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2020 J2リーグ第26節 ツエーゲン金沢 VS レノファ山口 レビュー「相手によりけり、次は自分達との戦いを」

前回対戦のレビューはこちら↓

水戸VS山口のレビューはコチラ↓

何だか既視感があると思っていたら、7節前の水戸と闘った山口とあまり変わった感じがしませんでした。

スタメン

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山口はヘナン→武岡の1点のみの変更。このところ高くんとコンビを組んでいたヘナンさんを変えてきた霜田監督。武岡くん自体に問題がある訳ではありませんが、変える必要があったのか。そしてパウロさんはSB適正があるのか。菊池くんがサブなのも何故なのか。などなど傍から見ていても疑問の尽きない山口。

金沢は水曜日の男・作田くんが廣井くんに替わって出場。大橋くんが負傷明けで初スタメン。下川くんも負傷明けで久々の出場(他サポの方に説明しますと、大橋くんは負傷の発表がありましたが、下川くんは発表無し。この違いが私にもわかりません)。長谷川・高安がベンチ外となりました。

先発2トップは山根・ルカオコンビになりました。これはローテーションの意味合いなのでしょうか。しばらく見て行かないとわかりませんが、前線の4人は交代する予定なので、結局のところは、相手からすれば試合残り時間30分前後でもう一度フレッシュな攻撃陣と相対する事になります。心理的に嫌ではあると思います。ただ、それもほぼ規定路線。今後対策はされるはず。俺なら対策します。

周りが見えていない山口

この日もノリノリのルカオさん。2分27秒に藤村くんが奪ったボールを受けると、スピードに乗ったドリブルで武岡くんとヘニキさんを置き去りにしてシュート。

6分37秒には大胆なタックルでヘニキさんをブッ倒してボールを奪い、逆にタックルに来たパウロさんを手で押しのけてPA内に進入。序盤から存在感を見せつけます。

DAZNの試合前インタビューで山口の印象を聞かれたヤナ将が「守備面での整備が出来ているのかなぁ・・・」と語っていたように、いくらルカオさんが脅威であったとしてもチームで対応出来ていれば、自由にさせられなかったはず。しかし先ほどの6分37秒のように、誰かがアタックに行ってダメなら次の誰かがアタックに行く、といった後手後手の守備になってしまっています。

いくら攻撃的なサッカーを目指すと言っても、得失点差がマイナスでは勝てません。しかも26節を終了して、得失点差マイナス16点の山口(21位)。

金沢が今シーズン、攻撃的なサッカーに着手したのも昨シーズンまでの激しいプレスでサイドに誘導し、挟んで奪い取るというスタイルを確立させたから出来る事で、(実際にはそこまで堅守とは思わなかったが、引き分けが多く得点力不足が露呈した為)山口には守備での確立したものがまだ無いと感じます。

山口のドタバタ具合はビルドアップの振る舞いからも見て取る事が出来ます。12分30秒からのシーンです。

①田中のりっちゃん(田中律子ではなく陸くん)が渡邊・島津に囲まれ奪われそうになったボールを、なんとか高くんに渡します。その時、自ボールになったと思った武岡くんは前に走り出します。
②高くんは中央に味方がいないのを見てヘニキさんにパスを出します。同時にヘニキさんからボールが出るであろうパウロさんに、プレッシャーをかけに行く窪田きゅん。少し遅れて、ボールを受ける味方がいないと察知した池上くんがボールを受けに来ます。
③ヘニキさんがボールコントロールをミスしてロスト。

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その流れで放った大橋くんのミドルシュートはゴールポストに弾かれます。(もうどれだけ尚志のミドルズドンを待っていることか・・・)

13分37秒、右サイドで下川くんから山根永遠くんに出たロングボールはヘニキさんがボールを奪うのですが、パウロさんがボールを受けにくるのが遅い為に、結局前に思い切りクリアせねばならず、セカンドボールをまた金沢に回収されます。

