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「恋愛体質」第3話


恋愛体質:BBQ


『重音と桃子』

鷺沢さぎさわ重音かさね・重機オペレーター、顔が怖い
錫原すずはら桃子とうこ・雑貨店勤務、芯は強いが天然


1.trigger

「おーいぃ。焼きそば買ってねーじゃん」
 材料の仕分けをしながらそう言ったのは、遅れてやってきた挙句に焼きそば担当を命じられた友也ともなりだった。

「え、買ったよー。焼きそば」
 ソファにもたれ込み、キッチンに頭をもたげる雅水まさみは自信満々に答えるも「あれ」と、顔をしかめる。

「具はな。でも麺そのもの忘れてるわ」
 そう言って空になった袋を振って見せる。

「うっそ。もう一回いくのー?」
 遅れてリビングに入ってきた砂羽さわは、入り口付近で大げさにバッグを落とした。

「ひとまず火おこし済んだから、オレ行ってくるわ」
 ちょうどリビングの広い窓から室内に上がり込んだ重音かさねは、出口に近いのは「だれの車?」と続けた。
「オレ~」
 そう言って友也は鍵をソファの上に放った。

「他に買い忘れねーの?」
「ないと思うけど、確認してみて」
 バッグを拾い上げ、レシートを取り出す砂羽。

「あ~。ついでだからステーキたのむ」
 焼肉用の肉の束を確認しながら、友也は自分の財布からカードを取り出した。
「さすがセレブ」
 皮肉にも似た言葉を吐き、レシートを受け取る重音は、エプロンを首にかけ準備をしていた桃子とうこに目を向けた。

「おい」
 ふいに声を掛けられ、自分だと気づくまでに数秒、桃子には意外なご指名だった。
「ぇ、わたし?」
 てっきり砂羽といくものと思い込んだのだ。
「そう。わたし。カード貰ってきて」
 ソファから鍵を取り上げ出口に向かう。

「わたし?」
 再確認をしている間に重音の姿は玄関に向かっており、急ぎカードを受け取ると、
「じゃ、じゃぁ行ってきます」
 と、半信半疑な顔であとを追う。
「あ、トーコ」
 すれ違いざま、なんとなく声を掛けなければという気にかられた砂羽。自分が行くべきか本音は別な感情が頭をよぎったが、出てきた言葉は「さけるチーズ買ってきて」だった。
「ぁ、うん。わかった。ごめんこれ」
 エプロンを外し砂羽に手渡す桃子。

「お兄ちゃん、どこ行くの?」
 玄関先でちょうど出くわしたのは重音の妹、和音かずねだった。
「おまえほんとに来たのかよ」
「いいじゃ~ん。ぁ、こんにちは」
 さっさと家を出る重音に変わり、
「こんにちは。買い忘れがあって」
 そう答える桃子を品定めでもするような目つきで見遣る。
「いって、らっしゃ~い」
 気のない返事を返す気持ちがすでに別のところにある和音は、急き立てられるようにしてリビングに滑り込んだ。
「砂羽さ~ん、おひさしぶりでーす」
 なにごともなかったように両手を広げて入っていくその声に「勘違いかな」と、首をかしげながら桃子はパンプスに足を通した。


2.tactics

 既にエンジンの掛かった車の助手席に乗り込むと、急に重音かさねが覆いかぶさってきた。
「ぇ、なにっ!?」
 恐怖に肩を竦める桃子とうこ
「この車、古いから。シートベルト固いんだ」
 鋭い目つきで答える重音に、
「ぁ、そうなんだ」
 無闇に疑った自分を責める。が、
「なに? キスされると思った?」
 そう言って口元を歪める仕草に、やっぱり「苦手だ」と再認識して目を伏せた。

