マイクロバイオーム

消化管や肌にいるバクテリア、菌類、ウイルス、原虫は微生物バイオーム、もしくはマイクロバイオームとして知られていますが、これらのマイクロバイオームは私たちの健康や幸福、気分、寿命、体重を決定づける上で非常に大きな役割を果たしていることが証明されています。マイクロバイオームの研究者は人の運命、つまり、マイクロバイオームにはDNAと同じくらい重要な役割があるのかもしれないということについても議論しています。

DNA同様、マイクロバイオームも非常に複雑なつくりをしています。100兆以上の微生物から構成され、ヒトゲノムの200倍の遺伝物質が含まれているのです。1人の人間の腸内細菌を解析するのには一生かけても足りないくらいの時間がかかっていました。

しかし人工知能(AI)やより高度なコンピューターハードウェアを活用することでこの作業は数分にまで短縮され、人のバイオーム内の微生物の一つ一つを視認し人間の目には見えないパターンや変化を特定し相互作用を解析できるようになりました。

「The NIH Human Microbiome Project」のようなマイクロバイオーム研究の目標はヒトマイクロバイオームを特徴付けるものの実現可能性を提示することであり、病気に対する診断や治療の改善に繋げることを望んでいます。

遺伝学とマイクロバイオーム

テクノロジーと人間の健康について考えてみると、遺伝学は近年かなりの恩恵を受けてきました。ヒトゲノム計画のDNA解析プロジェクトが2003年に完了し、30億の塩基対からなる20,500のヒトの遺伝子を全てマッピングしました。現在、科学者はどの遺伝子がDNA鎖のどの部分にありどのような機能となるのかを理解することができ、患者一人ひとりに合わせた医学的治療が可能になっています。

最近では人の健康とその改善方法を理解するために微生物バイオームが注目を集め始めています。これまで関心が持たれなかったのは、マイクロバイオームの存在はかなり前から知られていたものの、その複雑な構成ゆえ限られた研究者しか理解できなかったということが一因となっています。しかし、それも今や過去のことです。

私たちの体は少なくともヒトの細胞と同じ数の微生物細胞から構成されています。微生物細胞はヒトの体の細胞とは構成や構造が異なるものです。マイクロバイオームは実際に自身で生きている生体であり、重さは推定2.2kgほどです。マイクロバイオーム細胞は私たちの消化管、内臓、口腔、鼻、目、肌に生息しています。その構成は人によって異なりますがマイクロバイオームは数百万の遺伝子から構成されており、ヒトゲノムやヒトの免疫システムと作用して健康や病気の状態を生み出すと考えられています。

MicronのバイスプレジデントであるSumit Sadana(スミット・サダナ)が先日サンフランシスコで行われたMicron Insight ’18 conferenceで「研究者が解読を試みているコードがある」と述べたように、精巧なパズルのピースのような遺伝子とバイオミクス(バイオームの生物学的研究)がヒトの秘密の多くを解き明かすかもしれません

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