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2020 J2リーグ第10節 ツエーゲン金沢 VS 愛媛FC 代償

あぶ刑事好きなんでしばらく続けます(笑)

五連戦の初戦となるホームの愛媛FC戦。これから中3日や中2日で試合を行う。現代においてはプロ野球のピッチャーでも、そんな試合間隔で登板することはまず無い。例年のリーグ戦とは違うのはどこのクラブでも同じだが、まだ1/4も終えていないのに夏真っただ中。金沢の選手だけでは無く、Jの全クラブの選手達が怪我の無いように、心から祈っている。時には激しいプレーも仕方無いであろうが、身体が万全でなければ、防げる怪我も大怪我になる。(ちなみに試合翌日に、金子くんが栃木戦で負傷し全治4~6週間だった事が判明、(´;ω;`)ウゥゥ)

スタメン

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金沢はなんと、奇策「6ベンチ」を繰り出してきた(苦笑)「闘える選手を入れなかった俺が悪い」と前節、試合後のコメントで語っていたが、公式の監督コメントにその文章は一切載らず、しかもスタメンが前節と同じ、という一休さんでも答えられない「とんち」を効かせるのが、なんともヤナ将らしい。ヤナ将の哲学はブレない。

ベンチから杉浦力斗くんがいなくなったのは学業の影響かもしれないが、他の選手はベンチメンバーに入る事すら許されなかったようだ。J2イチ、登録選手の少ない我が軍でまさかの出来事。スタメン11人+6人で五連戦を乗り切るつもりじゃなかろうかと心配が拭えない。新潟からレンタルでやってきた渡邊くんが初のベンチ入り。

一方、愛媛は前節磐田戦から中央の選手を大きく替えてきた。怪我の情報などは入ってきてないので分からんが、山瀬・横谷・有田・吉田眞紀人など、いざという時頼りになるような選手がおらず、その代わり三原・川村などの若手が台頭してきている。外国人さんはこの情勢の中、契約したが来日出来ていないようだ。みんな結構若いなーと思ってみていたが、実は金沢のほうが平均年齢は若かった。

前半、CK得点50%の愛媛

愛媛の攻撃面から見てみよう。ビルドアップの始まりは前野・山崎のCBから。そこにGK岡本くんが入り、ルカオさんのチェイシングの圧力を削ぐ。主に左サイドの前野くんがタクトを振るう。金沢のFW加藤くんがCH川村くんのパスコースを切っていて愛媛は三原・長沼・森谷の3人が金沢のマークをずらしながら金沢陣内に侵入していく。

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金沢は、ある程度愛媛の攻撃を想定して守備が出来ていた。愛媛は川村くんが最終ラインに下りてきたり、森谷くんがポジションを大きく移動し、ビルドアップを試みるが、中にボールを入れさせない金沢は、サイドでボールを狩り取り対応。

しかし、前野くんは一瞬の隙を見逃さない。金沢FW加藤くんが自分のところへチェイシングに来る際に出来た、川村くんへのパスコースを使い中央から崩しにかかる。川村くんがドリブルで前進し長沼くんへパス。長沼くんはそのパスをスルーし三原くんにボールを預けながら、金沢CB石尾くんを剥がしていく。

石尾くんがなんとか喰らいつきコーナーキック(CK)を得た愛媛。前節までの得点の半数をコーナーキックから決めている。ここから短時間で2本のCKを得た。

最初は金沢の右側からゴールのニアを狙って。次のCKは金沢の左側から中央の山崎くんへ。空中戦に自信のあるCBだ。

金沢がそうであるようにCKに強みがあるチームは、流れの中で試合のペースを握れなくても、CKで流れを変えてしまえる。茂木くんが金沢GK白井くんの弾いたボールを押し込み、試合再開後も金沢がチャンスを多く作るが、ペースは愛媛で進んでいく。

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3本目のCKでもニアを狙いポストに当てた森谷くん。1点目が入りかなりノッてきた愛媛。

上の解説動画にあるようにサイドでボールを回し、失わないように逃げ道を作る。そしてじっくりファイナルサードへ進んでいく。2点目が生まれたのもCKからだったが、それも相手にボールを渡さずに、じりじりと優位に持っていった故のCKであり追加点だった。それにしても簡単に前進させすぎた。

