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『月曜日のたわわ』と核心を避ける「ほのエロさ」

 『月曜日のたわわ』という、女子高生の胸の大きさがテーマとなった漫画があるそうです。「たわわ」とは、胸の大きさのことを言っているのですね。その漫画の広告が、4月4日付の日経新聞の全面広告に掲載されて、「ちゃんとした新聞が、未成年者の性的な描写を含む漫画の広告を出していいのか」と問題になっているそうです。おおよそ二つの記事を読んだだけなので、何か勘違いしていたらすみません。読んだのは、https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_624f8d37e4b066ecde03f5b7とhttps://agora-web.jp/archives/2055940.htmlです。

 はじめに、僕は日本の漫画やアニメ、アイドルといったコンテンツにおける「ほのエロさ」があまり得意ではありません。今回の『月曜日のたわわ』もそうですが、そのような「穏やかにいやらしいコンテンツ」を見ると、2秒後にはアダルト動画を見たくなるからです。なんだかバカみたいなことを言っていますが、とても真面目なので、許してください。僕自身がそうだし、僕が想像する20代の成人男性とは、そういうものです。ほのエロい漫画を読むくらいなら、ガシガシにエロい成人向け漫画を読むし、エロ動画を見る。

 こんなことを書いたのは、あの程度の漫画がどのくらい「エロい」のか、誰もちゃんと考えてないと思ったからです。僕が想像するに、あれはただのギャグ漫画です。エロそうなのを売りにしているだけで、大してエロくない。最近のギャグ漫画がどれくらいエロいのかわからないので断言は避けますが、そんなにエロくないなら新聞に広告が出てもいいだろうし、全編にわたって乳首がバッチリ出てたら全国紙の朝刊に広告はダメでしょう。結局のところ、「乳首や乳輪、あるいは陰茎の直接的な描写」といった具体的な基準に落としていかないと、「目指すべき社会にふさわしくない表現はダメ」のような観念的な基準では、広告を規制するのは難しいし、危険でもあると思うからです。

 これは余談ですが、『月曜日のたわわ』のような漫画を読める人は、非常にユーモアがあり、自己抑制的で、穏やかなエロを好む方々だと思います。そもそも、ヤングマガジンに連載されている漫画という時点で、絶対に「乳首ポロリ」はないという事がわかっている。そんな漫画を律儀に購入し、決して生のおっぱいではない「おっぱいあるある」や「布に隠されたおっぱい」といった「核心 = 乳首」の周辺(一昔前なら「萌え」と言ったかもしれません)を楽しめるというのは、当たり前のことではありません。

 今回の問題で批難されているのは、実は「広告主」である「ヤングマガジン」でも、「媒体」である「日本経済新聞」でもないように思います。その中間にイメージとして存在する「男性中心社会」と「日本経済の男性会社員たち」に、怒りが向けられている。今回の広告を見て一気にエロが爆発する人は論外で、それよりも「広告を見て元気になったり癒されたり」する、「『男性中心社会』と『抑圧されている若い女性の存在』に無自覚な男性」が批難されているのだろうし、そういう人がたくさんいると思うと、僕もなんだかやるせない気持ちになります。でも、それと同時に、別に広告一つ見るたびに「男性中心社会と抑圧されている若い女性の存在」に胸を痛めて自問する必要があるのかどうか、僕には実際のところ分かりません。

 日本経済新聞に、女子高生を性的に描写する漫画の広告を出稿するメリットがなくなる時代が来てほしいな、とは思います。

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