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【詩】雪となって支配する深夜

少しずつ冷たくなっていく

自由で力強い身体に
忍び寄る冷たさは
雪雲の中でスローにさせて
姿を変えた

盛大な音は無くなって
身体は軽くなった
白い結晶は羽となり
風にのって
あの街へと静かに降りていく

降りるころには
夜の街の空気は張りつめて
厳かに待っている
音をたてずに そっと 舞い降りて
空を見上げるとき
雪となって
次々と音を奪って降り立ち
夜の街は静寂の中に埋もれていく

     *

眠りの中でゆっくりと支配する深夜

     *

未明に足跡を残して踏みしめる音は
余韻を残さず消えて
呼吸とともに
白く姿を変える息も消えて
誰もいない街を歩く

澄みきった空気の中で
独り占めしているこの時間
さみしさはなく
あたたかく感じる

誰かが出てきて破壊されないことを祈り
車の音で時間が動き出さないことを祈り
この止まった世界の尊さは
動いている現実世界にはない対比

この時がずっと続けばと
必ず終わるこの世界に思い
世界といっしょに絵となって
耳をすます この一瞬

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