金沢は序盤の攻撃のほとんどを右サイドから行っていたにも関わらず、攻めたいパウロさんがカバーにくるのが遅れてしまい苦しい展開に。その他にも落ち着いてトラップしてからボールを蹴りだせばいい場面でもダイレクトに思い切り蹴ってボールをロストしていたパウロさん。それでは前半途中で交代させられるのも無理はありません。

理想的な崩しの1点目。

下のハイライト動画の開始時が1点目のシーンです。

自陣でボールを奪って攻め上がる金沢ですが、そんなに速く上がっているという感じもありません。しかし渡邊くんから下川くんへとサイドチェンジした時からギアが上がります。

止める蹴るでリズムを変えてパスを送りPAに入っていく下川くん。小刻みなステップからのボールの蹴り出しで、ヘニキさんとの距離を取りクロスを上げる永遠くん。眞鍋くんに右手で触って「ここにいますよー」とアピールしておいてスッと前に入り込むルカオさん。眞鍋くんや吉満くんの位置取りも決して良いとは言えませんが、3人の個人の力があってこその連携。何度もチャンスが生まれていた金沢が先制点をあげます。

金沢1-0山口

この少し前から山口は少しづつ落ち着きを取り戻し始め、金沢陣内へとボールを前進させられるようになりましたが、パスミスやボールコントロールミスからのボールロストでせっかくのマイボールを失います。

自滅の失点

そして2点目もそんな山口のミスからでした。

ルカオさんが右サイド深くでボールキープし、ゴール前にクロスを出します(この時点でヘニキさんがボールを外に出さないとね)。そのボールが眞鍋くんのところへ。トラップなのかクリアなのか中途半端になりボールが窪田きゅんに渡ります。落ち着いて窪田きゅんが島津頼盛くんにパスし、ミドルをズドン。

初得点の時は喜びを爆発させて、訳のわからん動きをしていた頼盛くんですが、慣れてきたのか得点後のパフォーマンスにも余裕が感じられました。これも成長の証ですね。

金沢2-0山口

窪田きゅんの挑戦

この日の窪田きゅんは30分過ぎにダイレクトでグラウンダーのクロスを出したり、44分15秒にはこぼれ球をすくって永遠くんとのワンツーからゴール前に抜け出そうとしたり、今までとは違う動きを意識していたように見えました。

初ゴールは記録しましたが、あれから早や2か月。後半開始直後にはゴールバーに弾かれる惜しいシュートもありました。頼盛くんは6ゴール記録していますから、窪田きゅんももう少しゴールが欲しいところでしょう。クロスも対応され始めていますし、いろんな動きで相手に迷いを生じさせていやらしい選手になって欲しいものです。いやらしくてきゃわいいなんて最高じゃないですか(変態のつぶやき)。

町田戦同様に、チャンスを多く演出しながら2点で前半を終えた金沢。今日こそは大丈夫かと思いましたが、まさかの事態が発生します。

後半開始

山口は眞鍋→菊池。大宮で長きに渡ってディフェンスの要として君臨してきた経験はまだ山口には還元されてはいません。眞鍋くんは菊池くんのようなCBと組ませて経験を積むべきだと僕は思うのですが・・・。

菊池くんが入っても山口のパスには安定感が戻りません。パスミスによるボールロストで山根永遠くんがゴールポストスレスレにシュートを放ち、自らリズムを失う山口。

しかし違いを出したのはやはり菊池くんでした。53分9秒からのシーン。

何気に今まで出来ていなかった山口のパス回しで欠けていたもの。相手を引き付けてパスし、供給した相手へ次の選択肢を作る。このビルドアップから山口の反撃のきっかけとなる1点目が生まれます。

再生してすぐ流れるシーンが山口の1点目です。高くんの飛び出しも見事で藤村くんを振り切っていますが、池上→安在→高とボールが繋がると高くんが前を向いてゴールに進む事が出来るので、そのままシュートを打つ事が出来ます。

