『函の悪戯』(超短編小説/400字)
菊地正春様
先週は誘って頂きありがとうございました。お蕎麦、大変美味しかったです。繊細な蕎麦の香りとサクサクの天ぷら。正春さんに連れていって頂けなければ、あの名店に出会えなかったと思います。同時にお店がそこにあったから正春さんと一緒に蕎麦を食べることができたということですね。今度信州に来られるのはいつになりますか?
「何これ? お父さん宛の手紙みたいだけど・・・」
「えっ何?」
母はその古い便せんを見た瞬間、さっと私から奪い取った。そして読まずにエプロンのポケット