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世界最大の謎は、ユーフォーでもユーレイでもなく、「ユーが何者なのか」である。 『本当の強みの見つけ方(福井崇人著)』の話。



私たちは、みんな迷子だ。
生きることは、迷うことである。

自分がいったい何者なのか、
何に向かって何をすべきなのか
わからない人は多いと思う。
私もその一人だ。

自分のことは
自分自身が一番わかっているようで
わかっていない。

こんなことを書くと、
「いきなり何の話やねん」と
ツッコまれるかもしれないが、
できることなら、チャチャを入れないでほしい。
チャチャといえば勝俣である。



[人生はけっこう短い]


最近は人生100年時代とよく言われるけれど、
日本人の平均寿命が20年伸びたとしても
結局「あっという間」だろう。
40代中盤の私ですら、振り返れば
30代〜40代前半は2週間くらいで終わった。

心は変わらず肉体だけが老いていく。
みんな若いまま死んでいく。
私たち人間は耐久年数が最長100年ほどの
消耗品のボディスーツを着ているだけに過ぎない。

自分が何者なのか知るのに100年は短すぎる。
自分という存在に確信を持つのに
300年くらいは必要ではないかと思う。

私たちにとって、この世界で一番の謎は、
ピラミッドがどうやって作られたのかではなく、
宇宙人や幽霊が存在するかどうかではなく、
「自分は何のために生きているか」である。



[一冊の本との出会い]


そんなことを悶々と思う日々のなか、
普段から仲良くさせていただいている
福井崇人さんが一冊の本を世に送り出した。

福井さんは、私が最もリスペクトする
人物の一人である。
大手広告代理店から独立し、大学で教えていたり、
有名人をプロデュースしたり、その他にも色々と
活動されている多才なお方だ。

その本というのが、
『「本当の強み」の見つけ方』である。


この本を一言で表現するならば。

「人生の迷子を保護する本」
いや、この表現はイマイチかな。

「自分の歩き方」
地球の歩き方のパロディみたいだけど、
意外としっくりくるぞ。

うん、そうだ。
この本は「自分の歩き方」だ。
自分の取り扱い説明書を作る本である。

会社勤めの人、就活中の学生、転職活動中の人、
起業を志す人、人間関係に悩む人、
日常がつまらないと感じている人など、
あらゆる人たちが、この一冊によって、
人生をどう過ごすかの
ヒントを得ることができる
だろう。

ちなみに、本記事は、書籍のステマではない。
本当におすすめできると思ったから
紹介することにしたのだ。



[こんなことが書かれていた]


本書は、7章で構成されており、
順を追って読み進めていくことで
最終的に「自分の歩き方」が
見えてくる内容となっている。

副題に「人生が変わったという声続出の
自己価値発見トレーニング」
とある通り、
ただ読むだけでなく、実際に読み手自身が
「考える」「導き出す」作業も必要になる。
なので、まずPCやペンや紙などを用意した上で
ページをめくってほしい。

読み進めながら、あなたは
丁寧に時間をさかのぼっていく。
自分の深淵に降りていく。

小学生時代の夏に見たあの風景。
父親に言われた何気ないあの一言。
今だからこそ思えるあの人への感謝。
みんなの前で先生に褒められたあの瞬間。

普通に生きていれば
思い出すこともなかったであろう
記憶のかけらたちがどんどん呼び覚まされ、
つなぎ合わさっていく。
自分しか知り得ないそれらのデータが、
どんどん言語化して積み重ねられていく。

集めに集めた自分のデータを、
世の中が求めていることや
近くにいる人が求めていることに
照らし合わせていく。

ここまででお気づきの方もいるだろう。
そう。本書は、単純な読書よりも、
「思い出す」作業の方に時間を多く使う


この作業、やってみればわかるのだが、
スムーズに思い通りにはいかない。
とはいえ、自分が立っている現在地を知る
重要な手がかりになるので、頑張ろう。

また、本書を1回読んだだけでは、
はっきりわからないかもしれない。
トレーニングと書かれてあるように、
繰り返すたびに新しいデータが生まれるので、
「自分の歩き方」の精度も高まっていく。

