中巻サムネ

挑戦を、この街の伝統に、未来へ繋げ J2リーグ最終節 VS大宮アルディージャ(2019.11.24)中編【ツエーゲン金沢が強くなるための分析】五つの必要なもの

さてさて、ここにやってきたという事は前編は読んだのか?なに読んで無い?愚か者め!(ヤサガラス死ななくて良かったね)

中巻サムネ

嘘です。ようこそいらっしゃいました!前編を読んでここに来ているあなたは相当のサッカー好きのツエーゲン好きとお見受けします。もし読まれてない方は下のリンクからご覧いただけると嬉しいです。というか、あんまりボリューム大で三部作になってしまいました!今回は中編、次回に後編をアップしますのでよろしくお願いします。

見る前にお願い(おふざけなしです)

見ている方の気持ちを害する批判的内容かも知れません。でも私、嘘はつきたくありません。厳しい事も沢山書きます。私はツエーゲン金沢が大好きです。私は親友が間違った事をしていたら親友が不快になろうとも意見します。それと同じです。見て下さる方もそうかもしれませんが、私は生涯ツエーゲンを応援しますから。だから意見や疑問を僕にどんどん言って下さい。僕は見て下さる一人一人を大切にしたい、繋がりたい、そういう思いです。

後編サムネ2

今年の観戦成績

後編1

ね!?びっくりするでしょ(笑)都合で毎試合行けないにしても8戦0勝7分1敗。今年はホームで7勝。21戦7勝だから33.3%。3回に1回は勝利を味わえるはずなのに・・・喜べていない。

今年は15勝16分11敗と言う事で引き分けの数では町田・栃木と並んで1位です。勝ちの数は12位。

引き分けには勝てたのではないかという引き分けと、あともう少しでやられていたという引き分けがあると思います。

負けずに勝ち点1を積み重ねていく事も大事ですが、来年はそれを勝利に変えて欲しい!最終節引き分けた大宮戦からその方法を紐解きます。僕がツエーゲンに必要だと思う事は大きく5つ。今回の中編ではそのうち2つをお話しします。

やるべき事を描く

試合後の柳下監督(以下ヤナ将)のコメントです。

チームとしてやるべきことが同じように描くことができた。チームとして崩されているというよりも個のところでミスがあったり、すべてポジションが悪いというミスなんですけど、それは個を上げていくしかない。それと、勝点を失ってもいいような難しいゲームでも勝点1を拾えるように粘り強くなっている。逆に勝点3が欲しいゲームで決め切れない。チャンスは作っているけれども最後のフィニッシュのところの精度がまだまだ足りない。昨年もそうだったけれども、今年も来年も上げていかなければならない。(J'S GOALより抜粋)

ヤナ将はこう言っていますがはたしてそうでしょうか?

その1 見て感じて考えろ

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かのブルース・リー師匠の有名な言葉「考えるな、感じろ」ですが、これが出来るのは相当修行を積んだ者のみです。考えて考えて考え抜いたブルース・リーが本番に臨む時は頭をまっさらにするという話。ここまで辿りつくには大変ですが常に見て感じて考える事が現代サッカーには必要不可欠です。

下の図はショート・ロングカウンターのチーム別の指数です。ここでいう指数とは偏差値のようなもので数値が高いほどそのチームがショート・ロングカウンターを行っている攻撃が多いという事を示しています。(Football LABより引用)

後編5

後編3

ちなみにロング・ショートカウンターがどういう定義かは下の説明をご覧ください

後編6

ショートカウンターが22チーム中2位ロングカウンターが22チーム中1位。試合を見ていればわかりますがいかに金沢がカウンターのチームかと言う事がわかります。しかし、それが実際得点に結びついているでしょうか?

金沢のショートカウンターのシュート率は17.5%(16位)

ショートカウンターのシュート率1位は大宮で21.9%

金沢のショートカウンターゴール率は1.4%(16位)

ショートカウンターのゴール率1位は大宮と山形で3.0%です。

数値だけ見ても分かりにくいですが、ショートカウンターの金沢の指数64、大宮は55です。金沢が100回やって1~2回得点出来る事に対して大宮は3回得点出来ます。指数が大宮より金沢のほうが高いですから実際のカウンター実施回数は金沢のほうが多い大宮が金沢くらいショートカウンターをしたらもっと得点出来ると言う事です。それだけカウンターをしているのに下手だと言う事になります。ちなみに

金沢のロングカウンターのシュート率は15.7%(16位)

ロングカウンターのシュート率1位は柏で25.4%

金沢のロングカウンターゴール率は1.4%(16位)

ロングカウンターのゴール率1位は横浜FCと東京Vで3.8%(柏3.0%)

「やるべき事を同じように描く事ができた」それはゴール前までの事を言っているのかも知れません。ですが、最近の金沢で良く目にするプレーがあります。

68:05のシーンです

後編8

後編7

加藤くんのパスでPA(ペナルティエリア)に進入した垣田くん。しかし迷いとボールの出しどころが無く2度ほどキックフェイントを入れてボールを後ろに戻しシュートまでたどり着けません。

78:00ごろにも同じようなシーンが

後編9

後編10

そこにいくだけ。また何秒か経って戻します。

何故かわかりますか?見ていないのです。いつも周囲の状況を首を振って把握していない為にそこに着いてから「どうしよっかな」となるのです。また走り込む選手達が相手の嫌がる所に走り込んでいないのもあるでしょう。上の写真なら

