改造詩人参拾漆号「路地裏とアシッドレイン」

割れたガラスは何も語らない

残響は闇に遠のく

窓の外は雨模様

暗い街はメランコリックに染まる

壊れたレコード 針を通して

あの歌が沈黙を満たす

焼き付いた思い出が

時を止める 5分7秒のノイズ


毒の混じった雨の中

アスファルトを泳いでいく

何かが死んだ街の中

行き先もなく歩いていく


くたびれたコートを脱ぎ去り

8本目のタバコに火を付ける

立ち上る紫煙の中に

浮かび上がる 二度と戻らぬアドゥレセンス

灰色のギターを抱えて

あてどなく弦を爪弾く

虚空に踊るアルペジオ

消えたはずの 夢が虚しく踊った


毒の混じった雨の中

アスファルトを泳いでいく

何かが死んだ街の中

行き先もなく歩いていく


捨て去った輝きは

消えてはくれないのか

ずぶ濡れになりたくて

路地裏をさまよった


毒の混じった雨の中

アスファルトを泳いでいく

何かが死んだ街の中

行き先もなく歩いていく

街を包んだ雨の中

忘却を探している

何もつかめぬ夜の中

終わりを求め歩いていく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?