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オフラインのイベント

先日、キャリア相談会みたいな感じで久々にオフラインイベントをやりまして、来てくれたみなさんの質問に答えたりポートフォリオを見せてもらったりしました。

どういう会社で働くべきかとか、スキルを身につけるためにどうしたらいいかとか、悩みを持つ方は多いと思います。そこで働くことについて考えてみました。

そもそも働くって言っても、人間って昔は狩猟してたわけですよね。動物を狩ったり、貝拾ったり。少数のチームで協力してさ。そんでそのうち農業を始めて定住して役割分担して、人口が増えたりした。ムラの中で協力する人口が増えましたよね。あんまりフラットだと決め事がカオスになるので、長みたいな人が出てきたりして。貧富の差が出てくると政治や宗教のパワーゲームで多くの人たちを取りまとめる人が出てきて、それが国として出来上がったわけです。その国が決めたルールの中で経済活動をしてもらって、税金を取って、国がやるべき領域のことを国がやり、経済活動は企業という枠組みがある。企業の仕組みはここ200年ぐらいでできたもの。

企業は経済活動が有利に進むためにいろいろなサービスを展開したり、ものを生産したり、労働力を提供したり、専門性や独自の知識体系を身につけたりして、他の企業に勝てるように考える。企業が成長することで経済が発展し、集合体として国が豊かになったりする。国同士が仲良くしたり競争したりすることで、より成長に対するバイアスが強くなり、新しい技術や進歩が生まれる(時に悲惨なことも起こる)。

仕事をするってことは、みんなでコメを作る延長線の、社会全体の一員である、という側面と、個体としての総合満足度を高めるための手段、という側面があります。

お金を価値の交換手段としてドライに考えると、社会全体にとって重要性が高くて手に入りづらいことに対価が集まりますよね。誰しもが労せず手に入るものを持っていたり代替手段が簡単なことだと、対価をもらうことは難しい。それが社会的な役割の一員としての側面です。

一方で、個体としての総合満足度って、社会的な役割と必ずしも相関しないですよね。春になって桜を見たら気分がいいし、子供と遊んでたら楽しいわけだし。

どの会社に入ろうか、とか、どのキャリアがいいのか、という話に戻るんですけど、社会的役割における対価は、社会にとって重要性が高くて手に入りづらいことに価値が集まる、という原則です。だから、会社から受け取る報酬は、チームで受け取った社会的対価の再分配になります。どんな会社であれ(ぶっちゃけ汚い会社ですら)社会的に価値があるから売上や利益が生み出せて再配分が可能になります。

こういった側面から見た、いい会社、って社会的な役割に対する価値が認められていて、かつ、再分配に不適切なものがない会社。そういういい会社は、その価値が必ずしも永続的なものではないことを知っているので、現職のみなさんが継続性の高い状態やさらなる成長にコミットしてたりするわけです。

どの会社だと条件がいいか、とか、どのキャリアがいいのか、という問いが、個体としての総合満足度を高めるための側面から生まれていると、キャリア相談がなんかズレるなぁと思う。要するにキャリアという言葉において、社会的に評価される価値と個体の満足度の両方の側面を持っていることに自覚的でないケースも多いからかも。

最近の企業は、この二つを両立させるために「パーパス」や「ビジョン」を重視していて、スタンスや会社の方向性に対するマインドセットを評価する傾向にあるそうです。時には意図的にも宗教っぽくまとめていく会社もある。逆に、テクニカルスキルを前提に作られているシステムに乗っかってると危ないってことでもありそう。

フォーデジットもプロフェッショナルワークという、個体に求めるものがそれなりに強い仕事ではあります。ただ土台のところがズレるとチームにとっても個人にとっても良くないので、向かっていく方向やビジョンを共有していたいなと常々思う。


本コラムは、アジアを中心に展開するデザイン&テックカンパニー「フォーデジット」の社内報にて連載中のものを抜粋して掲載しています。

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