改造詩人漆号「Dazzling」


古本屋に並ぶ無名の詩集

裏庭に佇む松の木

シャンプーの匂い

色の剥げた仮面ライダーの人形

カチューシャ

コンクリートを登るダンゴムシ

蛍光灯の光

冬の教室

机の匂い

日曜15時の住宅地

母と歩いた高架下

少女の人形

坂の上にあるあの子の家

丸大 メガレンジャーソーセージ

遊園地のアイスクリーム

雑木林に包まれた屋敷

車の中の東京FM

テープが巻き戻る音と「ビデオ2」

ポケモンのシール

ミッキーのスプーン

父の背中

滑り台を流れる砂

曇り空と鬼ごっこ

排気ガスと自転車

小さな肉体が受容した淡い何かを

すり減った五感が切望する

終わりに向かいながら

私は過去を探し続けている

エスカレーターを逆行するように

あの日の幻惑を求め続けている

成長しきった体は

夢の世界の扉をくぐることはできないが

薄汚れた目では

あの日の色彩はわからないかもしれないが

あいつの胸に飛び込めば

どこかに帰れる気がしたのに

心臓が涙を流すから

蜃気楼を追いかける

全ての記憶が

ノスタルジーに彩られて

輝いてくれるときが来るまで

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