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【日記】猫マン


猫派、かつ猫アレルギーである。

私見だが、割とこのパターンの人って多い気がする。


心置きなくもふもふしたいと思いつつ、身体は残酷なほどに正直だ。

猫と一定時間空間を共有するだけで気管が狭窄してくる。


どのみち自宅はペット禁止だし、猫と触れ合う機会なんてずっとなかったのだが。


最近、祖父母の家に行く回数が増えた。

ここには毛ぇバッサバサの猫がいる。


全く懐かない。

誠に遺憾である。


意地になって猫じゃらしを振り回したら、そっちには反応をくれた。

やはり本能に働きかけるのが一番手っ取り早いな。


普段なら3メートル近いディスタンスを取られるが、猫じゃらしを体の近くでフリフリすることで瞳孔かっ開いて寄ってきてくれる。


おおよしよし。

そのままお膝の上においで。


座ったままの姿勢で股間の辺りに猫じゃらしを這いずり回らせる。

側から見れば何らかのフェチズムと思われても仕方がない絵面だが、目的のためならやむを得まい。


狙い通り、ピョコンと膝に跳び乗る猫氏。


…と、ここで思わぬ誤算。

完全に狩猟モードに入っている猫の脚先からは、

鋭利極まりない抜き身の爪が展開されていたのだ。

その切先はズボンの布地を貫通し、

僕の太ももにしっかりと食い込んでいた。


自ら膝に招き入れた手前、顔色一つ変えるわけにはいかない。

奥歯を噛み締めながら笑顔で猫を見つめる僕。


その間にも、太ももに深く刻まれゆくスティグマ。

猫が去った後、トイレに入って恐る恐る傷を確認する。


明らかにそれとわかる刺し傷。

そして、

その傷口を取り巻くように腫れ上がる皮膚


海外の毒虫にでも刺されたんかってくらいに腫れている。

よく考えたらそりゃそうなのだ。

空中に舞っている抜け毛を吸い込んだくらいで反応を起こす体に、

皮膚を貫いて直接体内に猫成分を注入されたわけなんだから。


ピーターパーカーはクモに噛まれてスパイダーマンになった。

ひょっとしたら僕も、猫に爪刺されて猫マンになるかもしれん。


…猫マン、何すればいいんだろ。

縁側で丸くなって昼寝するくらいしかタスクがないぞ。

大いなる力には大いなる責任が伴うのに。

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