上手く生きるのが下手

家でほぼ自炊をしないし、コーヒーや紅茶を淹れて飲む時くらいしか砂糖を使わないから、いちいちスプーンで底の方に固まった砂糖をガリガリするのもいやだったので、思い切って角砂糖を買ってみた。
これがなかなか良かった。アツアツの淹れたてコーヒー/紅茶にとぷん、と角砂糖を1つ入れると泡がプツプツと舞い上がってきて、あっという間に美味しいコーヒー/紅茶ができる。つまんで入れるだけなので、手間もかからず最高じゃん✌️と思っていた。


幾日か経って、祖父母から野菜を貰ったのでそうだ煮物でも作ろうと思い、ルンルンで野菜をカットし調味料を投入していった。
ふと気づく。大さじ1杯って角砂糖何個分????
パニック。15ccが何gなのかもわからない。
終わった………。


涙目になりながら、小さなボウルに角砂糖を入れてガリガリと削り、普通の砂糖に戻した。私にはこうすることしか出来なかった。
砂糖側からしたら、せっかく普通の砂糖から角砂糖になれたのに、よくわからん女が自分を削ってまた砂糖に戻そうとしているように思えるだろう。サイコパスだよ。


サイコパス女はその後無事煮物を作ることが出来たのだが、後でこの話を母にしたら、Googleって知らないんかと呆れられた。
スマホでラジオを聞きながら料理をしていたので、Googleの存在をすっかり忘れていた。
Googleで「砂糖 大さじ1杯 何g」で検索する。
答え「およそ9g」
角砂糖が1つ3g程度なので、大さじ1杯は角砂糖3個分ということになる。削らなくても良かったのだ。

この一件で、私はつくづく生きるのが下手だなと思った。なんでこんなに簡単なことでバタバタしたり情緒を乱したりしているのだろう。
もっとスマートに生きたいぜ。


こう思ったので、それ以降は「結構スマートに生きること」を目標にして、実際スマートに生きていた。電子決済をマスターしたり、スタバのティーラテを頼む時に「ゼンブミルクで」と言えるようになったりしていた。


スマート生活でブイブイいわせていると、祖母が「これ、とっても美味しいから」と食パン1斤をくれた。祖父母は私が食べ物に困っていると思って沢山食べ物をくれる。実際お金は無いので助かっている。
祖母は「好きな厚さに切って、明日食べ終わらなかったら冷凍しちゃえば長持ちするから」と言った。
その言葉通り、私は食パンをもらった翌日に1切れ食パンを食べ、残りを冷凍した。

そのまた翌日に、さて、食パン食うか〜と思って冷凍庫を開けると、カチンコチンの食パンがあった。私は気づく。「これ、冷凍する前に食べたい厚さに切っておかないとダメなやつじゃん…」と。
終わった……………。
そこで情緒が乱れ、私はガッチガチのデカ食パン(ほぼ1斤)をそのまま冷凍庫にしまい、見なかったことにした。


私の家の冷凍庫には今でもガッチガチのデカ食パンが眠っている。


全然、生きてはいけるんだけどさ、
本当に、上手く生きるのが下手だよ。




おわり


ティソ

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