噛めば噛むほど味のでる、
キャラメルのような一冊である。

第5章では、具体例が紹介されている。
細田守監督、倉木麻衣さん、
レディガガ、ココシャネル、大谷翔平さんなど
有名人が登場する。
彼らの言葉やアクションの根底にあることがわかり、
「なるほど!」となる。なかなか面白い。



[難しい言葉は気にしない]


途中、「パーパス」という
聞き慣れない言葉が出てくる。
その意味は、「存在意義」という
堅苦しいニュアンスなのだが、
あんまり気にせず読んでほしい。
「パーパス」を噛み砕いて言うと、
「自分にしかない価値」である。
小難しいカタカナに感じるかもしれないが、
この言葉そのものは重要ではない。
大切なのは、本書を読む目的と作業内容が
理解できていること
だ。

この本に書かれているのは、
読み手それぞれの「パーパスを導き出そう」
という内容だが、TAGO風に言い換えると、
「自分の歩き方の文章を作ろう」だ。

本書を読む目的は、
今まで気づかなかった自分の魅力、
やりたいこと、できることを見つけ、
それを軸にした豊かな人生を送ること。


本書でやることは、
読書と同時に、自分の過去や
周囲について言葉に書き出す作業を行い、
「自分の歩き方の文章」を作ること。



[TAGOもやってみた]


私はすでに3回読み返している。

「自分の歩き方」の、
ぼんやりとした輪郭が見えてきた。

私は性格的にこういった作業に
時間がかかるタイプ
のようで、
昔から「自分は◎◎◎な人」
「自分は◎◎◎なタイプ」などと
自分のキャラを設定するのが苦手だ。
誰かから決めつけられるのもイヤだ。

・・・自分の話はこの辺にしとこう。



[人生の財産になる作業]


誤解がないように言っておくと、
本書のゴールは、
「自分を決めつける」のではなく、
「過去と現在の事実」から
「自分を導き出す」ことである。

人によっては時間がかかると思う。
でも、後からきっと気づくはずだ。
自分の人生における大切な時間だったと。


「自分自身」を知るのは難しい。
ぼんやりしていて、つかみどころがない。
気分は天気のように変わる。
自己肯定感は想像以上に脆く頼りない。

自分はこんな人間かも。
いや、違う。こんな人間だ。
いやいや、本当の自分はこんな人間だ!と
確信を持てないのは珍しいことではない。
自分の説明書は最初から誰も持っていない。

でも、この本で
自分の内側を洗い出して書き出し、
自分の個性や強みや魅力を導き出すことで、
以前より客観的に自分自身を見れるようになる。
あらゆるシーンで求められる
選択と判断において、迷いが減る。
人や社会のために、自分が
どのように役立つことができるのかがわかる。

「自分ってこんな人」感が何となくわかるのは、
人生のさまざまな場面で役立つと思う。

周りを見渡せば、
迷いなく人生を歩んでいる人、
歩んでいる風に見える人がいる。
彼らもまた、悩み迷った末に、
こういった自己分析的な作業を
やったのかもしれない。



[生きるのが少しラクになる]


最後に。
こんなこと言うと元も子もないけれど、
本当は「人生の目的」「自分の歩き方」なんて
なくてもいいのかもしれない。
生きているだけで偉い。
さんまさんは「人生は暇つぶし」と言っていた。

それでも、本書をおすすめしたいのは、
生きるのを以前より
少しラクにしてくれると思うから。

ぶっちゃけ、「自分の歩き方」を
うまく導き出せなかったとしても、
それでもいいのだ。

その作業をした過程そのものに価値があるから。


人生で迷子になっているあなたが、
幸せに自分らしく生きられますように。






読んでもらえるだけで幸せ。スキしてくれたらもっと幸せ。