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歯周病で歯が溶けるのはなぜか?

歯周病になると歯の根元が徐々に溶けていき、歯の喪失につながる。
この歯を溶かしているのは、破骨細胞。つまり自分の細胞が歯を溶かしている


なぜ歯周病になるのか?

歯周病は歯肉炎が悪化することで生じる疾患である。そして歯肉炎は歯肉縁下で細菌が増殖することで起こる。増殖した細菌からはLPS(リポポリサッカライド)などの炎症を引き起こす物質が分泌されるため、歯肉の炎症、ひいては歯周病につながる。


歯肉の炎症がどのように歯を溶かすことにつながるのか?

簡潔にいうと、細菌により炎症が起こり、炎症により破骨細胞が活性化して歯を溶かすという流れである。

細かく順を追うと、
増殖した細菌から出たLPSは、リンパ球、マクロファージなどの免疫細胞を活性化させる。活性化したマクロファージはIL-1βやTNF-αなどの炎症性サイトカインを分泌する。そして、炎症性サイトカインが骨芽細胞や歯根膜細胞に作用して破骨細胞が増加する。さらに破骨細胞はIL-1βやTNF-αの刺激を受け、骨の吸収を行う。


まとめ

歯周病の原因から、それにより歯が溶けるメカニズムを紹介した。

要約すると、歯周病が歯肉縁下で増殖した細菌によって引き起こされること。そして細菌により引き起こされた炎症で破骨細胞が増えて自分の歯を溶かしてしまうという流れだ。

破骨細胞は古くなった骨を溶かして新しくするために必要な細胞だが、骨を作る骨芽細胞とのバランスが崩れると、歯周病で歯を溶かしたり骨粗しょう症を引き起こしたりしてしまう。このバランスをうまく保てるような予防、治療法が早く確立してほしいと思う。

本記事は生物化学工学会誌第99巻第11号の「口腔細菌叢の破綻が全身に与える影響」を参照した。

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