TADF MAGAZINE 🔴🟢🔵 - #6 一年生企画を振り返って

長谷川泰斗（長谷川）：実行委員長
菅野淳里（菅野）：一年生企画代表
以上の2人で、2021年度芸術祭の一年生企画展について振り返りました。

0. まえおき

例年、芸術専門学群では入学した一年生が仲を深めるレクリエーションの１つとして、芸術祭の場で「猫たちのカフェ」という企画店をやっていた。しかし、オフラインでやる企画だったことから、今年のオンライン開催では開催が難しくなった。そこで、一年生同士が仲良くなれる機会として、実行委員長が持ちかけたことをきっかけに誕生したのが、新しく始まった一年生企画である。

1. 全体を振り返って

長谷川「今年のオンライン開催が決まってからは、対面でやる企画が難しくなって「猫たちのカフェ」 が今年からなくなっちゃって。一年生企画どうでした？仲良くなれました？一年生。」

菅野「結構仲良くなれたとは思います。チームに分かれているのでチームごとではありますけど、でも普通に過ごしていたら会わない、話さない人たちと一緒に何かする機会ができたのは結構一つ大きかったなと。」

長谷川「一年生の間って色んな領域の人と触れ合ったり、話したりする中で、領域横断して仲良くなることが僕たちの代はあったんだけど、今年入ってきた一年生はリモートで授業受けたり、全体で受ける授業もほぼリモートだからお互い話す機会も少なくてっていうのがあったと思う。

そういった中で、企画設定として面白かったのが、ごちゃごちゃのチーム、領域も違うメンバーで分かれてやる企画だったところが、やっぱり一つ大きかったかなって思って。最終撮影でみんながわちゃっとなってやっているの見て、やって良かったなって、すごく見てて思った。」

菅野「わかります。最後の「最初の晩餐」、あれが終わった後にみんなわあって撮った写真がずっと眺めてられる。めっちゃ最高で。」

2. 企画内容が決まった経緯

長谷川「この企画やるぞって僕が勝手に投げた後は、もう完全に淳里ちゃんに全投げだった訳なんだけど、今回絵画作品になりきる企画にしようってなったきっかけや経緯は？」

菅野「最初に、企画の話し合いのとき、オンラインでできる企画で、ちゃんと芸専っぽさがあって、１年生同士が交流できたり仲良くなれる機会を作れるもの、そして何より一番大事にしてたのは「楽しい」かどうか、自分たちがやりたい企画かどうかみたいなのを考えて案出しをした記憶があります。」

長谷川「結構楽しさとかやっぱりそういうところにフォーカスさせてたよね。「猫たちのカフェ」でもまずみんなが楽しんでできることにフォーカスしたイベントだった。オンラインで、そういうのができるのかなって思ってたんだけど、「みんなで一緒にやることで楽しい」と思える企画を一番に考えてくれたのが大きかったなって思った。」

菅野「あとはできるだけ多くの１年生を巻き込むっていう点が、すごく気にしてたところではあります。最初はzoom でお客さんと繋いで似顔絵を書いたり、書領域の人が「好きな文字はなんですか」と聞いて書く、あとはライブペイントの配信をするなどが他の案としてはあったんですけど、一番楽しそうなのが今回の元になった#tussenkunstenquarantaineのものでした。」

自宅で名画を「再現」しよう。Instagramの新たなトレンド「#tussenkunstenquarantaine」とは？

長谷川「そもそもこのハッシュタグになってるのは、インスタかツイッターで有名になったやつだったんだっけ？」

菅野「コロナ禍でヨーロッパなどでみんな家から出れない、出ちゃいけない時期に多分始まったもので。家の中で絵画作品を再現して、写真を上げて楽しもうっていうのがあることを、知る機会があって、そこから企画としていいかもしれない、という感じです。」

長谷川「なるほどね。最初は対面で会わないといけなかったりするから、ちゃんと形になるのかなって少し心配だったんだけど、最終的にみんな再現の仕方にも色があってそれが凄い面白いなって。」

