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2020 J2リーグ第13節 ツエーゲン金沢 VS モンテディオ山形

2節連続でのコラボプレビュー。今回は山形サポのKasu(カッスァン)と。何故カッスァンに声を掛けたかと言えば、似ている気がしたのだ。前回のレビューでレビュワーを勝手に仲間だと思っていると言ったが、カッスァンは感性がどことなく僕と似ていて、自然と仲間だと思える方だ。だから、DMのやりとりも楽しくやらせていただいた。

コラボは色んな方とやりたいですが、やれる回数はそんなに多くないと思います。過密日程のリーグ戦。レビューを書くのは勿論、仕事が終わってから。その合間を縫って、お礼も出来ないのにプレビューを快く引き受けてくださったこれまでの3名。好きでやっている事とはいえ、皆さんが思っている以上に皆さんの反応は励みです。次回以降も温かい反応をして下さったらありがたいです。そしてありがとうございます。

スタメン

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あれ?うそ?中村駿くんがいる・・・。完全に怪我だと思っていたのに・・・。山形サポも騙されたであろう。敵を欺く為にはまず味方からってやつですね。

前節のスタメンから7枚の変更。山形には好きな選手が多い。三鬼・半田・末吉・山岸。特に今季初先発の半田陸くんは言わずと知れたU-17W杯代表のキャプテン。下川くんとのバトルは楽しかった。今からでも遅くない。DAZNをみるべし。

一方、金沢は廣井→作田。負傷欠場の大橋くんに替わって、前節大橋OUT時にSHで入っていた本塚くんが初スタメンで初ボランチ。開幕前のネットの記事であえてボランチで勝負したいと語っていた本塚くん。負傷の穴を埋める形の出場となったが、覚醒なったのか。

最悪「5ベンチ」かな?と思っていた控えは、ちゃんと7人いた(笑、いや笑ってる場合じゃねぇわ)。杉浦力斗くんが復帰し、ホドルフォが第2節松本戦以来のベンチ入り。

前半の山形の振る舞い

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あまりボランチの本田・中村駿が味方CBに対してボールを受けにいくという事は無かった。窪田・下川もあまり前からプレスに行かなかった為に、頼盛くんが山形ボランチどちらに付くか限定できず、ボールを握られる事が多かった。

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主に金沢の左サイドでは本塚くんが、右サイドでは藤村くんがサイドでのボール奪取に加担したり、サイドに幅をとるFWへのプレッシャーをかけにいっていた。藤村くんはいつものサイドとは違っていたが問題なくプレー。

野田・熊本からFWに対して楔のパスを出もしたり、ロブパスで裏を狙ったりするシーンも見られたが金沢ディフェンスが危なげなく対応。

山形の守備は4-4ブロックを敷くゾーンディフェンス。金沢も山形も主に左サイド(山形右サイド)からの組み立てが多く、TV画面的には奥上側での攻防が続いた。

金沢のクロスの質

この試合では下川くんが7本、窪田くんが5本のクロスを放っている。しかし二人が幅をとっているのに対し、山形DFはボールホルダーにプレッシャーをあまりかけに行かず、中にいる陸次樹くんにボールが渡らないようにブロックをコンパクトにして守っていた。SHに釣り出され守備ブロックが間延びしてしまうのを嫌ったのだろう。実際、下川・窪田両名のクロスの質があまり良くなかった。疲労というのはこういうところに出やすいもの。

しかし、給水タイム以降からヤナ将の指示だろうか、下の図ように構える金沢。

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要するに、ボランチがサイドのボール前進に参加しにくい状況を作り、数的同数で前線にボールを送りにくくしたのだ。上の図で金沢の下川くんと島津くんが山形の本田くんを挟んでいると、熊本くんは半田くんにパスするしかない。そして半田くんがボールを持つと下川くんがプレッシャーをかける。本塚くんが本田くんについてサイドの攻撃に加担させない。すると、半田ー渡邊ラインの攻撃となる。

3対3が2対2になっただけじゃないかと思うかも知れないが、3人だとパスの出し手に角度がつけられるが、2人だと対角線上を塞いでしまえばパスは出せない。

徐々にボールを奪える回数が多くなり、金沢のペースに。28分40秒のシーンはマークを少しづつずらしながら、下川くんが左サイド深くに侵入。囲まれている陸次樹くんを追い越し、窪田きゅんへのクロス。GK櫛引くんの動きを読んだキックフェイントだったが、左足で放ったシュートはゴール前にいたCB熊本くんにクリアされてしまう。

前半は結局0-0で終了。金沢6本に対し山形2本のシュート。しかし、印象としてはどっちもどっちで、先制点を奪われたくないお互いの思いと疲労の中での葛藤が、どちらが有利とも言えないように働いていた。ボール支配率は若干、山形が高いくらい。(金沢46.9%)

後半、完全に山形ペースも一瞬の連携の隙

後半に立ち位置を変えたと言う山形・石丸監督。

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完全にボランチがCBの位置に降りない事がミソ。SBにボールが渡ったらスッと上がってサイドのボール回しに参加する。SBが幅を取って金沢SHを釣り出しているし、若干山形ボランチの位置が下がっているのでマッチアップする金沢ボランチからも距離を置ける。山形SHが中に絞っている為、CBは縦にパスを入れる選択肢もある。

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攻撃の連動性はかなり高いものがあると感じた山形。しかし、連動が一旦途切れてしまった時に脆い、というのが金沢の1点目であった。それが52分19秒くらいからのシーン。

山形・大槻くんの足元にパスが収まらずボールロスト。ファイナルサードに山形の選手は6人。窪田きゅんが陸次樹くんにボールをパス。山形の3人が陸次郎くんに引き付けられる。陸次樹くんは2タッチで3人の囲みからボールを右前方へ出す。

出されたボールに反応して走る窪田きゅん。野田・山田が追い付いたが、ちょうどパスの出せる角度に現れた頼盛くん。

ルカク<頼盛?

