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心の安定剤

砂浜でダッシュを続ける息子
私は夕日の中で呆れた顔で海を見ている
中学2年になり
太ももは信じられない太さに
進化していた
サッカーを始めて5年
練習の日々
自主練が彼の安定剤

中学に上がるタイミングで
クラブチームからのスカウトを受け
入団した
県内の強豪チームにいた子達が集まり
昨日の敵は今日の友となった 
息子は父親にサッカーを習ったわけでもなく
兄弟がいた理由でもなく
私との地道な練習でここまできた
足の速さは県内トップクラス
らしいのだが
テクニックやサッカーIQには欠ける
レベル違いの仲間に負けないよう 
コソ練あるのみ

クラブが無い日は学校から帰って練習…
近くの公園で違うチームの
コーチ捕まえては練習…
試合が終わった後も納得できず練習…
学校の部活に入ってないのに
乱入して練習…

家にいる時はずっと
サッカーの動画ばかり観てる
ご飯食べる時も
寝る前もずっと観てる 

食べ物も
プロテイン 肉 プロテイン 肉
フィジカル強化を目指している

そんな彼が
始めてレギュラーを外された…
以前に手首を骨折した時に
ちょっと外されたが
「俺はスーパーサイヤ人だから」
って言ってギブスして出場してた

今回は右足の肉離れの回復が
遅く戦線離脱した
「しょうがない そんな時もある
 他にもレギュラー入りたいヤツ
 いるんだから動けない俺が出てもダメだから」
そう口では言っていたけど
あまりにもショックだったのか
学校行く途中にボーとし過ぎたらしく
30分謎の遅刻した
と本人と担任の先生から聞いた
生意気な事ばかり言うけど
まだまだ心が未熟な我が子だった

彼のチームでは
レギュラーから外された子は
別メニューで練習が課せられる
練習の後
「やっぱり海に行くしかないなぁ」
と息子が呟いた
「仕方ないなぁじゃぁ海行く?」
私も慰めの言葉が見つからず
そう言って海まで車を飛ばした  
手首を骨折した時も
海に通って
砂浜を走らせた

潮風が良いのよ
心に優しさをくれる
そして砂にまみれた足元が
練習した感をくれる
満足した息子は
また今日も自主練に励んでる

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