3. 企画の進め方について

長谷川「今回はまずグループに分けて、最後にみんなでやる「最初の晩餐」 という企画の進め方については、どういう経緯でこう決まったの？」

菅野「どういう経緯だったんだろう…笑　多分、全員集めるとなるとタイミングが合わなくて人が集まらなくなって 、できるだけ多くの１年生を巻き込むっていう目的が達成しにくいので、

小さめのグループの方が動きやすいっていうのもありますし、集まってもそこまで心配ない規模だったのでそうなった気がします。また、この案が出た時にまずやってみようってなって、芸祭委員で」

長谷川「やってたよね、一回試しにテストでやってたよね。」

菅野「それで試しにやってみようってその場のノリでばって撮ったのが「最後の晩餐」で。

それですごく楽しかったのと、最後の晩餐だと有名ですし人数もできますし、いいポジションだなと思って。それでこの絵画作品を最後に持ってくることになりました。」

4. なりきった絵画について

長谷川「今回、企画自体の進め方もそうなんだけど作品がいい意味で偏りがないというか、色とりどりな構成になってる と思ったんだけど、これはあらかじめやる絵画作品を決めてたわけではない？」

菅野「絵画作品自体は絞り込みを結構前からやってたんですけど、チームを分ける都合上、絵画の傾向も分かれた方がいいかなってなって。分け方を何回も考えてやっぱり違う、というのを繰り返して。

でも結局この作品は あみだくじで１班２つ割り振って、違うのやりたかったらどうぞっていう感じで決めました。急にパって言われたら多分何しようってなるので、製作する上であった方がいいかなと思って。なので、独自で、自分たちで探した作品をやってる班もあると思います。」

長谷川「へー！面白い。色々相談を受けてた身としても分かるんだけど、夏休み明けにそもそも 人数集められるかっていうので結構不安になった時期もあったと思う。でも結果 、１年生めちゃくちゃ集まってくれて、よく頑張ったよね！」

募集のために菅野自身が作成したポスター

菅野「運営の仕方というか、企画の告知がものすごく直前だったっていうのがめちゃくちゃ申し訳なくて、実際忙しくて参加できない人もいたんですけど、忙しいけどその中でも参加してくれた人が結構多くて、それはすごくありがたかったです。」

長谷川「そうね、切羽詰まるとみんな予定が合わなかったり、特に一年生は授業多かったり、授業の日程合わなかったりあると思うんだけど。その中でもみんな企画の班ごとによって扱う絵画作品が違うのはもちろん、作り方の違いというか。完全に人を使ってリアルに再現するのにフォーカスさせた班もあれば、食品を使ってそれだけで勝負する班とかもあったり。本当にこういう多様な回答が出てきたのってすごく面白いなあって思って。」

ネタバレになるため、ここでは実際の画像は控えます。

菅野「本当にそれぞれのチームで出たアイデアが、すごく面白かったっていうことだと思います。」

長谷川「ナン使ってたり、毛糸とか布繊維とか使ってみたり。班によってはネギを手で添えてるだけとか笑

本当にこれもいい意味でだけど、必死さが伝わってくるというか。絵画作品をどうにか頑張ってこうリアルに再現する、面白く伝えるっていうところがあるから、仮装大賞的な面白さが作品ごとに現れているよね笑」

5. 全体作品の「最初の晩餐」について

長谷川「グループごとに分かれて作品を色々やってた後に最後にフィニッシュとして「最初の晩餐」という題名でやったわけなんだけど、「最初の晩餐」っていう題名に込めた思いとかもちょっと話してもらえると！」

菅野「最初は普通に「最後の晩餐」の名前でやる予定だったんですけど、考えてて「ちょっと待ってよ」となって。最後の晩餐の翌日にイエスは磔になるし、あまりおめでたい席ではないじゃないですか。」

