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『コロナ、陽性。』

私たちは いつもチューをする。
もしかしたら、死ぬかもわからん。
そんな局面ごとに、 それはもう 派手に ぶっちゅうする。

「たえ、たえこ、手、貸せ。ひゃっこくて、気持ちがいい手だ」

「俺の布団に入れや!くっついて寝るべ」

1月24日。
この日お父さんは高熱を出し、 お父さんの熱はどんどん上昇していき、39度9分まで 行ったところで、 お互いに 最愛の人にする 最大の 愛情表現、 お互いの鼻の中を ベロベロ 舐める、 をしながら、 お互いの顔を 舐め回し、 数えきれないぐらい ぶっちゅうした のだった。

未練がないくらい、 それを繰り返した。

翌日 内科であった。

お父さんは、 コロナに罹患していた。

私も罹患したかもしれない。
お父さんの鼻水を あんなに辞めた のだもの。

酸素飽和度が 95 取れていたということ、 平熱であったことが 大きな理由で、 お父さんは入院にはならず、 薬をもらって 2人で帰ってきた。

帰宅してスパゲッティを食べ、 お父さんと相棒を見ていた。

熱は瞬く間に 8度 9度と上がっていった。

酸素飽和度が ガタガタガタっと下がるようなら 救急車、そう、 主治医の先生に言われていたお父さんは、 どんなに隙を狙おうと どんなに熱が高かろうと、 パルスオキシメーターを つけたそばから外してしまう。

なだめたり すかしたり 眠らせたりと やってみたが、 パルスオキシメーター外しは 私が完敗した。

お父さんとコロナと分かった時点で あれこれと話したのだった。

救急車に乗って 病院へ行く ことは、どの 段階までするか、 また病院に行った時 もしも心肺停止していたら 延命は 望まない。
お互い知り合ってから最高の人生があって、 倒れてからの5年間 なんて めちゃくちゃ楽しくて、 これで家で お前に見とられて死ねたら 何て 最高なんだろう!!

曰く お父さん。

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