「激辛好き」はいるのに、「激苦好き」がいないのはなぜ?
辛みや苦みが好きになるのはなぜか
辛みと苦みは両方とも、人間が本能的には忌避する味です。
(辛みは正しくは味ではありませんが、本記事では苦みとの比較のため並立して扱います。)
しかし、様々な食体験をすることにより、これらの味がするものでも安全であることを学習していきます。
これにより、辛いものや苦いものであっても食べれるようになり、ひいては好きになっていきます。
なぜ激辛好きがいて激苦好きがいないのか
本題の結論としては3つあります。
1. 適当な苦み調味料がないこと。
2. 文化的に受け入れられていないこと。
3. 受容体の数が違うこと。
1. 適当な苦み調味料がないこと
辛み調味料としては唐辛子があり、食品の保存性をあげる効果もあるため、普及しています。
一方の苦み調味料としては、ピュアココアやコーヒーなどがありますが、苦みと一緒に渋みや焦げた香りも付加されてしまいます。
2. 文化的に受け入れられていないこと
辛い料理は一般に食べられているため、食べることに抵抗が少なく、食べる機会も多くなります。
そのため、安全な味であることを学習しやすい文化にあると言えます。
一方で苦い料理は、美味しいものとして受け入れられていません。
そのため、安全であることを学習する機会が少なくなっています。
3. 受容体の数が違うこと
辛みを感じる受容体はTRPV1のひとつだけです。
よって辛い味は1種類だけなので、安全であることを学習しやすいといえます。
一方で苦みの受容体は25種類見つかっています。
つまり、苦みと一言でいっても、ピーマン、ゴーヤ、コーヒー、ココア、チョコレートなど、どの苦みも反応する受容体の種類や反応の強さの組み合わせが異なります。
それぞれの苦みが異なる苦みであるため、安全であることを学習しにくいといえます。
まとめ
激辛好きがいて激苦好きがいない理由として
1. 適当な苦み調味料がないこと。
2. 文化的に受け入れられていないこと。
3. 受容体の数が違うこと。
以上の3つをあげました。
これらはすべて、「苦みを好きになるための学習が得られにくい」ということが共通となっています。
よい苦み調味料が開発され、そのレシピが普及し、苦い料理を受け入れる文化が構築されることがあれば、激苦好きも現れるかもしれませんね。
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