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【詩】オリオンの加護を5分間だけ

23時のオリオンが真上でまたたくころ
1月の澄んだ冷たさと
静かさの底にある住宅街
三ツ星にいざなわれ
オオイヌのシリウス
オリオンのベテルギウス
コイヌのプロキオン
冬の大三角を見つけたあと
オリオンの三ツ星に戻る

1日の終わりに住宅の隙間から見上げた
オリオンの輝きは
日常を置き去りにして
あの画角だけプラネタリウム
その小さな異世界だけを視界に入れて
1月のダイヤのトンネルを通り抜け
意識を飛ばしたあと
玄関の扉の鍵を開ける
日常は元通りに動き出すけれど
5分間だけは
あの輝きの余韻を引きずって
感覚の鮮度がいいあいだ
部屋を飾る深淵の輝き

オリオンの加護を5分間だけ

心に輝きを抱えて歩く部屋は
何も変わらないけれど
すがすがしき5分間

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