「キン肉バスター!」と叫んだら、技が決まるわけない。

それでも金沢は攻める事が出来ていた。しかし、そうビッグチャンスが多かったわけでもない。

これは試合中の僕のつぶやきだが、愛媛は金沢の攻めのパターンをしっかりとスカウティングしてきており(たぶんね)金沢は前半、意外性が無い攻撃をしていた。実際のところ、長谷川くんのクロスがピンポイントで繰り出されるわけでもなければ大橋・藤村が飛び出してきてペナルティエリア(PA)に侵入するわけでもない。各々のプレーの精度も欠いていた。左SBの下川くんから供給されるアーリークロスは破壊力が抜群だが、使い方を間違えると武器にはならない。

ただひとつ、変化は前半から生まれていた。それは後半になって爆発する。

後半、流れは変わらず引き離される

愛媛は後半開始から、藤本くんに変えて丹羽くんを投入。丹羽くんは先発起用こそ2試合しかないが、全試合に出場しており勝負強さはピカイチ。てか、坊主姿がピンと来なかった私。

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まだ4年目なのに、京都の石櫃くんのようなベテラン感が漂う・・・。いや、いい意味でね(笑)

しかしこの丹羽くんが、いや愛媛の攻撃陣が頭脳プレーで3点目を決める。

三原くんから絶妙なタイミングでパスを引き出す丹羽くん。

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基本的に丹羽くんにマークに付くのは金沢CB石尾くんだったが、この時は丹羽くんは右に流れて(金沢左サイド)金沢SB下川くんがマークに付いていた。石尾くんは愛媛の長沼くんに、金沢CB廣井くんは森谷くんに付いていた。ちなみに後半から愛媛は渡邊くんがボランチの位置に、三原くんが左サイドに、森谷くんが二列目にとポジションチェンジしている。

長沼くんの動きに合わせて動く石尾くん。そのせいでオフサイドラインが下がり、そこにはマークがルーズになった丹羽くんが走りこんでいた。

後手に回った下川くんは、丹羽くんのフェイントで振り切られてしまい愛媛の3点目。普通なら勝負あっただろう。

名勝負はメンタルが大事

別に予言した訳では無い。確かにかなり分が悪いとは思ったが、まだ時間はたっぷりあった。逆転の劇的場面を見たいというよりも、ガムシャラになる金沢を見たかった。

昨年の終盤戦でプレーオフ進出を逃し、消化試合でも誇りと意地は見えなかった。ヤナ将は悔しさを滲ませ、試合中首を振りベンチへと下がった。何人かが退団し、新しい血が入った。

レンタルだろうが何だろうが関係無い。今、金沢の選手としてピッチに立っている選手達に、無様な試合を1試合もしてほしくは無い。空回りだろうが無駄な抵抗だろうが、結果より金沢の意地を見たかった。

分析をしていて根性論みたいになるのは自分でも矛盾を感じるが、僕も金沢サポーターの一人。諦めた選手を応援は出来ない。選手もどんな時でも信じて応援して欲しいはずだ。

目には目を、歯には歯を、CKにはCKを

上手くカタチとしては表せないが、藤村くんからCKが放たれる試合時間56分59秒、5対5で固まっていた選手の塊が散らばると、ルカオ・加藤に意識を奪われた愛媛ディフェンスの後ろを取ったキャプテン。ジャンプ、ボールのコース、ヘディングのタイミング共に完璧だった。

反撃の狼煙というより廣井くんは試合後に「単純に僕のマークでセットプレー2発、先に触られている」と愛媛の2得点への責任を吐露していることから、「自分のミスでみんなに迷惑をかけた」と思う責任感が生んだゴールだろう。何でもいい。その気持ちが全員に火をつけたのは間違いない

金沢の前半からの変化、爆発

変化とは加藤陸次樹くん、いやもしかしたら睦次樹くん以外なのかも知れない。前節までと同じ、ルカオさんと陸次樹くんは近いポジショニングではあったが、その二人の動きには明確な違いがあった。