後編11

ここまで考えて行動出来ないと「同じように描いた」とは言えないんじゃないでしょうか。寒くて困っている人にただ駆け寄って「どうしました?」と聞くのと、毛布やカイロを持っていって「これ使って下さい」と言うのくらい気の利かせ方が違います。その後の行動が決まってくるのです。

また、同じようで少し違うシーンがこちら61:39のシーン。藤村くんが左サイドに抜け出します。

後編12

ドリブルしながらチラチラ右側を見ていますが誰も来ません。もっと早くドリブルしようと思えば出来たはずですが味方が来る時間を作っています。しかし

後編13

ゴール前に集まるだけで近くでパスを受ける選手は誰も来ませんでした。藤村くんは苦しい体勢で打ちたくないであろうミドルを打ちました。下手に相手にボールを奪われカウンターされないようにする為です。

ピッチレベルで判断する事の難しさは僕にはわかりませんが、藤村くんのように周りをしっかり見ている選手と、周りを見ないでチャンスを逃す選手の違いは分かります。藤村くんはもう俺のいる場所はここじゃないと思っているかもしれません。(藤村くんが残るとしたらそれがヤナ将が続投する条件かも)

こんなシーンもありました。40:00くらいです。

後編17

前方で加藤くんと永遠くんがパスを要求していますが周りにいる大宮の選手に気づかれたのでパスを出さずドリブルを始める藤村くん。藤村くんがフリーでドリブルを始める時は時間を作っている時だと感じなければいけません。途中で藤村くんが再度加藤くんの方を見ます。

後編19

一度パスを出されなかったのでボールが来ないと思ったであろう加藤くん。ゆっくり安原のグラウンドを周回しているペースで走っていました。このあと藤村くんは後ろから来た奥抜くんにボールを取られてしまいます。ではどうしたらよかったのか。

後編21

加藤くんはイッペイさんの死角にいるわけですから、最終ラインから出ないようにして左隅に走れば良かったと思います。一度ゴールに走っていると見せかける矢印のような動きが出来ればなお良しですけど。藤村くんは相手に気づかれたくないのです。ボールを奪われる確率が上がりますから。

キレッキレのボランチ(CH)コンビの2人藤村・大橋。二人とも視野の広さは文句無しですが、タイプが違います。大橋くんはパスを受ける選手の動きを予測してパスを出しますが、藤村くんは敵が嫌がる空間を察知してパスを出します。(もちろん誰もいない所にボールを出すはずないけど)良いところにパスを出して「そこに獲りにいけよ」というパスなのです。そう思うと大橋くんのパスは優しいです。

最近特に周りと合っていないプレーが見られる藤村くん。「感じ取れる」選手がいないと自分が生きない。そう感じているかも知れません。

話は少し逸れましたが、周りを見て感じられる・考えられるようにならないと同じように描いてゴールまでたどり着けないと思います。「どうしようかな」では遅いのです。それが出来ないとせっかく金沢に才能あふれる選手が来ても出ていくようになるでしょう。

あと、永遠くんがいなくなってしまったらゴール前まで早くボールを運べる選手がいないのでカウンターのゴール率は低下するでしょう。実際、永遠くんが居なかった後半戦の得点パターンはカウンターが減少しています。

その2 決まり事を増やそう

前回福岡戦でも書いた事です。見ていない方は下のリンクからタイトル「プレー原則とは?」のところだけでもご覧ください。

34:32のシーンです。大宮のゴールキックがシモヴィッチさんめがけて飛んできます。

後編14

これはこれでなんで二人も競りに行ってるの?って感じなんですけど(ボール見てて声掛け忘れたんでしょうね)問題はそこではありません。周りは大宮の選手だらけ。セカンドボールを取る気があるんでしょうか?このボールは三門くんのところへ転がり大宮ボールとなりました。

27:11のシーンも同じです。

後編15

角野さん「シモヴィッチやはりここは競り勝ちます」

佐々木さん「ここは強いですねぇ」

・・・

競り負けるのはわかってるんです。競るのはあくまでシモヴィッチさんに自由にボールをコントロールさせない為。問題はその後のセカンドボールを取ろうとする大宮の選手を警戒していないという事。そりゃボール取れませんよ。

前回福岡戦の時はプレー原則の事を話しましたが、それよりも簡単な事です。「セカンドボールを狙おう!」

そんな事言ったってどこに飛んでくるか分からないし・・・って分かるんです。というか取られないようにするんです。

後編16

周りを取り囲む大宮の選手の近くにいて飛んできたら取ればいいんです。ボールを相手に渡さないようにする。マイボールにするのはその後。金子くんのいるところは飛んでくる確率がとてつもなく低いです。

多分「セカンドボールを狙おう!」とは言われていると思いますが、どうやって狙うかは言われていないのでは?言われていればもう少し回収出来ているはずです。(言わんでもわかるやろと思っているかも)

同じ事は白井くんの蹴るゴールキックの時にも言えます。大概、垣田くん目掛けて飛んできます。垣田くんの競り方も(ボールの収め方)あまり良いとは言えませんが、セカンドボールの回収率が驚くほど低いです。以前特別企画で白井くんの「キックの正確性について」というものを調べました。

その時はキックが選手に向かってちゃんと飛んでいるかのみを調べたのでセカンドボールを拾えているかデータを取りませんでしたが、あんまり拾えてないなというのが率直な感想で、今もそんなに変わってないと思います。マイボールは大事にしましょ。原則と決まり事をちゃんと作りましょう

でもこの点はヤナ将のインタビューなどからひとつひとつやる事を徹底させているみたいなのでこれから落とし込んでいく部分なのかなと思っています。来シーズン、しっかり見ていきたいと思います。

という事で残り3つは後編にて!お楽しみに!


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