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2020 J2リーグ第9節 水戸ホーリーホック VS ツエーゲン金沢 許容

ワクワクが止まらなかった。水戸との試合がようやく観られる。出来れば通常のリーグ開催で見たかったが、仕方が無い。条件は同じなのだから。

僕には金沢の他にも気にして観ているチームが3つある。

町田はまさしく町田という街が好きだから。そして、徳島はリカ将のサッカーの面白さに魅了されて観ている。そして水戸はクラブの規模が金沢と同じくらいだが、具体的な目標を掲げているし、それを実行している。さらには秋葉監督が僕と同じ歳という事もあり、注目せずにはいられなくなった。詳しくは下のリンクを見ていただきたい。金沢と水戸の比較も行っている。

事あるごとに言ってはいますが、クラブが強くなる為に、僕が出来る事を探す為には、試合の分析だけしていてもダメなのです。

クラブの理念や目標設定、経営方針、アカデミー等の運営方針、地域との関わりなどなど、クラブの細部に至るまで何でも知りたい。そしてどうすれば強くなるかを考えたい。強さとは一過性のものではありません。そんなものはすぐに元に戻ってしまいます。

戦術ボードだけでは語れないものが沢山ある。もちろんこの水戸との試合にも。

スタメン

水戸は前節3バックからのスタートだった為、今節は4バックで、大きくメンバーが変わった。もちろん、ターンオーバーという意味合いもある。去年センターフォワードとして出場していた村田くんは右サイドハーフで出場、そしてスタメン経験の乏しい平塚くんを先発起用してきた秋葉監督。試合でしか貴重な経験は得られないという事だろう。注目の松崎・奥田はベンチスタート。チームに馴染んできたピットブルさんもベンチ。

金沢は前節、初の右サイドハーフ起用で、良い動きを見せた高安くんをそのまま使う。下川くんは今回は本職の左サイドバックで出場。あの男とあの男はやはりベンチ外。あの男は怪我なのか・・・?

今回は得点にフォーカスを当てる為に、今一度そのシーンを下の動画から確認して頂きたい。

金沢の得点

テーマはイレギュラーを狙うという事。確か栃木戦のレビューで「ソリボール」ならぬ「ヤナボール」と書いて山雅サポのフォロワーを失ってしまった(苦笑)が、「ソリ(ヤナ)ボール」自体を否定するつもりは無い。現実を受け止め、それが一番得点の可能性が高いと判断して選んだ策だと思うから。ただ、選手の質が向上するか、チームが強くなるかと聞かれるとNOではあるが。

金沢の得点は2つともGK白井くんからのロングボールだ。それも2つともンドカさんの処理のミス。確かに対人には強さを発揮するンドカさんだが、ボールの処理での危険な場面は何度か見てきた。イレギュラーを狙うにしても可能性は、より高いほうに。

金沢の失点・一点目

白井くんが2回共ゴールシーンを演出した理由として、白井くんのロングボールの精度が高い事に加え、GKという相手の最後尾からのパスがチャンスになる確率が少ないという思い込みを利用している。去年、バルセロナのGKテア・シュテーゲンがFWルイス・スアレスのゴールをアシストした事で話題になったが、あれもクラブ初のGKのアシストだった。

そしてもう一つの理由として、センターバックやボランチの負担軽減という役目も果たしていると思われる。湘南から短期レンタルでベンチを温めていた堀田くんが、試合に出られずじまいで帰ってしまった一番の理由は、ここにあるのではないかとみている(堀田くんのプレーを見たわけではないので、実のところは不明だが)。

今シーズン全試合、全時間出場しているのは白井・石尾・大橋の3名。藤村くんは負傷で1試合欠場。当然ボランチの二人にかかる負担は、大きなものになるのは想像に難くないが、昨シーズンは二人の数値に大きな隔たりが無かったのに対して、今年は傾向が少し違う。

平均のプレーエリアデータで、藤村くんは大橋くんよりファイナルサードのプレー割合が高くなっている。さらにパスの割合、ボール奪取の割合は大橋くんの方が高くなってきている。簡単に言えば、昨シーズンの横の関係というより縦関係になっていて守備の面での負担が、より大橋くんに掛かっている。藤村くんはボールを持つ時間自体が減っている。その理由としてFWやSHのカバーに入ったり、囮としての動き、前線からのパスカットなどに重きを置いていると思われる。