6分51秒の下川くんからのふんわりした斜めのパスを陸次樹くんが(島津)頼盛くんに落として鋭いミドル。11分48秒の下川くんのアーリークロス。41分00秒の愛媛の右サイド深くに入り込む陸次樹くんから下川くんへ戻してニアの頼盛くんへのクロス。

今までならルカオさんが中心となり、陸次樹くんがそのセカンドボールを拾ったりルカオ・陸次樹・SHと並んで逆サイドからのクロスを待っている、またはルカオさんが裏へ飛び出す、と何でもルカオさん頼みで攻撃が作られていた。しかし今回は陸次樹くんの動きに合わせて回りが動いたり、ルカオさんが囮となり陸次樹くんにボールを集めるという攻撃に変わっていた。

しかし前半の攻撃が得点に結びつかなかったのは、精度の問題とタイミングが単調だった事。

だから2点目の右SBへとポジションチェンジした下川くんから、戻りぎみに左足で上げたボールには対応できなかった。先ほどの愛媛の丹羽くんの得点の時のように、窪田きゅん(僕だけの呼び方)がオフサイドラインを下げて陸次樹くんの走り込みをアシストしている。

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しかも難しい後ろからのボールを少し外にトラップ、GKが飛び出せないところでループシュートというイメージが出来ていたと思われるゴール。

これで2-3。しかも同点に追いついたのが1分45秒後という電光石火。またもや下川→陸次樹のホットラインだったが2点目もしっかりこぼれ球を狙っていたルカオさんが今度は3点目を押し込む。

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そう言えば去年の今頃、ゴール決めてゴール裏に走りこんできた奴いたなぁ。どこにいるんだ。

そして給水タイムも流れを止める事は出来なかった。ここで愛媛は田中裕人くんを入れて、もう一度ゆっくりとパスを回して体制を立て直すべきだったのではないだろうか。3-3に追いつかれて焦ったのか、縦に急いでしまったところで相手に簡単にボールを奪われた愛媛。フレッシュな窪田きゅんが集中力の切れた相手の裏へと全力で走る。

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上げたクロスはきれいなオウンゴールとなったが、あんなに勢い良く入るともうほとんど窪田きゅんのゴールと言ってもいい。逆にプロ初ゴールを綺麗に決めた愛媛の三原くんは後味の悪い試合となった。廣井くんの得点以外はすべて3バックの左脇、つまり自らがカバーしなければいけないところを突かれている。

しかし、逆に次に対戦する時が楽しみになった。今年のルーキーは面白いのが多い。

残り20分ほどになったが、愛媛は再逆転するべく西田・丹羽の2トップのような形になり、右に入った小暮くんとトップ下に入った忽那くんの二人を中心にボールを動かしてチャンスを作ろうとする。確かに前半に比べると縦や斜めにロングボールが飛ぶ事が多くなったが、結局付け焼刃で、実際のところ88分50秒くらいの金沢CBとSBの間(チャンネル)に入り込まれたのが一番危ないシーンだっただろうか(金沢の集中力もかなり切れかかっていたが)。

試合終了

しかし今年はなんと先制点を取られてしまう事の多い事か。じりじりと自陣に押し込まれ失点をしてしまうという、スロースターターぶりをまたもや発揮してしまったのは今後の反省として生かして欲しい。点を取られないようにするのは難しい。しかし簡単にやられすぎている。丹羽くんの得点の時もマークの受け渡しがイージーなミス。

攻撃では、これからも今回のような加藤・ルカオの関係性が持続できれば得点の量産を期待できるのではないか。初ゴールの時にはあまり量産は期待出来ないと思っていたが、今回は少し期待してもいい。しかし、過密日程で動きが鈍くなってしまわないか心配。もちろん下川依存とも言える攻撃も、もう少し負担を分散しなければいけない。好調・北九州、京都、山形、磐田と簡単ではない相手ばかりだ。移動距離も長くなる。出場選手の疲労も考慮して、せめてベンチメンバーはフルで入れて欲しい。

前回の3連戦も初戦は勝ったが連敗した。勝って兜の尾を締めよ。積み重ねが大事だが、それが感じられなかったのが今までの金沢だ。また元に戻ってしまったら連敗という大きな代償を払う事になる。そうならないよう祈るのみ。










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