続勤務できていたのは約109人(27.7%)
もちろん、就職先により変わってくると思いますが、職場側に、病気や障がいについて開示しておいたほうが、体調不良を理由に「休み」や「サポート」をもらいやすいですし、心身の負担を減らしながら、長く働きやすいのではないでしょうか?
体調を崩す可能性が高い方には、オープン就労がおすすめ
うつ病を治療中であっても、障害者手帳を所持していなければ、職場側に病気や障がいがバレることは、基本的にありません。
ただし、体調を崩して、長期間にわたり業務遂行が困難になった時には、病気や障がいを持っていることがバレて、会社によっては「解雇」される可能性もあります。
もしかすると、採用面接時に、自分の病気や障がいを面接官に開示すると、就職が不利になることがあるかもしれません。
しかしながら、職場側に、病気や障がいを開示している人のほうが、同じ職場で長く働けているというデータもあります。
そのため、うつ病で体調を崩しやすい方には、将来的な解雇の心配をなくしたり、心身の負担を減らしながら働きやすくしたりするためにも、「オープン就労」をおすすめします。