 ガツガツと2、3度シートベルトをひっぱり「トモじゃあるまいし」と付け加えてタングを手渡す重音。
「とも?」
上石あげいし。あいつプレイボーイだから」
 含んだ言い回しに「なんのことやら」と不思議顔でいると、
「そうやって客とキスするために、直さないんだろ」
 と、ベルトが固い理由を述べた。
「あぁ。プレイボーイ」
 なるほど彼は「元ホスト」だと、砂羽さわ雅水まさみが言っていたことを思い出す。

「これ、材料確認して」
 そう言って砂羽から受け取ったレシートを差し出す。
 桃子はざっと眺め「調味料はそろってるんですよね?」と確認する。
「多分な。最悪塩こしょうがあればなんとかなるべ」
「塩こしょう、買ってますね」
「じゃぁ、ステーキと焼きそばだけだな」
「あと、さけるチーズです」
「さけるチーズ? 砂羽か」
「はい」
「相変わらずだな」
 そう言って鼻で笑うと、重音は大きくハンドルを切った。

「砂羽とは、仲良かったんですか?」
 無言になるよりは会話があった方がいいだろうと、思いつくままに言葉を述べた。
「聞いてねーの?」
「え?」
「まぁいいや。仲いいっていうか。あいつあんなんだから、話しやすかったってだけ。オレも、見た目こんなだから、あんま女よってこねーし」
 自分が怖がられているらしいことは自覚しているようだ。

「そっちは? 砂羽とはいつから?」
 顔は正面に向けたまま、今度は重音が質問を投げかけて来た。
「2年……くらいですかね? 雅水の小学校の健康診断の担当医が砂羽の病院で。わたしはもともと雅水と大学が一緒だったので、それが縁で仲良くさせてもらってます」
「仲良く、ねぇ。そんな出会いもあるんだな」
「ホントに。なにがあるか解りませんよね」
 事実、彼女たちが街コンに参加しなければ、桃子がここにいることもなかった。

「なぁ。敬語やめね? オレら、同い年だろ?」
「あぁはい。ぁ、癖で」
「接客業だっけ。でもオレは客じゃねーから」
「ですね。ぁ」
 思わず出てしまう敬語に、口元を抑え「悪いひとではなさそうだ」と、桃子は少しホッとした。

「しかし、砂羽が街コンねぇ」
「雅水に押されたみたいですけど」
「だろうな。つきあいがいいのも考え物だな」
 そうは言っても、その出会いがなければ自分とてこんな提案はしてこなかっただろう。今日のBBQは重音の呼びかけだと聞いている。
「ふたりは音楽の趣味が一緒らしくて、よくライブに行ってるみたいです」
 その様子を思い出しクスリ、と笑った。
「あ~もしかしてK‐pop」
「はい。名前忘れちゃったけど」
「まーだ追っかけてんのか」
 そういう重音のちょっと呆れた感じが、より親しみを感じさせた。
「でも、夢中になれるって羨ましいです」
 それは他意のない言葉だった。

「あんたにはないの? 夢中になれるもの」
 そんな問いが返ってくるとは予想もせず、瞬間、気持ちが重くなる桃子。
「前はあったんですけど。……できなくなってしまって」
 そんなセリフを吐く自分に内心驚いていた。
「できなくなった? 運動かなんか」
「クラシックバレエをずっと、子どもの頃からやっていたんですけど」
「バレエ? あぁだからか。どうりで姿勢がいいと思った」
「え」
「大概の女は腰浅くシートに座るから、だらしなく見える。オレはそれが好きじゃない。でもおまえは整然としていていい」
 そんな風に褒められるとは思わなかった。
(おまえって)
「ありがとう、ございます」
「だから、敬語」
「あぁ。すみませ……」
 そこまで言って、重音のしかめっ面に頬を緩めた。

