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アパレル接客販売

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15年間のアパレルの接客販売経験と8年間のアパレル会社のシステム管理で培ったことを綴っています。 大きなカテゴリとして「接客論」、「店長論」、「アパレルと小売の未来」の3つに分け…
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#販売

アパレルと小売の未来_07

今後もEC強化が進行していき、リアル店舗が縮小していくとリアル店舗の存在意義は無くなってしまうのでしょうか。小売に関する書籍などを読むと、「店舗の役割が変わっていく」と書いてあることが多いです。 ECがないブランドや会社では、商品を店舗でしか購入できず、「購入」という大きな存在意義がありました。ECができると、リアル店舗の「購入」という存在意義が小さくなります。ECでは、どこにいても、好きな時に購入でき、商品を持ち帰る必要もないのです。便利性についてはECのほうが高いかもし

アパレルと小売の未来_06

ECとリアル店舗の融合のための「顧客管理・在庫管理の統合/一元化」について述べてきましたが、EC強化を進め、EC売上の比率が上がるとまた別の変革が必要になってきます。 EC売上が伸びて、リアル店舗の売上が下がってきた場合、店舗にたくさんの在庫を置いておく必要があるのでしょうか。全国に店舗を持っているアパレル会社では、商品の「倉庫⇄店舗」間移動や「店舗⇄店舗」間移動が発生します。1点1点の移動にかかる費用は少額ですが、1年間の全店舗と倉庫の商品輸送費はアパレル会社にとって莫大

アパレルと小売の未来_05

前回、ECとリアル店舗の融合における「顧客管理」について述べましたが、今回は「在庫管理」です。在庫に関しても、ECが推進されると考え方が変わります。 ECを行なっていない場合、在庫は「倉庫(物流)」と「店舗」にあります。ECが加わると、システム的には1つのお店として「EC」を作成することが可能です。このような場合、在庫は「倉庫・店舗・EC」の3ヶ所になります。システム的にはそれぞれの倉庫(店舗)コードが分かれているため、3ヶ所の商品の受け渡しは伝票を切る必要があります。また

アパレルと小売の未来_02

コロナ前から登場していましたが、コロナ後はより新聞やニュースでよく目にする「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」というワードがあります。「DX」は、経済産業省(以下、経産省)が発表したものによると以下のように定義されています。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 「D

アパレルと小売の未来_01

これまで「接客論」と「店長論」をお伝えしましたが、今回より「アパレルと小売の未来」について書いていきます。 私は新卒就職してから15年間、アパレル接客販売に携わってきました。 その後、会社にシステム管理部への異動を打診され、アパレル会社のシステム管理を8年間担いました。システム管理を経験して、数年前からアパレル業界のシステム化が顕著になってきたことを感じましたが、業界自体のシステム化が遅れているので、急激に変化することはないだろうと思っていました。 しかし、昨年からのコロナ

店長論_08

店長論も今回が最後です。 今回は「重要度・緊急度のマトリクス(時間管理マトリクス)」についてです。これは以前noteに書いたドラッカーの「プロフェッショナルの条件」やスティーブン・R・コヴィーの名著「7つの習慣」で取り上げられている「時間管理」についての内容です。 これは縦軸に「重要/重要でない」、横軸に「緊急/緊急でない」を置いたマトリックスになります。そうすると4つの領域に分かれます。  ・第1領域:「重要」かつ「緊急」  ・第2領域:「重要」だけど「緊急でない」  ・

店長論_06

今回からまた別のお話です。 それは『「目的」と「手段」』の話です。 これはお店や会社などの組織で陥いりやすい誤りの1つです。 アパレル会社ではよく店舗に報告書や分析表などを実施させて会社に提出させていると思います。よく作成されているものが、「日別集計表」・「販売計画表」・「売上分析表」・「顧客分析表」などがあるのではないでしょうか。またそのフォーマットはエクセルや手書きなどが多く、5年も10年も修正や改善がされずにずっと同じものを使用している場合も見受けられます。何年も同じ

店長論_05

今回は、「マネジメント」に関する2冊目のお勧めの本になります。 この本は「マネジメント」に関して直接的な内容ではありませんが、全ての店長が読むべき本だと思っています。 それは、デール・カーネギー著「人を動かす」です。 この本も不朽の名著としてとても有名な本です。85年前の1936年に初刊行された本になりますが、長い期間たくさんの人に読まれている本です。邦題が「人を動かす」なので、「人をどのように操るのか」のような内容に思われがちですが、原題は「How to Win Frie

店長論_04

今回は私が「マネジメント」に関するおすすめの本を2つご紹介します。 1つ目はピーター・ドラッガーの「プロフェッショナルの条件」です。 ドラッガーは「マネジメント」という本が有名です。10年前に「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(「もしドラ」)が大流行しましたが、その時にドラッカーの「マネジメント」もよく特集されていました。私もその時に「マネジメント」を読もうとしたのですが、会社の知人から「マネジメントより先にプロフェッショナルの条件を

店長論_03

今回は店長が身につけるべき能力・スキルの「マネジメント」についてです。マネジメントについてはどのように身につけるべきかは難しいです。また私自身もマネジメントの重要性の認識はあるものの、マネジメント能力に自信があるわけではありません。ただし、1つだけ確実に言えることがあります。 それは、「販売職の経験年数が長いことや接客・販売能力が高いこと → マネジメント能力が高い」わけではないということです。店長にはマネジメント能力が必要ですが、得てして店長候補になる人は経験年数や販売能

店長論_02

前回、店長にとっての「人の成長」には「店長(自分自身)」と「部下(自分以外)」の2つに分類できるとお伝えしました。自分以外の「部下」の成長には、気を使っている店長も多いと思います。逆に自分に対する成長を部下の成長以上に気を付けている人はあまりいないように感じます。 これは店舗特有な状況のせいではないかと考えています。店舗は限られた狭い空間の中です。店長になると人の上に立つことになりますが、この職務に就くと、自分を見てくれる周りの人が極端に少なくなります。会社によっては複数の

店長論_01

いきなりですが、「店長」という役職は何なのでしょうか? 私の経験上、「店長」という役職を勘違いしている人がいました。そのような人は「店長」という役職を「権限」と思っているように見えました。 「店長」になると、下記のようなことが可能になることが多いと思います。  ・シフトを自由に作れる  ・店舗で自分が着たい服が着られる  ・ショップ経費を使用できる このようなことができることを「権限」であると勘違いしてしまうこともあるようです。私の考えは以下のようになります。 『 「店長

接客論_11

今回は私のおすすめの接客の本をご紹介します。それは、柴田昌孝さん著「ありがとうといわれる販売員がしている6つの習慣」です。 販売職の時には接客に関する本を多数読みました。その中でも柴田さんの本は接客の「技術(技)」についての内容が他のものより多いと感じています。接客の本の多くは「サービス(心)」や「容姿(体)」の内容に重点が置かれてると感じますが、柴田さんの本は接客の技術にも重点が置かれています。よって、すぐに接客や販売に使える内容が多いのも魅力を感じました。 「ありがと

接客論_12

「接客論」も今回が最後です。今回は「販売職の地位」についてです。販売職だった頃、「販売や接客は難しく大変なのに、なぜ販売員の地位はこんなに低いんだ!」といつも思っていました。社会的に見るとやはり販売職というのは地位が低いです。なぜ販売職が地位が低いかというと、「誰でもできる」と思われているところがあるためではないかと感じています。 私は販売職をよく「誰でも立てるバッターボックス」と言い表していました。経験がなくても販売職はできます。「販売職」と言っても「店番」に近い人たちも