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Jリーグマッチレビュー⑨J3第4節 相模原vs松本【あの日のリベンジへ】

さて、今回はJ3第4節、SC相模原vs松本山雅FCのマッチレビュー書いていきます。今季互いにJ3に降格し、互いに優勝候補でもある「緑対決」。
そしてなんと言っても、昨年のギオンスタジアムの対決によって、松本はこの地でJ3降格を決めてしまった因縁の地でもあります。さらには相模原には元松本の古巣対決が3人。なんとしても勝ってリベンジしたい松本は燃える要素だらけ。
そこを前節見事な逆転勝利で再び勢いに乗りたい相模原が返り撃つのか。4節にして早くも注目の対決になります。

JR原当麻駅から歩いて、いつもトトロに出てくるような山を登ると着くギオンスタジアム。その山の前には桜が色づいていた
着いたのは試合開始2時間前だったが、早くもこの列
バス待ちの様子
SC相模原のマスコット兼契約社員さん、ガミティ。ひよこじゃないですガチョウです。でも年々愛さしさが増してきてとてもいい感じです

今日の私の観戦ユニフォーム

2021年 1st(㉙村越凱光)

観戦ユニフォームは2021年の1stユニフォーム。普段は過去に勝ったユニフォームとかで行くんですが、今回はぜひ昨年のリベンジを、という強い気持ちのため昨シーズンのものを。これ着てまだ勝ったこともなかったし。
このユニフォームのコンセプトは「CLIMB UP!」(登り切れ!)1stフィールドプレイヤーのボディに、北アルプスの険しい稜線をイメージしたグラフィックを大胆に採用したもの。アルプスを採用するのが松本山雅らしい。

スターティングメンバーと試合の見どころ

SC相模原

予想フォーメーションは4-4-2。
前節からの変更点は最終ラインの左SBに渡部大輔がスタメンに。中盤は右の二列目に10番・藤本淳吾が復帰し、精度の高い左足がゴールを脅かす。2トップはここまで全試合出場の大型FW浮田健誠と古巣相手の対決となる船山貴之が復帰。
リザーブには前節メンバー外だった川﨑裕大、安藤翼が入った。

昇格組のいわきに苦杯を舐めたあとの前節の宮崎戦は、前半ATに先制弾を食らうも、後半開始に大宮からテスト入団で加入した藤沼拓夢が見事なゴラッソ2発。勢いのつく勝ち方をした。この試合もスーパーサブとして控える。2試合連続の決定的な仕事なるか。

注目選手は船山貴之。かつて松本の昇格に大きく貢献した男は千葉時代から松本相手にゴールを決めてきた。未だゴールはないが献身的なプレーと強烈シュートでらしさは見せている。古巣相手の移籍後初ゴールなるか。

松本山雅FC

予想フォーメーションは3-1-4-2。
前節までの3節は4-4-2だったが、コロナ陽性者やケガの影響もありシステムをチェンジ。
メンバー変更は常田克人が3バックの一角に入り、前節は右SBだった前貴之はボランチに、左SBだった下川陽太は右サイドハーフに入った。ボランチの前の相棒には2戦ぶりに住田将が入り、ボランチでは初のスタメンとなった。
2シャドーには存在感を見せるルーキー・菊井悠介と今季初先発の村越凱光。1トップには2戦ぶりのスタメンとなる横山歩夢が入った。前節はPKながら途中出場でゴールも奪い、敗れたチームで気を吐いた。
リザーブには松本大学在学中の特別指定選手・濱名真央が初のベンチ入り。期待の大きさが伺える。榎本樹は2戦ぶりのベンチ入りとなった。

2連勝で迎えたホーム開幕戦の鹿児島戦では痛い黒星。アウェーで最低限の連勝の勢いをうまく繋げられなかった。昇格に向けていきなりの正念場かつ、因縁の相模原戦。その戦いで名波浩監督は若手主体に舵を切った。

注目選手は村越凱光。今季初先発でその追い回しで相手のDFラインにプレッシャーをかける動きが期待される。ここでアピールで名を挙げられるか。

前半

試合前から強めの雨が降る展開。
構図はボールを回していき、ターゲットの浮田、裏抜けを狙う船山らを効果的に使ってくる相模原に対し、前線の菊井、村越、横山の前線の若い選手のプレスでプレッシャーをかけていく松本といった流れに。