なので、サイドハーフの疲労面が目立つようになっているが、大橋くん一人に掛かる負担は相当なものである。

だからといっては言い訳にしかならないかもしれないが、1失点目のようなミスはある程度、許容しなければいけないのかも知れない。もちろん、過酷なスケジュールでターンオーバーを考えないというチーム自体を許容するのが前提だが。

金沢の失点・二点目 後半、満を持して松崎快

二点目は色んな要素を含んでいる。水戸のダイレクトなパス交換から、、左ききの松崎くんのハーフスペースでのパスの受け方と、中山くんへのパスのボールタッチ。中山くんは、PAのどの辺でパスを貰ったか分かっていたので、ゴールを見なくてもFWとしての嗅覚でゴールをこじ開けた。

山口くんの運動量も要因の一つだ。少し前はボランチの位置でパスを貰っていたが、ゴールシーンでは中山くんよりも前の位置にいて、中山くんのシュートの時間を作る要因となっている。細かい事なのだが、サッカーは0コンマ1秒でシュートが打てるか、シュートを防げるかが変わってくる。

直前に頼盛くんがイエローを貰った事も痛かった。松崎くんを強引に止めようとしたが、もう体力的にキツかったのだろう。この失点シーンのディフェンスには参加していなかった。もう少し早く交代出来ていればと感じはしたが・・・。

金沢の失点・三点目

さて同点となったこの試合、残り時間は約30分、イケイケのホームチーム。まだチャンスメーク出来る松崎くんは入ったばかりで、局面を変えられる攻撃的なカードがまだ3つベンチに控えている(奥田・深堀・ピットブル)。対する追い付かれた金沢は、SHとFWを交代するのは予定どおり。流れを大きく変えるというよりは、持ちこたえてわずかなチャンスを狙うしかない。

ここが劇的に見えて、実は確実に差がある点なのである。1年目の秋葉監督が「300点満点」と言った今オフの補強。実際、そんな事は無いとは思うがモチベーターとしての要素は十分に感じる。そしてクラブの予算などもあまり差が無いところを見ると、決定的なのは綿密に考えられて集めた選手の層。色々な制約があるとは思うが、なんせこちらは4年目。言い訳を作ろうと思えばあちらに適わない。実際、水戸の選手はかなり実戦に投入されていて「全選手が試合に絡むように」と言っていた金沢のほうが絡んでいない

最後の3失点目の手前のロングカウンターのシーンでも、追い付くのがやっとだった。点を狙う姿勢を見せながらここまで良く踏ん張ったと思う。しかし、ボールを扱う精度やオフザボールの動きが、疲労によって低下していた選手も何人かいた

最後はピットブル→松崎→ピットブルのワンツー。ヤナ将の「終わってない!」というゲキがスタジアムに虚しく響く。

特にパスカットされた訳でもなく、後方からのビルドアップでワンツーで抜け出されたというのは、明らかにスタミナ切れによる集中力の低下だろう。ほとんどがボールウォッチャーになっていた。

試合結果、ここからは完全な個人的見解。

「闘える選手を入れなかったのは俺が悪かった」というヤナ将。どこをどういっているのかは不明だが、選手達は次に水戸とホームで戦う時には絶対に勝つ!という思いを持って欲しい。

試合後にお互いの選手が健闘を称えあう姿が見られた。それがスポーツの良いところである。見ていて気持ちの良くなる瞬間でもある。

しかし、それとは切り離して、4年目の現体制が善戦マンで良いはずが無い。確かに良くやった。しかしそれで終わっていては結果はいつになってもついて来ない。厳しく言えば4年それで終わっている。良い試合はするけど善戦で終わるチームがあるとしたら、いつまで許容できるだろうか。結果的に現時点で14位。他サポからすると、驚きも何もない順位である。

秋葉監督の「THIS IS FOOTBALL!」の言葉は狙いがハマって勝ったからこそ言える言葉だ。もっと上を見て戦え。許容されているという事は「お前らはそんなもんだ」と思われているという事。想像を超えて見せろ。

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