長谷川「むしろネガティブなお話になっちゃうね笑」

菅野「なので、一年生、ここからみんなやっと何かして始まってこれから頑張ろうっていうタイミングで、最後の晩餐はまずいなと思って。」

長谷川「でもその気づき、めっちゃ良かったと思う。」

菅野「だから最後じゃなくて最初にしようと。急遽、独断で変えました笑」

長谷川「直前に突然スラックで最初の晩餐にしない？みたいな話題が出てきて 。でもその機転、凄く素晴らしいなって思って。みんなでやってることだから後でこれを見返したときにも、やっぱり何かネガティブな題名だとちょっとうん…ってなっちゃうけど、でもちゃんとこれから１年生がまた突き進んでいくんだよって。この企画の目的としてもすごくフィットしてる気がして、そういう小さいところまで気が配れているのは本当、代表として凄いなって純粋に思ったその時は。」

菅野「やった！」

長谷川「「最初の晩餐」も みんなで 一斉に撮ったわけだけど、この最初の晩餐というのは結局、各グループの代表のなりきった人たち、絵画作品の人たちが飛び出て集まっている、という設定なんだよね。このルールは最初から 決めてたの？」

菅野「それは結構企画の頭の方から決まってたことではありました。でも、よく分からないじゃないですか、各作品の中だと成り立ってるんですけど、集まるとマジでよく分からないことになるんですけど笑　でもそれも含めていいなぁと。」

長谷川「ドカオスだったよね、これ。俺もこの撮影風景を見てたんだけど、絵画から飛び出してきたっていう設定ももちろんあるんだけど、それよりも初めてこんなに１年生が集まってるところを見たっていう感覚があって。

リモートでなかなか１年生と会える機会がなかったんだけど、みんな絵画になりきってるかつ、１年生が集まっているという、「設定に設定を重ねたカオスな状況」が出来上がってて、すごく面白かった笑。 」

6. こだわったポイント

長谷川「「最初の晩餐」でセットなど こだわった点とか込めた工夫だったり、そういうのがあったら教えてほしい。」

菅野「１２作品あって、それぞれから一人ずつ出てきてもらってて、 イエスは別でやってもらってるんですけど、それぞれ衣装とか作品の中で撮ったポーズとか結構印象的なものが多いので、それを生かせるポジションにしました。例えば、モネの傘をさした子が「最初の晩餐」ではちゃんと人差し指を再現して傘を持ってくれたりとか。あとは衣装の色だったりとか。」

長谷川「ちゃんとその絵画作品の特徴も捉えつつ、でも最初の晩餐のような人が賑わってる、集まってる感じも一緒に出しつつというその両立を。」

菅野「あとはポーズの調整も結構粘ってやってもらって申し訳なかったんですけど、「もうちょっとこっち」とかも結構やって。でもちゃんと答えてくれてこういう写真が撮れました。」

長谷川「集合写真って入学時と卒業時にしか撮らないけど、まさかのタイミングでもう一個のドカオスな集合写真がここで撮れたっていう感じかな笑

でもそこにも、代表として淳里ちゃんのこだわりや、今までまとめてきたからこその支持だったり、そういうのが本当に写真から熱量として伝わってきて、こういう形でまとまって本当に良かったなって思います。」

7. 最後に

長谷川「最後に、この１年生企画やって良かったなって思うことを振り返ってまとめてもらえると。」

菅野「一年生が始まった当初、対面の授業がめっちゃ少なくて、みんなで集まってもフレセミとかで、集まる機会はあってもそんなにやっぱりいつもいるコミュニティの外にはあんまり行かないので、なかなかこう色んな子と話せないなというのは感じていて。

でも、それをちょっとでも新しいコミュニティ作りになったり、普段喋らない人と喋る機会を作れたのは、すごくよかったって思います。終わった時にグループLINEで楽しかったです、とかいっぱい送られてきた時は、ちょっと泣きそうになりました笑　やって良かったーって思いました。」

インタビューは以上となります！

一年生の様々な創意工夫によって再現された絵画作品は、どれも面白く、見れば見るほど感心するクオリティになっています！是非、当日芸祭サイトでご覧ください！

筑波大学 芸術祭 2021 / TSUKUBA ART&DESIGN FESTIVAL 2021
11/6-7 ONLINE開催
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執筆者：広瀬実咲