すると、先に実ったのは松本。前半13分、中盤でボランチの住田がボールを奪うと横山にセンターサークル付近で渡す。横山はおよそ40mほど持ち味のスピードあふれるドリブルで抜けると、シャドーの村越をうまく囮に使って空いたゴール左隅のコースへ。見事な突破から松本が先制する。

さらにそれから8分後の21分にセットプレーを右サイドのライン際で獲得すると、住田が直接ゴールへ向かっては蹴らず、近くにいた外山に預けてずらすと、その外山がゴール前へクロス。クロスが相模原ディフェンスに当たってこぼれたところを攻め上がっていた常田がうまく左足のつま先でコントロールし、強烈に左足一閃。右隅に吸い込まれて相模原GK圍は動けず。松本が早い時間帯に追加点を奪う。

相模原は2点を奪われてもボールを回す姿勢は変わらず、CKで再三チャンスを作るも、そのセットプレーからのこぼれ球を拾ったシュートがなかなか枠に飛ばない。それでも38分に船山の突破から浮田のシュートがポストを叩くと、その流れからボールをつなぎ、浮田のポストプレーの潰れから左サイドをうまく抜けた渡部の優しいクロスに逆サイドの藤本がヘッド。1点をようやく返した。
前半はこのまま1-2、松本リードで折り返す。

後半

HT、相模原は松橋優安に替えて前節大仕事の藤沼を、松本は初先発の村越を下げて浜崎拓磨を投入する。次の大切な一点をどちらが取るかというところで互いに動いた格好となった。

早めに追いつきたい相模原は前半以上に前がかりになった。それを予測していたであろう松本は、奪ってからの高速カウンターで後半開始から右サイドを中心に再三脅威を与える。
すると後半10分。その右サイドの下川がペナルティエリア手前をめがけたロングボールを供給。味方に合わず相模原DF藤原優大がスピードを緩めつつ処理しようとしたところに、横山が猛然と持ち前のスピードでプレスをかけボールを奪うと、そのまま角度のないところからゴール左高めへ突き刺し本日2点目で1-3。大切な一点は松本に入った。横山はプロ初の複数得点となった。

こうなるともう松本の高速カウンターは止まらない。菊井や横山といった前線の運動量は全く落ちず、相模原の攻撃が外れ、こぼれ球を拾うと一気に高速カウンターが始まる展開が続く。菊井らは積極的にミドルシュートを放ったが、相模原は古巣相手に圍が意地を見せ、ゴールはなかなか割れず。ゴールは奪えなかったが大きな貢献を見せた菊井と、見事な2発を奪った横山に替えて、特別指定の濱名、榎本が後半39分に投入される。

濱名は臆することなく持ち味の小刻みなドリブルで相模原DFを少ない時間で翻弄。すると後半45+1分。濱名がドリブルで引きつけると、左サイドの外山が裏へ抜け、濱名がスルーパス。受けた外山は右隅へ左足を振り抜き、ポストを叩いてゴールイン。守らずに攻め切った松本がダメ押しの4点目。外山はサイドながら今季三点目となった。
そのまま試合は終了。松本が1-4と見事な快勝で昨シーズンの雪辱を晴らした。

ざっくり感想

SC相模原

厳しい言い方をすると、昇格候補としては物足りない試合になってしまった印象。前半のスタッツでは相模原の支配率は60%だった。しかしシュート数6本に対して枠内は藤本のゴールの1本のみ。松本が40%でシュート6本で枠内が5本で2点ということを考えると痛かった。

後半も追いつくべく、前がかりになったやり方は悪くなかったが、ゴールを割れずこぼれ球をひたすら拾われ、特に左サイドから再三松本の高速カウンターの餌食に。時間が経過するごとに反撃の芽はしぼんでいってしまった。特に3失点目の藤原の判断ミスであったり、古巣対決となった水本は完全に松本のアタッカーの穴となり狙われていた。
脅威となっていたのは浮田のポストプレー。ゴールこそなかったものの、長崎の都倉賢を彷彿とさせるターゲットマンとしての役割はキープ力や潰れの強さで果たしたと言える。とはいえ未だノーゴールなだけに、次節以降はチームを救うゴールがほしい。