「でも、学生時代はイヤで仕方なかったんですけどね。いざ踊れなくなると、好きだったんだなぁって」
「わかる。オレもいやいややってた口だから」
「え。バレエ……ですか?」
「まさか。でも、」
 筋肉質の彼からはとても想像はつかない。だが、
「まぁ近いか、クラシック。オレの場合は楽器だけど」
「楽器?」
 それはそれで意外な取り合わせだ。
「そ。オレんち、こう見えて音楽一家だから」
「へぇ」
「想像つかねーだろーなー」
 そこは素直に「はい」とは言えない。確かに言われなければ結びつかない見た目だ。だが彼ら兄妹の名前を知れば「重音」「和音」は、音楽用語だと納得がいく。

 買い物のあと車に乗り込んだ桃子は、シートベルトを締めようとベルトを引くが、やはり固くて思うように引き出せなかった。
「非力だな。バレリーナは筋力あると思ってたけど?」
 そう言って重音がシートベルトを握る桃子の腕を掴んだ。
 吐息がかかるほどの近さに、桃子は怯えるような目で重音を見た。
(やっぱりコワい)
 そう思い一瞬の瞬きの合間に、唇を重ねられた。
 バチン……と、頼りない平手を繰り出し、
「いきなりっ、なんですか!」
 だが言葉とは裏腹に、早鐘を打つ鼓動は別な感情を孕んでいた。

「あんた、いつもそんな目で男を見返すのか?」
「え?」
「誘ってると思われても仕方ない」
「そんなっ!」
「だろうな」
「は?」
「あんたはそんな女じゃない。ただ、オレが……」


3.unexpectedness

「手! 手を、放してくださいっ!」
 困惑する桃子とうこは、無理やり自分の手を引き抜き、重音かさねの胸を押す。だが、この状況では逃げられない。
「もう一度したいって言ったら?」
 まっすぐに自分を見てくる、その目を合わせられない。
「そんなの。ダメっていうに決まってるじゃない」
「ダメ? イヤではない?」
 質問に質問で返す、嫌なやり口だ。
(なんなの、このひと)
「そんな言い方……」
 重音は、ガツガツとシートベルトを引き、
「悪い。泣かせる気はなかった」
 静かにベルトを締め、運転席に力なく背を預けた。

「ぇ……」
 言われて自分の目に涙が滲んでいることに気付いた。
(そんなつもりじゃ)
 そんな言葉が頭をよぎる、自分に驚いた。
 気まずい空気が流れる中、それを打ち消すようにしてキーが回され、
「一目惚れらしい」
 小さなつぶやきと一緒にエンジン音が響いた。

「オレはガキか!」
 そう言ってハンドルに頭を打ち付ける重音を、再度「悪いひとではない?」と認識するも鼓動が鳴りやまない。
「びっくり、しただけ」
 別に取り繕う必要はないのだ。ただ、あまりにストレートな彼の行動は、その先の動向を意識するには充分だった。
「オレもあいつのこと、とやかく言えねーな」
 気を取り直して車を発進させる。
「オレの妹。さっき会っただろ?」
「えぇ」
上石あげいしにキスされたらしくて」
 妹を思ってのことか、拗ねた言い方をする。
「ぁ……」
 だからシートベルトの事情も知っているのか、と納得するも、その行動が常並みというわけではない。

「オレは和音かずねを『隙があるからだ』と責めた」
 だから桃子自分にも「隙であった」と言いたいのかと落ち込む。
「あんたがそうというわけじゃない」
「え? あぁ、別に」
 それでも、そう言われても仕方がないと思いかけていた桃子は、
「いつも『なに考えてるか解らない』って言われちゃうんです。だから」
 自虐気味に返す。
「そうじゃない。力任せはいちばん卑怯だ。女の涙が武器なら、男の力は傲慢でしかない」
 こちらを見ずに難しい顔で車を走らせる重音に、それ以上桃子はなにも言えなかった。

