いつもいる(#15)

 私はいつもここにいる。たまに顔を出すんだけど外へはなかなか出られなくなってきた。昔はいたお隣さんもそのまたお隣さんも、もうずっと見ていない。引っ越したのかな、きれいな更地になってるし。
 今日、久しぶりに顔を出したら見たことのない人がいた。
「あの、いつからいるんですか」
「昨日から、初めてなんだ顔を出すのは」
 そう言って新入りのその人は赤い顔をさらに赤く染めた。
「私はずっと昔からいるの。何かあったらなんでも聞いてね」
「ありがとう、さっそく聞きたいことがあって。うちの周りを整えてたらたまに地面が揺れるんだ。ここらへんは地震が多いの?」
「そうね、多いかもしれない。でもあなたは大丈夫よ、私と同じ赤い肌だから」
「そうか、安心した。ありがとう」
 その日は新入りさんと別れてうちに戻った。明日もいるといいな。今までの人は白かったからすぐにいなくなったけど、あの人なら大丈夫そうね。

 次の日、新入りさんのいた場所は派手につぶれてそこらじゅう血まみれだった。昨日は赤かったのに、白くなったのだろう。白いやつはすぐ殺される。




「ねえ、またニキビつぶしたの? よくないよ」
「わかってるけど白ニキビ見ると中の膿を出したくなるんだよね。あーあ、最近はこの赤ニキビ以外はきれいになってきてたのに寝不足かなあ」

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