金沢2-1山口

金沢はその後、流れを変える為にルカオ・山根・窪田の3枚を一気に加藤・杉浦恭平・金子に交代しますが山口に2点目を献上してしまいます。

再生してすぐ流れるシーンが山口の2点目です。

下の図で表した黄色の下川くんと石尾くんの距離が空きすぎていて、池上くんに入られてしまいます。

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イウリ・池上がとても近い位置取りをしていて、その位置によってどちらがマークにつくか決めていた石尾・作田に一瞬の迷いを生じさせています。

そして動画を見て欲しいのですが、浮田くんが見事です。ゴール前で囲まれながらイウリさんにパス。1点目と同じ、前方向でボールを受ける事が出来てそのままシュート。

同じ相手とは思えない見事な立ち直りで、あっという間に同点に。

金沢2-2山口

前節、前半を2点リードで折り返しながら同点に追いつかれた悪夢がまた起こってしまいました。ですが、違うのはここから先でした。

下川くんのピンポイントクロス、恭平くんの打点の高いヘディング。先ほどの失点と同じく菊池・ヘニキが陸次樹くんに気をとられ恭平くんをフリーにしてしまっています。下の動画は金沢の3点目からスタートします。

金沢3-2山口

ここから山口は後半21分に浮田→村田、後半32分にイウリ→小松、武岡→ヘナンと交代。サイドからの崩しに一層、力を入れます。小松のポスト直撃のヘディングなど決定機を作り出すものの、再度追い付く力はありませんでした。

金沢は藤村→本塚、島津→ホドルフォと5人すべて交代カードを使い、ロスタイムに正岡子規ばりに坊主をキメてきたチットがダメ押しの4点目を決めて勝負あり。下川→陸次樹→恭平→チットとボールが繋がるのですが、先ほどの得点と同様、陸次樹くんが潰し役に徹してゴールをお膳立てしました。

試合終了 金沢4-2山口

スタッツ

ハイライト

前半は非常に良かった。集中力も高く、攻守とも狙いを持ってやれていた。ただ2点だけでなく、3点、4点、5点取れるチャンスは十分にあった。そこで決めて相手の息の根を止めることが必要。2失点は向こうが必死になって出てくるので仕方ないかなと思う。
前節は2-2。後半、ちょっと集中を欠いてようやく勝点1を取れたというゲームをしての今日だったので、少し選手たちもピリッとして、3点、4点入れて勝点を取れたのではないか。(ヤナ将試合後コメント:J's goalより抜粋)

山口が最初から落ち着きを持っていたらどうなったかわからない試合でした。エクスキューズを言うなら山口は前・流帆・三幸・佐々木・山下・宮代らの主力が昨年からチームを去り、立て直せずにいる状態。お気の毒に感じますがこの世界、結果が全て。霜田さん、頑張って。

金沢は前半の15分までで9本、後半の開始から15分までで6本のシュートを放ち計15本を外し、得点する事が出来ませんでした。これを一つでも入れられていたら山口の息の根を止められたと思います。

下川くんが復帰し3得点に絡む活躍。やはりこの人の高い精度の「止める・蹴る」はどこのポジションに入っても大きな武器です。リーグ後半戦に頼もしい人材の復帰。次こそは潰すこと無く使っていって欲しいです。

チットさんは得点を決めましたが、頼盛くんを引っ張ったところを見ると未だヤナ将の合格ラインには達してい無さそう。それならそれで、ほかにもメンバーの再考は出来そうですがどうなりますやら。下川くんに差をつけられてしまった長谷川くんにも奮起を期待します。

次節はアウェーで0-6と惨敗を喫した磐田戦。借りはきっちり今季のうちに返しておきたいですね。藤村くんがイエロー累積で欠場ですが、前回対戦で力の差を感じ、ズルズルとパフォーマンスが低下してしまった本塚くんに大活躍を期待します。

ヤットさんや小川航くんにばかり目が行きがちですが、山雅のように苦手意識を持たないためにも次節は必勝です。今のスカッドならやってくれると信じて、西部緑地に集まりましょう!



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