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新米ばあちゃんモゴモゴする

朝のテレビニュースで、赤ちゃんの頭の変形を専門に診察されている小児科医がいることを知った。

鎌倉の孫は少し頭が歪だったように思う。
顔の向きを変えてみるなどしていたらしいが、この春に会ったときはそのことを思い出しもしなかった。
歪んでいるばかりでなくぽっちゃりで、まんまるの頭でっかちでもあったが、縦に取られて顔も幾分長くなった。

初めての出産育児では、後になればなんと言うことのない些細な差異が気になってしまうものなのだ。

番組によれば、頭の歪みはほとんどの場合成長とともになくなるが、ヘルメットを着用するなどの治療が必要な場合があると言う。
そしてごく稀に、頭蓋骨の形成が不全のため手術が必要なケースもある。
しかし一般的な小児科では頭の変形はあまり問題視されていないらしかった。

医学が発達して出生前の検査から様々な病気や発育不全が発見される。
治療が必要なら事前に施したり、出産に備えて準備を整える。

しかし生まれてみなければわからないものがほとんどだ。
だから、若い両親はそのことを知らされてから、生まれてから後問題がないとお墨付きをもらえるまで『もしかしたら』を疑い続けることになる。

中には、出産後知っても充分治療が間に合いそうな症例もあって、無駄に心配の種を抱えているようにさえ見える。

だからと言って、聞かざる猿の如く耳を塞いでいられない。

長男のところはこの秋に二人目の出産を控えている。
どうも今度は女の子らしいと、LINEが来た。

ウチは三人息子で女児はなかったので、新鮮な期待が膨らんだ。
とはいえ我が子ではないし、遠くにいて年に数回会うだけなのでそれほど影響は及ぼさないだろう。

私は手作りが好きだが、リクエスト以外で作ったのはベビーキルトと甚平くらいである。
クレバーな息子の妻は、差し障りのない程度にリクエストをされる。

子ども服の店の前を通ると食指が動くけれど、親の好みや着せやすさがあると思うので見るだけにしておく。

女の子となれば変わるのだろうか…
また、市内に住む三男のところに生まれれば案外手出し口だし金出さず(!?)かも知れない。

今は我がことで忙しいのでそんなつもりはないけれど。


私たち夫婦にやってきたのは男児三人だった。
お年寄りからは異口同音に

よかったね、おとこんこで。
頼もしいね、将来は安泰だね。

と褒められたものだった。

けれども現在仕事で、主に高齢女性と話すと異口同音に

あんた娘がおらんかね、そりゃ気の毒に

となぐさめられる。
時代は変わったのだとつくづく思う。
長男でも男児でも家を継ぐとは限らない。

近ければより良いが、一般的には遠くても娘の方が親にはありがたいのである(むろん例外はあるが)

嫁に取られて(という言い方をよくされる)嫁の家と近しい息子より、娘の方がずっと気にかけて世話を焼いてくれる。
だから、現代は産むなら男児より女児なのである。

勝手なことばかり抜かしやがる(笑)

それはともかく。
次は女の子らしい、楽しみだと長男が言うので同意すると、

元気に生まれてくれればどちらでも良いのだけどね

と返され返答に詰まった。

母子共に元気に生まれるのは願いであり祈りでもある。
しかしそれを、祖母の私は口にできない。

かつては性別にこだわると(たいてい男を産むべしというプレッシャー)母子共に元気で生まれて来れば良いのだからさ、と重荷を外したものであった。

しかし性別が単に好みや希望に沿うか沿わないか程度の問題となった今は、無事に元気な赤ちゃんを産み育てることが重責となっていないだろうか?

まあ、お大事に、のんびり構えているこたさね。

新米祖母ばあちゃんはモゴモゴと応えるのであった。


ヘッダー画像は手作りずんだ餅。
食べてモゴモゴしたわけじゃない!


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