猫や猫や
(猫が好きな人にとって大変不快になる話や今的な飼い方ではない話も含まれますが事実を述べた文章ですのでご了承ください)
私が就職して日も浅かったある日、突然猫が飼いたくなった。
それまでは犬派で実際犬を飼ったりしてた時期もあったんだけどその頃は犬が死んでから既に何年かが過ぎていた。
私はいきなり本屋に寄って猫雑誌の購読を始めた。カラー印刷も豪華な猫カタログ的な本まで買った。それで猫の漫画を読み始めたりするともういけない。猫の写真を見ると心拍数がどかんと上がる薄気味悪い現象も出始めた。
そんな私の様子を見ていた兄はしごくクールに言い放った。
「寂しい女は猫を飼うんだから飼えばぁ?」
私は母に相談した。
「猫飼っちゃ駄目?」
OKはあっさり出た。自宅を建て替える前だったから猫が爪を立てようが全然構わない位に家は古びていた。
それでそこら辺で捨てられてた猫を調達してきて猫との生活は始まった。ワクチン注射を済ませ避妊手術をし(雌猫だった)その頃は外猫への批判なんてのもあんまりなかったから外に出入り自由にする代わりこまめに洗った。高価なノミ駆除剤も飲ませた(今のような背中に垂らすタイプの駆除剤が発売されるちょっと前のことだ)。頭のいい猫だったし鼠もよく捕まえてきた。朝出勤しようと玄関の外に一歩足を踏み出すと鼠の屍骸がぽとんと落ちていて悲鳴を上げたのも二度三度ではない。
その初代の猫との楽しい生活は一年とちょっとで終わった。猫いらずを盛られたのだ。猫を飼うというのはそういうことだと思ってたから盛った犯人探しまではしなかった。
自分の中で喪が明けると二代目の猫を据えた。また例によって捨てられの雌猫だった。ノミが酷かったので避妊手術とノミ駆除に手間暇お金の三点セットをかけて今度は新しい家の中を猫が気ままに歩くようになった。その二代目猫の話。
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