「トーコ!」
 帰るなり砂羽さわが玄関先まで駆け寄ってきた。そして「なにかされなかった?」と、小さく囁いたのだ。
「え。なんで?」
 咄嗟に車内でのことが「バレているのか」とドキリとしたが、そんなはずはないのだ。
「いや別に。なんでもないなら、いいの」
「うん。さけるチーズ、ちゃんと買って来たよ」
 その様子が「おかしい」と思いながらも、桃子は未だ混乱のさなかでそれどころではなかった。

(一目惚れ……って言ってた)
 一瞬ぼーっとして、すぐに打ち消す。自分は重音のような男くさいタイプは「苦手なはず」と。

藍禾あいかちゃんと、結子ゆうこちゃん。和音ちゃんの友だちなんだってー」
 自分が買い物に行っている間に女の子が増えていた。
 彼女たちは元ホストの彼を見に来たのだと言う。つまり和音との行く末を見届けにやって来たともとれる。兄である重音が神経質になるのも無理はないと思った。

「あたしたち3人だけじゃ不満だったみたいよ~」
 心なしか不機嫌な雅水まさみが、ビールを片手にそんな皮肉を述べ隣に座った。
「音大生なんだって。将来有望だよねー」
「なに。どうしたの」
「あたしたちだってほんの数年前のことなのにさ、現役ってだけでなんであんなにぴちぴちして見えるのかね?」
「やだ、酔ってる?」
「酔ってない。虚しいだけ~」
 そもそも今日のBBQは、砂羽と雅水が「交友関係を繋げるため」にと、むしろ桃子を連れ出す時間を作ってくれたのだ。それ故桃子は、雅水自身の真意はどこに在るのかとずっと気になっていた。


4.feel like

雅水まさみはさ、上石あげいしさんと寺井さん、どちらかと『お付き合いしたい』って考えてるの?」
「お付き合いっていうより、あたしは。今はひとりになりたくないだけ」
 なんだかんだと砂羽さわを焚きつけておきながら、雅水の本音は、未だ失恋の痛手から立ち直っているわけではなかった。

「振られたからって、さ。楽しめないのはおかしいと思わない?」
「そうだけど。楽しんでる?」
「それなりに、ね。楽しいことはあるじゃない?」
「たとえば?」
「たとえば…あとからやってきた細身の彼は、上石さんと同じ元ホストで、今現在ふたりは共同経営者で……」
「へぇ」
「どうみたって怪しい関係」
「まさか……!」
「じゃないかなーとか。まさかとは思うけど、そういうの想像するだけで楽しくない?」
「雅水らしい」
 雅水はいつもその場の楽しみ方を知っていた。
「けど、」
「まぁ不毛かもね。まだあるわよ」
「なぁに?」
「たとえばあの強面の鷺沢さぎさわくんが、砂羽さわの元カレとかぁ、あの和音かずねって妹が」
「元カレ!?」
 自分の声に驚く桃子とうこ

「そう、元カレ。ぁ~、かっこ悪いから『黙ってろ』って砂羽に言われてたんだぁ……けど、いいよね」
「へぇ、そうなんだ」
 重音かさねの言っていた「聞いてないのか」とは、そういう意味だったのかと、今さらながらに合点がいった。なら鷺沢は、砂羽に会いたくて来たのではないかと勘ぐるのが普通だろう。

「トーコ、聞いてる? なに、ぼーっとしちゃって」
「あぁ。ごめん。そろそろわたしも……お肉が食べたい、なーと思って」
 なんとなしに、ひたすらに焼き方を担当している寺井と、その周りに群がる女の子たちが目に留まった。
「やだ。まだ食べてなかったの? ちょっと~」
 雅水はすぐさま立ち上がると、桃子の手を引いた。
「ぜんぜん食べてないわけじゃないよ」
「もう。トーコはいっつもそう。遠慮ばかりしてたら餓死しちゃうから」
「そんなこと」
「そんなことじゃないの。そんなんじゃ、欲しいものも手に入れられなくなっちゃうよ」
「それは大げさなんじゃ」
 そう言って笑い返すが、
「大げさじゃない。女はときめきがないと餓死しちゃうんだから」
 支離滅裂なようで、意外にも雅水の言葉は胸に刺さった。