頼盛くんの山形・熊本くんを見ながら姿を消す動きは素晴らしかった。ロシアW杯の日本対ベルギー戦のルカクのようなダイアゴナルラン。あの時のルカクは囮になる動き(相手の視覚に入る動き)だったから、頼盛くん動きの難易度はルカクよりも高かったかもしれない。

後に交代する3人のここぞというプレー。素晴らしい先制点だったが、それがこの試合での出来る精一杯だった。

その後、陸次樹くんが野田くんとの接触プレーで嫌な転び方をした為、61分で杉浦恭平くんと交代。

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得点のシーンでは起点を作った陸次樹くんだったが、肝心のシュートはゼロ。ルーキーの今後に不安が残る。思った以上の負担が彼にかかっている。ここでもうひとつ飛躍できるか。それにしても、この時のヤナ将の焦った顔はあまり見られない顔だった。歩いて交代したので一安心。

そして陸次樹くんがベンチに下がり、山形の末吉・山岸が投入されてすぐ、追い付かれる事になる。

山形の連動の意識の高さ

今度はSBの三鬼くんが降りて3バックのように振る舞い、その場所に本田くんがステップバック。大槻くんがボランチの位置まで下がってボールを受けて山岸くんがサイドに抜け出す。この手のポジションチェンジはお手の物の山形。

フレッシュな山岸・末吉に必死に食らいついていたが、三鬼くんにボールが戻された時に金沢CH本塚くんが十分に寄せに行けずに、ゴール前の山形SH加藤大樹くんに向けて精度の高いクロスを供給されてしまう。

大樹の成長

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題名:カッコイイパパのお休み。

それは置いといて💧

大樹くんは確実に成長していた。マッチアップしていた長谷川くんの視覚から、捉えにくい位置取りをしてタイミングバッチリのヘディング。金沢GK白井くんがボールを何とか弾くが、大樹くんは冷静にボールを戻す。その先にいた山形ボランチ本田くんがボールをスルー。ボランチの相方・中村駿くんの放った低空ミドルがそのままゴールネットに突き刺さる。

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昨シーズンの対戦で本田くんのミドルシュートがゴールの少し上を抜けていったのを思い出した。金沢のマンツーマンは押し込まれるとPAの手前のスペースが空いてしまう、その特徴を分かっている3人のゴール。昨シーズンは敵味方に別れていた加藤大樹・本田・中村駿の3人だったが、時を超えた共通認識がこの得点にはあった。

交代、それは監督からのメッセージ

問題は、この同点になった時点で次の手を打たなかった事である。給水タイムを挟んでも状況は変わらない。

杉浦恭平くんの1トップでは前線から規制をかける事が出来ず、簡単にボールを前進させてしまう。相手は幅を取ってボールを横に早く動かし、金沢の選手のスライド対応が遅れていた。勢いがついた山形は山田・中村駿と立て続けてミドルを放つ。四面楚歌の金沢。窪田きゅんは足がつって動けなくなった。

そこでようやく、窪田・島津に替えて高安・杉浦力斗が投入されスギウラーズの2トップに。しかし、左SHの下川くんの運動量が確実に落ちていた。

2トップにしてもSHのところで捕らえきれなかったら、ボールを簡単に前進させてしまう。ベンチにチット(ホドルフォ)さんが入っていたのは、やっと下川くんを早めに下げられるようにする為だと思っていたのだが、指揮官は88分まで下川くんを使い続けた。

加藤大樹くんの振り向きざまのシュートや山岸くんのミドルなど、守護神白井がなんとかゴールマウスを死守するが、持ちこたえるのがやっとの金沢。75分からは立て続けにコーナーキックのピンチに。正直、ピッチ上の金沢の選手は良く耐えたとしか言いようがない。最後は両者にミスが目立ち、真夏の消耗戦はドローとなった。

試合終了

出来るはずの予測

この勝ち点1をどう捉えるか何とか獲った勝ち点1か、勝ち点を2つ逃したか。意見の分かれるところであろうが、予測できた状況だけに、持ち駒の無い失望感はなんとも言えないものだった。5連戦の4戦目で疲れもかなり溜まっている。しかし、コロナの影響でリーグが中断した時からこうなる事は予測出来ていた。まだ13節しか消化していないのだ。今後、これより事態は悪化する可能性だってある。負傷や疲労だけではない。コロナ感染のリスクにもしばらく対応していかなくてはいけない。試合中ならまだしも試合前からのマネジメントに疑問を感じる。

劇的勝利やクリーンシートは確かに嬉しい結果ではある。ただ大宮に惨敗し、水戸に逆転負け、北九州に力の差を見せられ、山形にあと少しで負けるところだった。すべてを否定するつもりは無い。ただ現実をしっかり見て欲しい。


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