松本山雅FC

ピンチをチャンスに変え、若手の躍動と容赦ない高速カウンターで掴みとった因縁の地のリベンジの快勝。是が非でも欲しかった勝ち点3から得たものは大きい。
前半の項目でも書いたとおり、1トップ2シャドーのプレッシングは凄まじく、支配率で上回られても慌てなかった。村越は前半での交代となったが、内容を悲観的に捉えるものではなく、スタミナ切れかな?と思う。1点目の囮にもなった貢献もあり、次戦も引き続き見たい選手。

後半に入って存在価値を高めたのは下川。高速カウンターで何度も攻守に右サイドを駆け上がり、クロス、ミドルシュート、ブロックと獅子奮迅の活躍はお見事。横山の2発が目立つが、この男の働きなしに高速カウンターはあり得なかった。
交代選手も頭から入って落ち着きをもたらした浜崎と、特別指定ながらいきなりアシストを決めた濱名の2人の仕事ぶりは大きかった。途中出場選手の良い働きは今季ずっと継続されていることは名波監督を評価すべき。

MOM

横山歩夢(松本FW)

今節までに積み上げたゴールは2点だったが、セットプレーからのこぼれ球とPKによるもの。しかし今節は持ち味の爆発的なスピードとチェイスから流れの中で決めたプロ初の複数得点。若きエース覚醒の瞬間と言っても差し支えない大活躍だった。
周りに出しても点は取れたと思うが、自ら持ち込んで決めに行くエゴイストが詰まった1点目。ボールを奪ってからゴールのみ見て完璧なコースへ突き刺した2点目。FWとして必要な「俺が決める」という強い気持ちの姿勢も備わってきたと思う。よく比較される前田大然(セルティック)も2018年の絶好調時はそんな感じだった。次節以降の爆発も十分有り得そうだ。

サッカーの悔しさは、サッカーでしか晴らせない

このタイトルは、ジュビロ磐田の監督をしていた人が話していた私の好きな言葉である。
その発言の主は名波浩監督。ジュビロのときにそれを何度も口にし、成功を勝ち取ってきたため印象に残っている。ミスをした選手やチームにそれを言っていたが、今回の対戦はまさにそれを体現しなければならないゲームであった。

私が観戦に行ったYS横浜戦で中心となった佐藤和弘や、パウリーニョは不在だった。彼らは精神的にも中心となれる選手。だが、抜擢された怖いもの知らずの若手たちは期待に応えた。昨年の降格の試合の悔しさは知らないかもしれない。若手だけではなく、今季加わった経験豊富な安田理大も自身のインスタでそのことについては触れてくれていた。それでもチーム全体が前を向いてただの1試合ではない特別な試合を制した。

相変わらずホームジャックし最高の雰囲気を作り上げる山雅のサポーターも含めて、やはり今年は一体感が昨年とは比べ物にならないぐらい良い空気だ。連敗しなかったこと、同じ昇格候補相手に力の差を見せての勝利。
関東は早くも今季はこれで最後となるが、YS横浜戦、相模原戦と連勝を見せてくれたことに、大変感謝したい。

↓安田理大のインスタはこちら。こういう気持ちはとても嬉しいし、ミチらしいコメント。

まだ声は出せないけど、4点奪えてタオルをたくさん回せた。雨で濡れてちょっと重みがあるタオルだが、勝てば何も問題なし
相模原も含めて緑に染まったギオンスタジアム。ほぼほぼ山雅の緑。得点が入りすぎて太鼓の人のスティックはバキバキに折れたらしいが、それも勲章。今日も最高の一体感だった



試合結果

相模原1-4松本
得点
【相模原】藤本淳吾(前半40分)
【松本】横山歩夢(前半13分、後半10分)、常田克人(前半21分)、外山凌(後半45+1分)
🟨
【相模原】藤本淳吾(前半19分)、船山貴之(後半26分)
【松本】村越凱光(前半10分)、前貴之(後半43分)

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