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J2 リーグ第40節ホーム最終戦 ツエーゲン金沢 VS 栃木SC「DRAW=LOSE」

ホームでの最終節が行われないのは、あの2016年の忌まわしいシーズン以来。新しいファンの方に説明すると、最終節の札幌ドームで清水・山雅と昇格を争っていたコンサドーレ札幌と岐阜・北九州と残留争いをしていたツエーゲン金沢との一戦。

同時進行していた他会場の経過を受け、両者とも負け無ければ昇格・残留プレーオフが決まり「引き分け狙い」の試合となって物議をかもした。金沢はその後栃木SCに0-1、2-0と勝利し残留を決めたのだが、芝の張替え工事の為プレーオフ第2戦のホーム戦を富山県総合運動公園陸上競技場で行うという、もしそこで降格してしまったら悔やんでも悔やみ切れなかったという波乱の年の瀬であった。

開幕戦も最終戦もホームで開催されないなんてどんな罰ゲームだよ、と思いたくもなる。2016年でさえ開幕戦はホーム戦だった。さすがにそこまでは日程くんも気が回らなかったか。

しかし、そんなことを一瞬で吹き飛ばすニュースが2日前に発表された。

この件に関してはもちろん喜んでいる人も多いだろうが、僕の意見はシーズンオフにでもお話します。今のところは予想どおりでした、とでも言っておきます。

試合の方に目を向けると、栃木は39節終了時点で徳島・福岡に次ぐ3位の失点の少なさで、リーグ18位の得点力を補ってきた。さらにはボール支配率がリーグ最低の1試合平均39.3%で被攻撃回数も一番多い。要するに耐えて勝つのが常のチームである。皆さんは試合を見てどう感じただろうか。金沢が試合のペースを握っていた、と見えただろうが栃木としては想定内も想定内。

ちなみに金沢が支配率50%を超えた試合は、今節を含めないと8試合あるが一度も勝てていない(2分6敗)。得点が5点で失点が16点。こういう場合、攻め手を欠くあるいは決定力が無い、という事になるのだがそこに焦点を当てて見てみたい。その前に。

スタメン

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楽させてもらう為にSOFASCOREさんから拝借。

金沢はきょんぺーさん→山根の変更のみ。調子の良いきょんぺーさんを使わないヤナ将。今回は何となく納得。何故かは後ほど。

栃木は川田・有馬・エスクデロがOUTで塩田・山本・矢野がIN。今回の結果に影響があったかは別として、経験豊富なベテランがいるのはやはり頼もしい。

前半

1分に山根くんが、5分に田代くんがゴールを決めて1-1の振り出しに。結局、本当のキックオフはこれからだった。

再キックオフはセカンドボールの奪い合いから。栃木の激しいチェイシングを避けるようにロングボールが後方から放たれた。しかし、そこからは地上戦が始まる。狙いは3つあった。

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基本的にはこれを両サイドで行いながら綻びを探していた金沢。ただ、そこには足りないものがあった。それを持っていたのが栃木だった。

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上の図はFootball labさんから拝借した今節のスタッツです。ボール支配率が高く、パス数も多い金沢。しかしチャンス構築率は栃木に軍配が。ボールを多く持っていてもチャンスにはならないという事が良くわかります。

ポゼッション(ボール保持の状態)からゴールを奪う事、それはすなわちコンビネーション合わせゲーなのです。どれだけ練習をしたか。そして周囲との呼吸が合って同じイメージを共有できるか。今の金沢が十分な積み重ねが出来ているかと言えばそうではない。

金沢に足りなかったもの

それは栃木の明本くんのような、ドリブラーです。いや、決して金沢にいない訳ではない。山根くんや藤村くんなど足元で勝負できる選手はいます。しかし今回はそういう仕事は与えられていなかったのでしょう。上の図では金沢のドリブルは11回と栃木の10回より多いですが、カウンター時に行ったものとSBやSHがタッチライン際でボールを運ぶ為に行ったモノのようです。

しかし、栃木は明本くん一人で6回のドリブルを行っている。26分10秒の廣井・チットの間を抜けてFKを得たドリブルや、サイド深くに切れ込んでクロスを上げるなど、今回の金沢に明本くんのような動きをしてくれる選手がいれば・・・と思う場面が少なくなかった。

しかし栃木にも、もう一人決定力のあるFWがいれば・・・というところ。それがわかっているから田坂監督は守りの堅いチーム作りをしている。開始1分のゴールさえなければ・・・あとは想定内だったはず。

結局、金沢は前半の序盤に①②③の攻撃を得点に結びつける事ができず、中盤はシュートまで持っていけず栃木にじりじり押し込まれ、終盤に巻き返すも追加点を奪えず。

あっと、忘れるとこだった。今回、杉浦恭平くんが先発ではないのは、①②③のいずれにも活躍の場が無いから。FWは今回はターゲットとなる役どころ。もう少し最初からスペースがあった方がきょんぺーは活きる(ただ、それもヤナ将のプランだから。もう少しやりようはあるように感じるが。教えて欲しい方は聞いてくんなまし)。

しかし、金沢は後半作戦を変更。

後半

じゃあカウンターすりゃいいじぁん。という事ですぐに決行。

栃木がカウンターになりかけたボールを自陣ゴール前でカットした金沢はチットがボールを持ち運び、藤村くんへボールを渡した51分23秒、藤村くんが山根くんへ出したパスをスルーして後ろの島津くんへ。惜しくもタイミングが合わずシュートならず。

この他にも縦に早くボールを動かして島津くんがクロスを上げたり、逆サイドに素早くボールを動かし渡邊くでんがクロスを上げるなど、スピードで栃木に対抗しようとする様が見られる。これはカウンターとまでは行かなかったが。

次はカウンター。57分56秒にはセカンドボールの奪い合いから加藤くんが中盤まで下がってボールをカットし大橋くんに戻し、大外から駆け上がっていった島津くんにパス。GK塩田くんとの1対1に。

ここと同じくらいの最大の決定機が69分39秒。白井くんからのロングフィードが左サイド渡邊くん→チット→渡邊くんクロス→島津ヘッドで折り返し→加藤ボレーシュート。これも塩田くんに止められる。

今の金沢の一番の好機は50~70分

結局ポゼッションでもカウンターでも追加点を奪えなかった金沢。相手が息を吹き返すまでに仕留めなければいけなかった。最近の金沢の試合は50~70分くらいに試合が動く事が多い。それまでにリードしていなければやられる可能性も大きいという事だ。試合終了間際にもカウンターを食らい大島くんが惜しいシュートを放っている。どっちに転んでもおかしくない試合ではあった。

試合終了

スタッツ

ハイライト

試合後インタビューが塩田くんだったように、MVPを選べと言われれば塩田くんか明本くんかという試合だった。勝てなかった試合では無かっただけに残念でならない。ここ何試合か「結果より内容」と言い続けてきたが、今回はホーム最終戦という事で結果も欲しかった。

ただ、栃木は今季何度もこういう試合をしてきているチーム。ホームで打ち崩せなかった事、すなわちDRAW=LOSEなのだ。今はいい。しかし来季はそうも言っていられない。勝負の5年目のはずだからだ。

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