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ビジネスモデルと戦略 #54

持続する企業・組織は、経営者が意識していようがいまいまいが、必ず健全な「ビジネスモデル」の上に成り立っているものです。

以前「ビジネスモデル」とは何かについてユニクロと松井証券を例に考えてみました。その際は「ビジネスモデル」を以下のように定義しました。

ドメイン理論(誰に、何を、どのように)+利益モデル(収益構造、コスト構造)

この「ビジネスモデル」は、ビジネス(事業)として収益を上げる構造・仕組みを説明するものですが、この「ビジネスモデル」と「戦略」がしばしば混同して語られる場合があります。

しかしながら、この両者は決して同じものではありません。今回はこの点についてご説明します。

「戦略」とは何かというと、それは競合との「競争」に勝つための施策です。具体的にはどうしたらライバルとの競争で優位に立てるのかを説明するものです。

どんなに優れたビジネスモデルでも他社が容易に真似できるものであれば、遅かれ早かれ「競争」に巻き込まれ、儲けることができなくなってしまいます。場合によっては、他社に取って代わられてしまうことになるかもしれません。

したがって、この「ビジネスモデル」に「戦略」の要素を織り込んだ上で、事業全体の仕組みを考える必要があります。

具体的には、

どのような市場・顧客をターゲットとするか
どのような商品・サービスを提供するか
どのような価値を、どのように提供するか

という「ビジネスモデル」の各要素ごとに、競合との差別化を図る「戦略」を持っておく必要があります。

健全なビジネスモデルは、事業を持続させるための「必要条件」ではありますが、「十分条件」ではないということを認識する必要があります。

新規事業の検討で、ビジネスモデルに意識が向きすぎて、戦略の要素が欠落しているものを見かけますので、気をつけたいものです。

なお、たまにビジネスモデルがニッチで、競合の入り込む余地が少なく、そのためビジネスモデル自体が戦略的要素(模倣困難という点で差別化が図られている)を持ち合わせている場合もありますが、それはあくまで例外的なものとなります。

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