【詩】紙の静かさを受け取って
あの喧騒なデジタル世界から離れて
手にする本は
できれば しずかな本がいい
その世界をゆっくりと歩くと
何かが少しずつ抜けていく
デジタルを受信するために
張り巡らされたアンテナ群が崩れていく
何かを満たすために
たくさん作った器が
大地にかえっていく
デジタルの海を航海するために集めていた
データは必要なくなり
電源はオフにして
紙の世界を歩く
森は直接何かを与えてくれるわけではない
与えてくれないから静かであって
その静かさがなければ
深くへ進むことはできない
森を抜けるころ
心には森の静かさが棲みついて
余白の空間が
その日の余裕となって
何もない世界を
自由に泳ぐことができる
そんな空間から
新たな芽を出し
しずかな森がまた生まれる
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