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手続き

「どんなに有能でも手続きのできない人間は認めてもらえない」

3年間生徒に言い続けてきた。

1年浪人することを「一浪」と呼ぶのなら

私は「十八浪」である。

私は十八年もの間教員採用試験に落ち続けた。

民間企業から転職したという訳でもなく

ただただ産休育休の代用講師や時間数合わせの補充教員としての人生を送った。

採用試験に合格するための勉強をせず

その場その場で起こる突発的な仕事に首を突っ込んで

夜遅くまで仕事に逃げていた。

気がつけば両親は亡くなり

嫁や子どももなく

一人ぼっちになった。

一人ぼっちになってようやく気づいた。

「自分の人生はその年限り。

代用する理由がなくなれば

真っ先に首を切られる。

首を切られれば

関わった生徒が来年進級しても自分はその姿を見ることはできない。

自分は生徒の3年間に責任を取れない。」

そこから私は勉強時間を確保するようにした。

結果、気づいてから3年目で合格。

つい先日初めて担任として卒業生を送り出した。

やらなければならない手続き。

ゴルファーならスコアの数え間違いだけで、ダントツトップでも即失格になるし

作家なら原稿の書式を間違えただけで、内容は直木賞芥川賞レベルでも読んですらもらえない。

受験生なら勉強して点数をとらなければ、どんなに意欲があっても合格にはたどり着かない。

自分の可能性を失わないためにも

手続きだけは抜け落ちが無いように

生徒にも自分にも言い聞かせていきたい。


#自分にとって大切なこと