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仮説思考 vol.1 #43

今回は、2回に分けて、「仮説思考」について考えてみたいと思います。

かしこまって「仮説思考」と言ってますが、実は、これは普段我々が無意識にやっていることでもあります。

そのメカニズムやプロセスを理解して、目的(問い:イシュー)に応じて意識的に使いこなしていくということが大事なポイントになります。

1.そもそも「仮説」とはなにか?

 そもそも「仮説」とは何かということですが、wikipediaでは、以下のように説明されています。

真偽はともかくとして、何らかの現象や法則性を説明するのに役立つ命題のこと
何らかの実際の現象や規則性に出会ったものの、その現象や規則性が出現する仕組みや機序が知られていないような場合に、それを説明するために、人が考え出した筋道や推論の前提のことである
何らかの現象(事実)を説明することが出来るように考えて作った命題は、命題それ自体は事実に合致していることがわかるまでは全く真偽不明なので、あくまで「仮の説」になる

参考:科学における仮説とその検証
1)ある結果を説明する仮説を考える
2) 仮説を検証するための実験方法を考える
3) 実験を行い、仮説が支持されるかを確認する
4) 以上を繰り返し、仮説の深堀り、再構築を行う

⇒ 科学の進化の源は「仮説」

ここでは「仮説」を、「ある問い(イシュー:テーマや論点)に対する、現時点での最善・最高と思わる“仮の答え”」と定義したいと思います。例としては、以下のような感じです。

「AをすればBになるだろう」 
「Cの主要な原因はDだ」 

実は世の中で「真実」と思われていることも、大部分は仮説レベルということが多いです。ですので、どこかの時点で必ず検証されなければなりません。

冒頭でも言ったように、「仮説」は普段誰もが普通に用いているものだと思います。

「自分はこうだと思うな」という時点でそれは立派な「仮説」です。

2.仮説思考のイメージ

では、普段どのように「仮説」を用いているかというと、以下のような構図ではないでしょうか。

複数の並列的情報から「仮説」を導き出す

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3.「そら・あめ・かさ」の思考プロセス

「そら・あめ・かさ」という思考フレームワークがあります。これも「仮説思考」に基づくフレームワークです。

空を見て、雨が降りそうと予想して(状況(理由)仮説の立案)、打ち手として傘を持って行こうと対処策を考える(打ち手(結論)仮説の立案)

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4.仮説思考のパターン

「仮説思考」のパターンには、大きく分けて2つあります。「情報複数型」と「仮説複数型」です。

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その問い(イシュー)に対する経験値が高まれば、高まるほど、「情報複数型」から「仮説複数型」に成長していきます。

「情報複数型」の仮説思考では、情報の網羅性が重要となります。

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「仮説複数型」の仮説思考では、問い(イシュー)に対する経験値が重要になります。

雨が降るならどのように対処すべきか?
⇒雨が降るということに対しては、皆経験値が高いので、いきなり仮の答えの候補が列挙できる

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駆け出しが「思いつき」で仮説を出しても、余計に時間がかかり、正解にたどりつけません。

「仮説複数型」には、情報、知識、経験等の蓄積(ベテラン)が必要となります。

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5.羽生善治氏の言葉

「直感」 「読み」 「大局観」

一般的に経験を積むに連れ、「直感」「大局観」の比重が高くなる。これはある程度の年齢を重ねることで成熟していく傾向がある
「読み」は計算する力といっても過言ではない。したがって、10代や20代前半は基本的に「読み」を中心に考え、年齢とともに感覚的に捉える方法にシフトする

羽生氏の「直感」 「読み」 「大局観」は、ちょうど仮説思考の成長プロセス(「情報複数型」→「仮説複数型」)と同じコンセプトだと思います。

出典:「直感力」羽生善治著(PHP新書)

6.まとめ

それでは、これまでのまとめです。

「仮説」とは、ある問い(イシュー:テーマや論点)に対する、現時点での最善・最高と思わる“仮の答え”
「仮説」はすでに日常的に使っていること
「仮説」には大きく、「状況(理由)の仮説」と「打ち手(結論)の仮説」がある
• 結論に導く背後の理由やメカニズムを考えるー理由の仮説
• アクションに結び付く結論を常に持つー結論の仮説
仮説思考のパターンには、「情報複数型」と「仮説複数型」があるが、経験が浅いうちは、「情報複数型」⇒「仮説複数型」の流れをより意識する

「仮説思考」は、普段誰もが無意識に行なっていることです。自分の「仮説」がどのメカニズム、プロセスに基づいているかを意識することで、「仮説」の精度を高めることができると思います。

vol.2ではこの「仮説思考」をビジネスにどう応用するかを考えていきたいと思います。


参考文献・引用:
「ビジネスの課題を発見するための超並列型仮説思考」株式会社ギックス 代表取締役CEO 網野知博(schoo webcampus)
「仮説思考による新商品開発実習」グロービス経営大学院 嶋田毅(schoo webcampus)

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