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寒さに自力で対応できるように

1.寒い時にどんな行動をとるか

夏から秋への季節の変わり目には朝が急に寒くなるタイミングがありますね。

次第に毛布を出したり、厚着をしたりといった行動で対応するようになるのではないでしょうか。

もう少し寒くなってきたらこたつやストーブ、エアコンも登場することになりそうですね。

ところが、よくよく考えてみると、そのような対処行動を取ることができるのは自然広しといえども「人間だけ」です。

人間以外の動物はこういう気候変化に対してどのように対処しているのかと言いますと、

少しでも気温の高いところに移動したり、小刻みにふるえて熱を産生したり、といった行動もとるでしょうけれど、

基本的には「その場で耐えて何とか環境に適応しようとする」という行動ではないかと思います。


2.忘れられがちな対処法

この動物的な環境適応行動は、気候変化のストレスを避けられないスマートではない原始的な行動に思えてしまうかもしれません。

しかしこの原始的な行動には人間がとる対処行動にはない大きなメリットがあります。

それは「もともと自分の中に備わったシステムを活用する」ということです。

私達はこのシステムを活用する環境適応行動のことを、「慣れる」という言葉で体感的に知っています。

人間が寒いと感じた時には、その物理的刺激によって身体はストレス反応を起こすことになります。

そのストレス反応は熱を産生したり、エネルギーを調達したりする複雑な化学反応を介して、そのストレスフルな環境を克服しようとします。

そしてその刺激が繰り返されることによって、身体のストレス反応を起こすシステムも効率化、最適化するように変化していくため、

同じような物理的ストレスが加わっても対応しやすい身体へと変化していくことになるわけです。

ちょうど最初は乗れなかった自転車に、何度も挑戦することによって乗れるようになっていくプロセスと同じ構造を持っています。

最初備わった身体の条件や材料にあたるものは変わらなくても、動かし方を変えることによって適応していくというわけです。


3.外部に頼れば頼るほど自分は弱くなっていく

人間は、そのシステムを適応させていく代わりに、衣服や毛布やストーブ、エアコンなどの文明によって生み出した外部製品によって環境に適応するという方法を発展させていきました。

それはとても便利だし、まだシステムが未熟な人を守ることができるという意味でも有意義ではあるわけですが、

反面、それを繰り返せば「自分でシステムを駆動する能力を衰えさせてしまう」という結果へとつながってしまいます。

実はこの構造は文明の発達した人間社会のあらゆる場面でみられるものです。

たとえば医療で言えば、薬を飲んで血圧やコレステロールを下げようとする行為も同様です。

それを繰り返せば繰り返すほど、自分で血圧やコレステロールをコントロールする力は衰えていってしまいます。

それまでずっと血圧を下げる薬を飲み続けていた高齢の患者さんが、80代や90代になった時に、ある時から自力で血圧を上げることができなくなって、

薬を飲むことでいつの間にか、かえって低血圧状態となってしまっているということも稀でなく見受けられています。

寒いと文明の利器に頼ってしまいたくなるものだと思いますが、

時にはその寒さをありのままに感じてみるのもよいかもしれません。

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