見出し画像

新規事業 #10

今回は企業の成長戦略、新規事業について、考えてみたいと思います。

成長戦略を考えるフレームワークとしては、「アンゾフの成長マトリックス」があります。

この「アンゾフの成長マトリックス」とは、イゴール・アンゾフ(1918-2002)氏によって提唱された、事業の成長・拡大を図る際に用いられるフレームワークのことです。

画像1

出典:GLOBIS_知見録

事業展開を「製品」と「市場」「既存」と「新規」に分けて、4つの象限で表すことで、今後の成長戦略の方向性を検討するためのツールになります。

それぞれの象限の意味するところは、以下の説明が詳しいので、そちらをご参照いただければと思います。

新規事業で最も難易度が高いのが、新たな経営資源が必要となる第4象限の「多角化」になります。第2象限と第3象限については、その企業の持つ強み・弱みや外部環境によって、難易度の優劣は異なると思います。

企業が新規事業を志向する理由はいくつかあります。

例えば、事業には「プロダクト・ライフ・サイクル」があり、どんな事業もいずれ行き詰まる時が来ます。それに備えて新規事業が必要になるケースがあります。

また、既存の経営資源を活かすために「範囲の経済」を強化し、本業とのシナジー効果を狙うという目的で行われる場合もあります。

組織活性化を目的とする場合もあるでしょう。

一方で、事業ポートフォリオ上のリスク分散のために新規事業が必要となるケースもあると思います。

いずれにしても、新規事業は企業が成長するためには、避けて通れないチャレンジとなります。

新規事業にチャレンジする際に考えるべき重要な視点として、以下があります。

新規事業の財務/人材マネジメント
新規事業計画の作成と実行

財務的視点では、PLよりもBSを重視すること、キャッシュフロー・マネジメントをしっかり行うことが大事になります。

人材マネジメントでは、外部環境、内部環境を踏まえてビジネスモデルに合った組織、チームを構成・運営することが重要です。新規事業は、既存事業とは異なるビジネスモデルですので、既存事業と同じ組織構成・運営で行っては当然うまくいきません。

また、新規事業計画では、シナリオ別の予測財務諸表を作成しますが、そこで大切なのが、その前提となる事業戦略、マーケティング戦略がしっかり検討されていること、予測財務諸表とそれらの戦略が整合的であることです。

よくあるのが、見映えのいい予測財務諸表を裏付けとなる戦略根拠が曖昧なまま作ってしまうことです。推進派として良く見せたい気持ちは分かりますが、これでは、当然事業としてはうまくいかないですし、後々何が問題だったのかを検証をすることもできません。

新規事業のビジネスプランニングのポイントを僕なりに以下のようにまとめてみました。

儲かるか、勝てるか(続けられるか)、やりたいか、いつやるか
なぜ、それを当社がやるのか。やるべきことなのか
客観的にはいいと思われることもビジネスには相性がある。自社の経営資源、組織文化との相性の見極めも重要
事業経済性とビジネスモデル、戦略の間で整合性を詰め、リスクを勘案しながら事業計画を作成すること
予測財務諸表と戦略の整合性(表面的な赤字か黒字かではなく、予測数値の前提と戦略の整合性)をしっかり取ること

やってみなければ分からないは真実だと思いますが、成功確率を上げるためには用意周到でなければなりません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?