長崎のクスノキ
10才の頃
夏の日に昼寝をしていたら
とても大きなクスノキの夢を見た
クスノキは立派な根を地中に残したまま
幹は裂け折れて
巨大な胴は無残に地面に倒れていた
その光景は子どもの僕にはあまりにも大きく
僕はただ呆然と立ち尽くして眺めていた
すると裂けた幹の中から
一匹の大きな緑色の亀が這い上がってきた
その後に続くようにまた一匹
そしてまた一匹...
次から次に幹の中から這い出てくる大きな亀たち
気づけば辺りは数え切れないほどの亀亀亀カメカメ...
その地中から湧き上がる生命力に僕は恐怖と神を感じた
全てはクスノキのエネルギーだと思った
うなされて汗だくになって
目が覚めたあの日から
僕にとってクスノキは特別な木になった
8月9日11時2分
今年も僕は故郷の方角に向かって手を合わせる
そしてあの亀たちはきっと今も生きていて
長崎の町を守っていると思っている
大人はいつも偉そうなことを言うけれど
大きく間違えるということを
長崎の子どもたちは原爆で学ぶ
そんな大人になりたくなくて
子どもたちの声に謙虚に耳を傾ける大人が
今はたくさんいると僕は信じている
僕は子どもだった頃の自分の声も聞く
あのクスノキと亀たちを思い出しながら
合掌
福山雅治 魂リク『 クスノキ 』(歌詞付)
https://www.youtube.com/watch?v=IVRP8TdnbNU
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