改造詩人参拾捌号「Wonder for The Wanderer」

荒野を一人で
さまよう旅人
誰とも語らず
何か探している

飲み飽きた炭酸を片手に
キレイなアスファルトを歩く

「夢」と書かれた看板が並び
青いネオン 集まる羽音

何でも手に入るけど
何にも手に入らない

光のせいで
月はどこにも見えない

荒野を一人で
さまよう旅人
誰とも語らず
何か探している

画面の中広がる楽園
きらびやかな人が笑う

「夢は必ず叶う」と歌って
幾度目の髭剃りのCM

何でも見ることできるけど
大事なことはわからない

ショーケースの
ダイヤは澄ましてやがる

荒野を一人で
さまよう旅人
誰とも語らず
何か探している

誰かが謳う
「夢」がいびつに輝き
目眩の中
黒い影が嗤ってた
胸に開いた
穴が泣き叫んでいる
欲しいものは
どこに どこに あるのさ

荒野を一人で
さまよう旅人
誰とも語らず
何か探している

壊れたコンパス
握りしめたまま
どこへ行きたいか
わからないまま

夜の闇の中
夢に背を向けて
割れたアスファルト
足跡残して

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