初めてのイル活とその悲劇①

私はワクワクしていた。6月下旬、大好きなアイドルグループのTOMORROW X TOGETHERが、日本セカンドシングルを発売するとの発表があったからだ。日本シングルが発売されるとなると、雑誌や音楽番組など多くのメディアで彼らの姿を見ることができる。そのため、私を含めた日本人のモアはかなり高揚していた。加えて今回のシングルには、彼らにとって初となる日本オリジナルソングまで収録されるとのことだった。某ウイルスの影響で来日が不可能だとしても、今回のイル活にはかなり期待していた。

7月上旬。公式サイトにて、店舗別購入特典が発表された。txtのシングルやアルバムが購入できるサイトは、Weverse Shop Japan、ユニバーサルミュージックストア、アマゾンなどである。まずウィバスの特典が、オリジナル・キーホルダー。デザイン次第というところではあったが、個人的にはかなり好感触だった。次はユニバである。アマゾンを含めた他のサイトの特典がなんとも微妙だったため、私の中ではこの時点でもうウィバスかユニバかの2択に絞られていた。

(多分ポスターか何かだろうな・・・)

心の中で小さな期待を寄せる。

そして目の中に飛び込んできた文字。


「フォトカード(メンバー別5枚セット)&ドアノブ・ハンガー」


ん・・・?待って待って。ド・・・え?いや、フォトカードはめっちゃほしい。しかもメンバー全員分ついてくるのなら交換の必要もない。最高。でも待って、ドアノブ・ハンガーって何?初めて聞いたけど。何それ。

私は混乱した。かなり混乱した。急いでツイッターを見にいくと、同じように混乱しているオタクがぞろぞろいる。やはり私だけではなかった。オタクは一心同体である。一同、ドアノブ・ハンガーという謎すぎる特典に疑問を抱いている様子だった。憤慨するもの、嘆くもの、さらには、「ユニバに何か悪いことしたかな・・・」と、罪悪感まで抱く者もいた。反応はさまざまであったが、あの日は多くのツイートに共感し、いいねした記憶がある(こういう時のオタクの語彙力大好き)。それもそのはず、オタクにとって特典とはいわば、CDやアルバムを購入する際の大きな決め手となるからだ。だからと言って目新しいものばかりを望んでいるわけではないし、なんなら普通のポスターとかトレカとかで十分だった。というかむしろそれでいい。ポスターとトレカ、キーホルダーの2択とかでもよかった。何事もシンプルが一番なのだ。

ドアノブ・ハンガーなどという新参者に皆が落胆していた時、こんなツイートを見かける。

「ハンガーってもしかしてあのジャニオタみたいなやつ!?」

愚か者だった私は、このツイートにかすかな希望を見出した。そうだ。そうかもしれない。かつてジャニオタの友達が教えてくれた、あのハンガーのことかもしれない・・・!

ジャニーズ界隈では(だけとは限らないが)近年、オタクたちの間で親しまれているグッズがある。その名も、通称「エロハン」である。なぜエロなのかというと、そのハンガーにはジャニーズたちの上裸が印刷されているからだ(実際写ってるのは鎖骨くらいまで)。オタクたちはそのハンガーとお出かけしたり服を着せてみたり一緒にプリクラを撮って楽しむなどしているらしい。中には手作りしている人もいると聞いた。

個人的に、この文化に関しては一歩引いた目で見ている部分があった。だがしかし自分の推しがエロハンを出してくれるとなったら話は別である(手のひら返し)。txtはまだデビュー2年目の赤ちゃんなため、メンバーの上裸は未公開である。そのうえ、公式から出るダンス映像などでは大々的に腹チラした部分がモザイク修正されていたりする(ほんと謎なので早くやめてほしい)。

もしこれがほんとにあのハンガーだったら・・・カンテヒョン(推し)に高校の時の制服を着せよう・・・!(最低な用途)

大きな期待を胸に、私はジャニオタの友達に急いでLINEした。

「エロハンの正式名称って何!?」

自分で調べろという話である。しかも結局、友達の返信を待つ間にドアノブ・ハンガーを検索してみた。そして出てきたのがこれ。

画像1

え?そんな、、これ?ドアノブ・ハンガーってこれのこと?ホテルとかの部屋にかかってる、あの、「清掃中」みたいなやつ?これのことだったの?

運営には申し訳ないが、本当にいらない。誰が使うの????どこの層に需要あるの??????とまで思った。

まさかこんなグッズが出るなんて、衝撃の事実である。エロハンのこともあったため上げて落とされた感が半端ではなかった(ほぼ自分のせい)。

そして友達からの返信。

「エロハンの正式名称はフォトハンガーだよ~」

やはり違った。夢にまで見たあのエロハンは、夢のまた夢となってしまったのだ。

さて、ドアノブ・ハンガーの正体もわかったところで、どこでCDを予約しようかなと悩み始める。そしてここでまた、新たな問題が浮上する。

つづく