改造詩人拾漆号「Decayed Town」

ジョンが街を飛びして

かれこれ10年過ぎ去った

ママのヒステリーに耐えられず

銃で頭をぶち抜いた

ケリーは人間不信になって

娘に殺されると怖がってる

ダニーは酔うと決まって

「あれこまさに親離れだぜ」

と茶化して みんなの顰蹙買っている

ジョンの妹ジャネットは

街のスーパーでレジ打ちしてる

チャイナタウンの連中や

キチガイボブがやってくると

いつもジャネットが対応する

ナンシーはすっかりセックス狂い

その息子ケビンとダンは

エアガンでホームレスをいじめてる

精神障害者のダニエルもその標的だ

嵐がこの街をかき回してから

みんなおかしくなっちまった。

家も車も

小賢しかったボブの理性も

ナンシーの首輪になっていた貞操も

シンガーになるというジャネットの夢も

ジョンの奴隷精神も

みんな嵐が吹き飛ばした

泥水と瓦礫にまみれた街のやつらは

みんな獣になっていた

嵐は疫病を運んだのか

それとも

嵐がみんなの化けの皮を剥がしたのか

この街は 知性をもった獣の住処になってしまった

獣は仲間を食い物にして 

生まれた子供も獣になっていく

食えるものは何でも喰う

仲間も食い物にすることができる

俺とジャネットは

自分が獣になるのが恐ろしかった

しかし、この街で生きられている時点で

俺達は獣の仲間も同然だった

今思えば

ジョンはまともだったのかもしれない

だから俺たちもやらないといけない

俺たちの魂を守るんだ

狂った街の悪臭に

肉体が腐ってしまう前に

ショットガンとライフル そして133発の弾

ジャネットと合わせれば300発

何度か外したとしてもこれで足りるだろう

疫病に冒されて 手遅れのオハイオの町

だから俺たちもやらないといけない

俺たちの魂を守るんだ

狂った街の悪臭に

肉体が腐ってしまう前に

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