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おかあさん

この言葉を、わたしは何度呼んだことでしょう
そしてこれから、何度呼ぶことでしょう

誰もが発するこの言葉は、まるで呪文のようですね
時には呪縛のように感じることもあるのでしょうか

おかあさん・・・・

とても簡単で、お手軽な魔法の言葉
時に面倒で、時に憎らしくて、でもあったかくて、安心する言葉
きっと「こんにちは」とか「ありがとう」よりも多くこだましている

おかあさん、おかあさん・・・・

とても単純で、一番効果的なおまじない
時に切なく、時に心苦しくて、だけどつぶやくだけで、ほっとする
本当は他にも言いたいことはあるのに、このひとことで充分すぎる

おかあさん

女であるわたしが、身にしみて感じたのは、やっぱりあの時かしら
自分が「おかあさん」と呼ばれるようになったとき
あぁ、こんな思いでわたしを生んでくれたのね…敵わないなぁって

でも一番は結婚した時かしら
あろうことかわたしは、大事な場面であなたを「かいじゅう」だといった
あれはここ一番で、あなたを絶賛するはずだった言葉だったのに、
ぜんぜん伝わらなかった

おかあさん

おかあさんは「おんなだけど、おんなじゃなくて」
おかあさんは「にんげんだけど、にんげんじゃなくて」
おかあさんは「なににもまけないかいじゅうのようなひと」

「お母さん、怪獣なんだね」
「怪獣の母」
あとからみんなに笑われた

そうじゃない、本当は「おかあさんは、おかあさんという生き物で…」
とにかくわたしは、あなたのように強く優しく、たくましくありたい
そう言いたかったのに・・・・

うまく言えなかった

だけど今、自分が「かいじゅう」になれたらいいと思っている
いつでもどこでも、我が物顔であらわれて、邪魔だけど蹴散らせる
我が子の助けになれる「かいじゅう」でありたい

うまい言葉が見つからないの

おかあさんは「かいじゅう」だけど、
いつも心配と不安がつきまとっていて、だけど平気な顔で笑って、
本当はなにもできないのになんでもできる振りをして、強がって意地張って
いつでもどこでも助けになれる心強い存在でありたい
あなたがいつも、わたしたちにそうしてくれたように、
そうして最後にやさしさに包まれて、安心して眠れるように




まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します