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【詩】1日目の夜

窓から入る明かりは見知らぬ明かり
その部屋には見知らぬ余白
自分の選択を握りしめていっしょに座る
空白地の部屋を
自分の持ち物で占領して
その空間にあらがう
片付けに力尽き
窓の外は新鮮という異世界

まだ なじんでいない空間
まだ 知らない部屋
まだ 知らないテレビの音が広がって
まだ 知らないアナウンサーがニュースを読む

初めての夜を迎えるとき
部屋の闇に押しつぶされそうで
知らない天井に目をつぶる
持ってきた布団だけがあたたかい

明日という未来はどんな顔をしているだろう
その明日は新しいのか
今日の繰り返しなのか

結局は過去に飲み込まれて
結局は密室で永遠のリピートなのか

この空白地は牢獄なのか
この空白地は安全地帯なのか

カーテンのない窓から朝がやってくる
荷物たちを照らして
知らない闇をかき消して
さみしさで満たしたこの部屋を
すこしずつあたためていく
うろ覚えの曲を口ずさみ
段ボールを開けて

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