5.explore

 重音かさねが妹たちを送りに出た後、ある程度を調理し「続きは室内で」ということになった。
 焼き方は尭彦たかひこ雅水まさみを助手に置き、残りは室内の準備。友也ともなり唯十ゆいとは家具を動かし場を広げ、桃子とうこ砂羽さわは洗い物を任された。

「寺井さん、雅水狙いだったらしい」
 こそっと、肩を寄せる砂羽に、
「へぇ。ぁ、それで? わざわざふたりを外に」
 つられて小声で答える桃子。
「まぁお膳立てしたところで、どこまで頑張れるかは解らないけどねぇ」
 一緒にK‐popのライブに出掛けて行くほど雅水の性格クセ好み推しもしっかりと把握している砂羽には、どんなに寺井が頑張ったところで「どうにもならないだろう」と見ているらしかった。
「でも、誠実そうな人じゃない?」
「確かにねぇ。しかも次期社長だし」
「そうなの? すごいね」
「らしいよ~。どんな仕事かまでは聞いてないけど」
「ふぅん」

「それよりトーコは? 気になるひといた?」
「ん~。どうかな」
 気になることはないこともない。が、砂羽の質問の意図とは違うところにあると思った。
「まぁねぇ。今日はいきなりだったし、なにもここだけで決めることもないんだけど」
 どうにも砂羽は歯切れが悪い。どこか出し惜しみしているようで気にかかる桃子は、
「砂羽は?」
 珍しく興味を示した。
「あたし? あたしは別に、そういうつもりはさらさらないよ」
 とはいうものの、重音との過去を聞かされたあとでは、どうにも砂羽が自分桃子を牽制しているように思えてならなかったのだ。
「砂羽。鷺沢さんと……」
「やっぱり! なにかされた?」
「そうじゃなくて」
 やはり鷺沢を気に掛けているのか、と。だからと言って会ったばかりの彼のことがどうのというわけではないのだが、と心の中で自分に言い訳をする。
「てか、どうしてそう思うの?」
「なにもないならいいんだけどぉ。聞いちゃったのよねぇ、上石くんの車の話」
「車? ぁあ、シートベルト」
「しーっ!」
 すぐ後ろでソファを動かしている上石に目を移す。

「知ってた?」
「うん。なんか妹さんが……キス、されたとかって」
 買い物から帰って、いちばん目についたのは和音かずねの上石に対するあからさまなアプローチだった。自分のことよりも、砂羽は重音の妹である彼女の心配をしているのかと思い込んだのだ。
「あ~そう、やっぱりねぇ。元ホスト、侮れないわ」
「それでわたしが、彼にキスされると思った?」
 砂羽の真意がどこに在るのか、カマを掛けてみる。
「まぁ鷺沢のことだから、そんな子どもみたいなことしないとは思うけど、さ」
 そう言われてしまうと、実は「キスされました」とは言い出せなくなる。まして砂羽が彼に「未練があるのでは?」と思っている今は、尚更自分の状況が微妙だと感じる。

「彼のことよく知ってるんだね」
「高校一緒だったし」
「付き合ってたんだよね?」
「え、鷺沢が言ったの!?」
「彼は言わなかったけど……」
「だよね。雅水か! もぉあれだけ『言うな』って言ったのにー」
 言いながら砂羽は、ついとテラスの方に目を向けた。
「なんで? 別に隠すことなくない?」
「だって黒歴史だもん。いい思い出でもないし」
「そうなの? 話やすいって言ってたよ、砂羽のこと」
「そりゃぁ、あたし全然女として見られてなかったし」
「ふぅん……そうなんだ」

「なに? やっぱりなんか」
「そういうわけじゃないけど」
「あぁ、帰ってきたみたいよ」
「うん」

 結局、砂羽の本音は聞けずじまいだった。



まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します