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看過しないのが対策かなあ…


老人の孤立。
当面父母世代の問題だが私は母とは19歳しか歳の差がないから、名実とも明日は我が身の課題だ。

結婚、同居していれば、子どもがいれば社会的孤立が避けられるというものではない。
離婚したり先立たれたり、相方が入院したり施設に入所する可能性の方がずっと高い。なにせ先が長いのだから…

仮に子どもと同居しても相方がいなければ日中独居だ。
認知症がなく足腰がしっかりしているうちは出かけて人に会いに行かれるが、自分ができても、先方が衰えたり亡くなるなどして訪ねる先は減ってしまう。
家族がいても独りぼっちなのだ。

認知症予防のため趣味を持ち運動に励み人と交流しても、八十代を迎える頃には叶わなくなる。

そんな先のことを案じてもしょうがない、なるようにしかならないと言われるが、高齢者の孤立は個人がどう生きるかというような信念で解決できることじゃない。

世代を超えて想像力を巡らせて考え意見を出さなくてはならない。
なぜなら、対策した成果が現れる子育てと異なり経験した人は亡くなる。
死人に口なしなのだ。
何をどうするのがベストでなくともベターだったのか、肝心の体験者の声が残らない。

大きく変動する時代に生きて、適当なモデルもなくなんだかよくわからないうちに歳をとってしまったという、親世代の二の轍を踏むわけには行かない。

何も押し並べて人に囲まれた豊かな老後であるべきというのではない。
死に逝く人に投資するのは無駄だ、我慢するのは仕方がないと扱われる未来が待ち構えていて、今を生きる希望が持てるだろうか?
誰しも歳をとるのに…


百歩譲って、孤立も孤独も自己責任や宿命であるとしても、老いによる判断力の低下や、孤独からくる寂しさ、孤立から襲われる不便や不安につけ込まれ、無自覚に搾取されるのを黙って見ているわけにはいかない。

私は仕事で高齢者が入所あるいは入居している施設を訪問しているが、そこでよく聞く信じ難い話がある。

施設に入る前、一人暮らしをされていた部屋には通信販売の品物が所狭しと並べてあった…
複数の通販会社の口座引き落としで預金残高がなくなり、さらに未払いの督促状がそここに落ちていた…

こうした話が特に珍しくもなく語られる。
自分の金を何に使おうと自由であるという問題ではない。

売り手はこれを知らぬ存ぜぬなのか?
販売方法、契約方法に問題はないのか?
解約しにくい設定は仕掛けと言って過言とも思えない。
現にネット通販で当たり前に、解約のための手続き画面になかなかたどり着けない実態がある。
購入のしやすさに比較してキャンセル、返品は面倒なだけでなく時間も費用もかかってしまう。

某通販のコールセンターに勤める知人によれば、仕事は半ば高齢者の話し相手なのだと言う。
それはそれで一つの役割とも思えるが、ものを買わないと話をする相手もないと言うことである。
友だちを求めておもちゃやお菓子を配る子どものようではあるまいか…
金の切れ目が縁の切れ目、もとより金のない老人は見捨てられている。

何か良い対策があるわけではない。
常にアンテナを張って、おかしいと思うことは看過しないことである。

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