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12月はM-1だ!の話。

私はお笑いが大好きです。
かつては芸人になりたいとすら思ったこともありました。
今もそのリスペクトは止まることを知らず。
欠かさず聞いてる芸人さんのラジオ番組も複数ありますし、会場に落語を聞きに行くことも度々あります。
兵動大樹さんの【おしゃべり大好き】は全部行ってますし。

そんな私にとって12月といえば当然M-1!
M-1はなぜか太っ腹でサブスクで見放題が多いですよね!
私は繰り返し観てます。
あの緊張感の中での高パフォーマンス!
いや、あの緊張感だからこそ出せるのかな。
昔からなんでも音楽に結びつけるクセがあるけど、お笑いも音楽も舞台芸なので何かと参考にさせてもらってます。

「あの緊張感の中、自分だったらいつも通りのパフォーマンスが出せるだろうか」なんてよく考えます。
時代と共にお笑いが変わってゆくのも、M-1観てるとヒシヒシと伝わり、私は3年目にフットボールアワーが披露した漫才が、漫才というものを大きく変えたと思っています。
『結婚記者会見(ネタ)以前以後』に分けられると考えています。
それ以後も色んなスタイルの漫才が生み出されてますが、それが定着したかどうか、で考えると、現代のスタイルはフットボールアワーが作ったと思うのです。
例えばナイツとか、オードリーとか、自分だけのスタイルを持ってるコンビ(ないしユニット)も沢山いますがね。

今日はそんなM-1史上、私が最も感動した一年をピックアップして話したいと思うわけです。
それが2019年。
ミルクボーイが優勝した年です。
あのミルクボーイのネタはしょっちゅう振り返って観るのですが(後にその理由は話します)、先日この随筆のネタにしようと最初から最後までU-NEXTで全部観ました。
改めて凄い年でした。
初っ端がニューヨーク。
結果最下位なんですが、私からしたらこの日いきなり現れて存在感をイイだけ示し、ここから有名になった感じ。
2番手かまいたち。完全に優勝候補です。
それに相応しいネタを披露し、たぶん多くの人がこのままかまいたちだな、と思ったと思うんです。
そして3組目に登場するのが敗者復活枠から和牛。
和牛は例年の優勝候補。
昨年までもみんなが真似をするようなネタで席巻し、惜しくも優勝を逃すが今年はじゅうぶんにそれを超えるほどのネタ。
暫定一位のかまいたちにピッタリと寄せ二位。
この年はダークホース枠が多かったんです。
「ダレ??」っていうコンビが。
その一つ、すゑひろがりず。企画モノのネタとでも言いますか、漫才で言うところのイロモノとでも言いますかw
ウケないですよねwww
…って多くの人が観てたと思うんです。
しかしこれが面白い!観る側の上を行くネタ。
点数こそ高くないものの高評価でニューヨーク同様この日からしょっちゅう観ることになる。
そしてからし蓮根、見取り図と続き、それぞれしっかりウケる。
そこにミルクボーイ。
言い換えると、少し疲れてくる頃だと思うんです。
そこに見た目いわゆる「いま風」じゃないふたり。
これは厳しいかなぁと。
というのはミルクボーイ、私は知っていたんです。
兵動さんのラジオ番組に何度か出演されて、ネタを披露していてとても面白かった。実は私の大本命だったんです。
しかし多くの人が名前すら知らず、という状況。ダークホースの中のダークホース。
本人らも「今年2回目のテレビ出演だ」と。
今となれば定番の、お客さんから何かをもらいポケットにしまうという掴み。誰も知らないのでフワッとだけウケる。
ヤバいなーと僕。
ラジオで聞いていたのと同じ構成のネタ。
ん?んん?
面白いぞ!今まで聞いたネタより面白い!
どうだ?ウケるか?と観てた。
リアルタイムで観た時にしかこの感覚わからないんですが、「うわ!かかった!!」ってタイミングがあったんです。
誰も知らないミルクボーイを会場全員が受け入れた瞬間。会場がドカーンドカーンと割れる。
うわ、ミルクボーイかかった!そう思った時、私は爆笑しながら号泣していた。
別に長年ファンだからとかではない。
ずっと応援してきたから、とかではない。
これは音楽のステージでもあることなんです。
滅多に観れるもんじゃないですが、客席で観ていて、パフォーマーが会場を掴んだ瞬間。もちろんその時私も掴まれていないと条件は満たさないわけですが。
その瞬間私は涙が溢れる。
その現場に遭遇したくて音楽続けているのだと思う。ホントにそれだけだと思う。
自分もその領域に達したくて。

ミルクボーイが起こした激しい波は最後まで弱まることはなく、会場は完全に飲み込まれた。
たぶん暫定一位二位のかまいたち、和牛とも観念したんじゃないでしょうか。
M-1常連組優勝候補の2組を軽々と越えてミルクボーイは暫定一位!
しかも過去最高得点を叩き出す、という。
これは感動した。
【漫才】というものの底力。
そして何より有名とか関係なく、面白いものがちゃんと評価されるのだと思い知らされた。
この瞬間最終決戦は終わってたとも言える気がするのです。
もう誰が観ても完全にミルクボーイでした。
この空気を味わいたくて、私はよくこのミルクボーイのネタを振り返り観るのです。

そのさなか出てくるのがオズワルド。
東京らしいテンションの低いネタ。
これはミルクボーイのあとしんどいぞーって観てたらこれがまた面白い!
むしろミルクボーイのあとに対応できたのはオズワルドだけじゃないか、と思うほど。
実際オズワルドはここから実力を伸ばし、来年は堂々と優勝候補と謳われるまでになる(優勝はしないが)。
そしてインディアンスが出てきてラストがぺこぱ。
中途半端に古い芸風というか。
現代では受け入れられ難いルックス。
…かと思いきやめちゃくちゃ現代にマッチングしたネタで、審査員長の松本人志氏曰く『ノリつっこまない』。
相手の言うことを肯定するというネタ。
もうヘトヘトの会場を再びのせて、なんと3位に浮上!

まさかの和牛を打ち砕くという。。。

最終決戦、ミルクボーイ、また定番の掴み。
お客さんから何かもらってポケットにしまう。
次はもうしっかりとウケる。
ある意味この時点でミルクボーイは優勝だったのでは?
誰もほとんど知らなかったネタを披露し、もう一度観たい!と思ってるところに同じ構成のネタ。
1本目を上回るほどのウケ方で結果発表。
審査員は松本人志氏を除いて全員がミルクボーイに投票。
圧巻でした。
全員がレベル高い一年で圧巻で優勝したミルクボーイ。
これを書いてる今も思い出すと泣けるほど。

凄い世界と、凄いコンテンツだと思う。

笑わせるって一番難しいこと、と立川志の輔氏が言っていた。
そう思う。
泣かす、怒らす方がよっぽど簡単。
「特に皆さんを怒らすことなんて私かんたんにできますよ」とまた笑いをとる志の輔さんw

今年もM-1が近づいて来ましたなー。
今年もまた楽しみです。

そして誰か若手芸人が言ってました。
「今(2023年)の方が、ミルクボーイさん、2019年よりずっと面白いですよ」と。

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